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インドネシア・ジャワ島を横断する - (6)

2012-10-13 | 海外


2006年、あのスマトラ沖大地震とともに、ジャワ島中部のメラピ山(Gunung Merapi・2968m)が噴火し大規模火砕流発生が発生したことは、記憶に新しい。

メラピ山の裾野には、プランバナン寺院とボルブドゥールという有名な世界遺産がある。
この2つの遺跡は発見されるまで長い間、このメラピ山が噴出した火山灰に埋もれ森林に深く覆われていたのだ。



2006年、噴火したジャワ島のメラピ山の火山活動がピークに達しつつあったとき、何千人もの近隣の住民が安全なふもとの仮設キャンプに避難を余儀なくされた。

だが、山頂からわずか4.5キロの山腹にあるキナレジョ村の村人たちは、80歳代の古老が指示を出すまで避難しないと言うのだ。

その古老とは、メラピ山の山守り、ムバ・マリジャンであった。

彼は、メラピ山の精霊と住民の意思疎通を図る「守護者」とされてきた人物。
メラピの山頂に住むといわれる“荒ぶる鬼神”を鎮めるために儀式をとり行うのが、マリジャンの仕事である。
マリジャンは言う、「私のできることは、もしメラピが噴火したら、溶岩が人びとを危険にさらさないように全能の神にお祈りすることだけだ」。

だが今回は、その祈りも効き目がなかった。
溶岩ドームが崩壊。マリジャンの村とは別の側、山腹の西側を、真っ赤に燃えるマグマが雪崩のように流れ落ちた。

1カ月後、溶岩ドームが再び崩れた。今度は火口の南側で、二人の救援隊員が2メートルも降り積もった火山灰の下敷きになって死亡した。だが好運にも(それとも火山の神の恵みなのか)マリジャンの村は無事だった。

マリジャンに言わせれば、噴火は脅威というより、成長の原動力だ。
「メラピの王国は広がっている」と彼は山頂を見上げて言う。


インドネシアでは、火山は人々の生活の一部であるだけでなく、生活の支えでもある。降り積もった火山灰で、ジャワ島の地味は肥え、1年に3回もコメを収穫できる。火山が一つしかない隣の島、ボルネオではそうはいかない。









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