Tenkuu Cafe - a view from above

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春、列島を横断する (17) - 陸中海岸

2011-05-28 | 東北


「囮とはどういうことだ」
思わず侍は驚きのあまり声をあげた。たじろいだ松木は、
「江戸も藩もあの時―ノベスパニアとの取引きを第一の目論見とはしておらなかった。日本に戻ってな、俺はこのことがわかって参ったのだが・・・・・」
「何を言う」
「聞け。まして切支丹の僧を招く気など毛頭なかった。江戸が藩を使うて知りたかったのはな、まず大船の造り方、大船の動かし方。大船が渡る海の航路で、それなればこそあまたの水手を商人に交えて乗せたのだ。商人も俺たちもな、そのための囮よ。南蛮人を怪しませぬための囮であるゆえに然るべき方々でなく、どこで死のうと朽ち果てようと、一向にかまわぬ身分のひくい召出衆をやはり使者衆に選んだのだ」
「それが政か」と西は狂ったように膝頭を拳で打った。「それが御政道と申すものか」
「御政道とはそのようなものだ。今の俺はそう思う。四年前には善きことも、今日に役立たねば、悪として裁かねばならぬ。それが御政道だ。・・・・・」
(遠藤周作著『侍』より)






1613((慶長18)年、支倉常長ら慶長遣欧使節団一行を乗せた巨大帆船が、石巻月浦を出帆し、日本の船としては初めて太平洋を2往復した。


船は、サン・ファン・バウティスタ号(San Juan Bautista、“St. John the Baptist”)。

仙台藩主、伊達政宗の命で、スペイン人提督セバスティアン・ビスカイノと幕府船手奉行の指導の下、建造したガレオン船である。約500トン級で最初の日本製西洋型軍船。船名は「洗礼者・聖ヨハネ」に由来すると伝えられている。


この船は、仙台藩主・伊達政宗が、スペイン人・ビスカイノと幕府船手奉行の指導の下、建造したもので、造船に必要な材木は、すべて仙台藩領であった現在の岩手県東磐井地方や気仙沼地方から伐採し、北上川を利用して運ばれたと言われる。



その後、サン・ファン・バウティスタ号は、慶長遣欧使節団の月浦出帆380年にあたる1993(平成5)年に、に再建され、進水した。
宮城県志津川産のマツ、牡鹿半島のスギ、岩手県産のケヤキなど、南三陸地方の木材で建造された。387トン、全長55.35メートルで高さ48.80メートル。国内最大級の木造様式帆船は、16億7千万円をかけて完成した。
船は暫く石巻新漁港に仮係留され一般公開された後、宮城県石巻市のテーマパーク・宮城県慶長使節船ミュージアムのドックで展示されている。




今回の東日本大震災で発生した津波の被害により、ドッグ棟展示室が壊滅。
しかしながらドックに浮かぶこの木造船は、押し寄せる津波に奇跡的に耐え抜いた。船に対し正面から波がきたので、大きな損傷を免れたのではないかということである。そして今もがれきに囲まれながら、威容を誇っている。


同ミュージアムは、現在避難所になっており、周辺住民が暮らしているとのこと。






San Juan Bautista was one of Japan's first Japanese-built Western-style sail warships. She crossed the Pacific in 1614. She was of the Spanish galleon type, known in Japan as Nanban-Sen (lit. “Southern Barbarian ships”).

San Juan Bautista was built in 1613 by Date Masamune, the Daimyo of Sendai in northern Japan, in Tsuki-No-Ura harbor (Ishinomaki, Miyagi). The project had been approved by the Bakufu, the Shogun's government in Edo.

She transported the first leg of a Japanese embassy of 180 people to the Pope, headed by Hasekura Tsunenaga and accompanied by the Spanish friar Luis Sotelo. After transporting Hasekura to the Spanish possessions of Mexico, the ship returned to Japan. Hasekura and the embassy went on to Europe, eventually reaching Rome.




A new San Juan Bautista was reconstructed in 1993 on the basis of the records of the House of Date.
The ship is currently on display in a theme park in Ishinomaki, in northern Japan, close to the location where she was originally built.


The replica survived the 2011 Tōhoku earthquake and tsunami intact with minor damages, and there are hopes of using the ship as a symbol of the town's reconstruction.







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