今年、タイで「50年に1度」と言われる大洪水が起こり、バンコクを始め、広大な地域が影響を受けた。
この深刻な被害をもたらしたチャオプラヤ川(Mae Nam Chao Phraya) は、バンコクの北側にあるナコンサワン県から始まり、タイ湾に流れ込む全長372kmの、タイを代表する河川である。
この大河は、古来、氾濫により田んぼに養分をもたらし、肥沃ひよくな土地を育んできた。
チャオプラヤ川上流域の地方では、人々は氾濫を前提に高床式の家に住み、家に小舟をつないで洪水に備えてきたのだ。
また、首都バンコクは、チャオプラヤ川下流のデルタ地帯に位置し、かつては“東洋のベニス”と呼ばれた運河の町であった。町中に張り巡らされた運河には日用品や食べ物を売る舟が往来し、人々は生活用水として運河の水を利用し、水と共に生きてきた。
今も、定期船・貨物船・観光船・渡し船・ホテル船・貸し切り船などなど、数多くの船が行き交っている。