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読書の秋♪ウェブスター「続・あしながおじさん」

2015年11月11日 | 日記

しのです

 

時々やってます、読書感想文シリーズ♪三回目となりました

 

今回はこちら!

「続・あしながおじさん」ウェブスター 作 松本恵子 訳 


(昭和36年発行です。原書が発表されたのは100年も前!

 

 

ご存知でしたか?

「あしながおじさん」に続編があること!

 

「あしながおじさん」、読んだことがない方もいらっしゃいますね

ざっと説明しますと、孤児院で育ったジルーシャ・アボットは作文がきっかけで

顔も知らぬ評議員から奨学金を贈られることになります。

全寮制の名門大学への進学。夢のような提案の交換条件は、

「毎月手紙を書くこと」。「出資者の詮索は一切しないこと」。

自分にはなんのとりえもないと思っていたジルーシャは不思議に感じつつ

孤児院で一瞬見かけたその人のシルエットが、西日に長く伸びてまるで

虫の「ががんぼ」(英語でdaddy-long-legs)のようだったことから、

彼に「あしながおじさん」というあだ名をつけ、せっせと手紙を書き送ります。

まじめで情熱的、率直でユーモアがあり、文章を書くことが好きなジュディ。

何のとりえもないと思っているのは本人だけで、人から愛される性質の持ち主です。

彼女があしながおじさんへ送る手紙につづられる、何もかもが珍しい、

お金持ちの女子大の生活、はじめての親友、勉強、テスト、楽しい行事、クリスマス!

そして挫折や初恋などの経験をへて、ジュディは一人前のレディへ成長してゆき、

物語は恋と大団円のクライマックスを迎えます

 

私は小学校の本棚で読みました。作者自身による挿絵もかわいくて、ユーモアたっぷり。

面白くて、何度も読んだものです

 

そして今回ご紹介するこの本はまぎれもなき続編

児童文学ではありますが、前作よりも大人向け。

むしろ私達くらいの世代が読むのにちょうどいい感覚

「ああ、わかるわかる!」があるような気がします

 

 

「あしながおじさん」の数年後、主人公はジュディの親友サリイです。

お嬢様で美人のサリイはきままな独身生活を楽しんでいたのですが、

ある事情からジュディの育った孤児院の院長に任命されます。

パーティーや楽しいことが大好きなサリーははじめ大!抵抗したのですが、

それを聞いた婚約者に大笑いされたことに腹を立て、意地になって承諾してしまうのでした。

 

我に返ったサリイがジュディに送った一通目の手紙から、物語は始まります。

今は幸せな結婚をして、夫の事業について海外へ行っているジュディ。

サリイはジュディに負けず劣らずのユーモアの持ち主で、ウィットにとんだ文面がなんとも楽しい

 

「この私が百人の子供の世話をするなんて、私が動物園の管理人になるくらい適任でございましょうとも!」

「いつもかわりなき、てっとうてつび軽佻浮薄なる、サリイ・マックブライドより」

 

ふんがいしているのに、なんだか余裕があっていいですよね

 

そしてサリイは、孤児院の子供たち(実際は111人いました!)と出会い、

想像もしなかった貧しい環境を知り、「今、見捨てることはできない」と思います。

「私のように浮ついた、贅沢好きで怠け者にはとてもつとまる仕事ではありません!

といいつつ、「お腹がいっぱいになればいい、ぜいたくはこどもの敵だ!」というコックへ

「アイスクリームのように、こどもたちになくてはならないもの

十分に取り入れた献立を!」説得したり、

「マッシュポテトとおかゆにデザートはブラマンジェ」というねっとりしすぎるメニューを見て、「これまでに子供たちがなぜ111個の小さな糊のかたまりにならなかったのかが不思議です」と手紙に書いている)

街でばったり会った大学時代の知人(女性でも自立したいと願う気立てのよい美人)を

速攻!で事務にスカウトしたりして、自らも気づかぬうちにバリバリ働き始めます。

 

寄付で成り立っている孤児院は評議員たちが運営し、「倹約」「質素」の名のもとに

子供たちにひどく貧しい生活をしいていました。

男女同じ服を着て栄養も味も考慮にいれない食事を食べ、罰と規律にしばられて

外で遊ぶことも知らない、やせて青白いこどもたち。

それでも、いつかのジュディのようにキラッとした個性のある子がちゃんといて、

サリイは愛しく思ったり笑わされたり。

 

恋とおしゃれ、毎週末夜のパーティ…華やかな社交界を切なく恋いつつも、

ここにくらべれば退屈だということも、だんだんわかってきてしまいました。

とにかくここには、やるべき改革と、私を必要とする100人以上の小さな子供たちがいる。

かれらが一人残らずここを離れあたたかい家庭におさまるまでは、ここを去ることはできない。

もしくは自分以上にうまくやりとげられる人材が見つかるまでは。

いつしかサリイは、婚約者の度重なる説得も断って、孤児院の院長という仕事に夢中になっていきます。

 

心の中心にあるのは子供たちを一人残らず幸せにしたい!という情熱です。

苦労知らずで独身で子供もいないのに、不思議なことかもしれませんね。

でも、お金持ちの両親や周囲からたっぷりと愛を注がれて育ってきた彼女はまた、当たり前のように愛を注げるひとだったのでしょう。

評議員たちの古い価値観に従わず「子供たちのためになるかどうか」だけを基準に判断し、

子供をもらってくれる家でさえその対象です!

怒りつつも、時々親友ジュディの少女時代を思って、胸をはげしく痛ませる彼女

すてきな、愛を知るひとです。

 

サリイがやってきて孤児院は変わりました。

陰気な食堂は明るいペンキで塗られ、壁には子供たちの描いたウサギがはね、

男女いっしょくただった服は「本当はお金持ちよりファッションデザイナーになりたかったのとサリイにこっそりもらしたがために早速スカウトされてしまった(笑)未亡人の手によって美しくデザインされて、子供たちが自ら選ぶことのできる色とりどりの服に代わりました。

 

サリイの敵はたくさんいます。

頑固な評議員たちのなかでもとりわけ頭の固いサイラス閣下。

見た目は立派ですが中身は見えっぱりで体面ばかりを気にしています。

短気でけんかっぱやい農夫ステリィ

こちらの話を聞いてるのかさっぱりわからない&指示に従わない(笑)乳幼児担当のおばさん、スナイスさん。

子供たちを愛すべき家族ではなく、無料でこきつかえる労働者と思っているふしのある世間(特に収穫期の農家)(そんなあ!

 

中でももっとも相性が悪いのは、新しくやってきたかかりつけ医のロビン・マックレイです。

彼は陰気で堅物、医学と精神疾患にしか興味がありません。

サリィを「軽薄で教養がない」と面と向かって批判します。

子供の体調にかかわることとなると、時にそれは「爆発!」といった感じのはげしい叱責に。

ケンカのしどおしで手を焼くサリイでしたが、

やがて彼が仕事熱心なだけで悪意はないとわかると「敵さま」とあだ名をつけたりして

面白がるようになりました。(副題のDear Enemy はここからきています

そして彼もサリイがただのお金持ちの道楽でしているのではない、と認めるようになり

彼女を脅す農夫を怒鳴りつけてクビにしたりと、

二人はだんだん信頼と友情で結ばれて行きます

 

このドクトル・マックレイがとても魅力的です。

ふだんは陰気で短気なのですが、診察のときはどんな子供も丁寧にあたたかく診ます。

重病の子がでたときは徹夜で治療し、辛抱強くけしてあきらめず、

そのためどれほどやつれてもそれが当然という態度。

泣いている子にはやさしく言葉をかけ、なぐさめてやり、罪を犯した子供には

本を引用して語りかけ、ことの真実をわからせようとする。

心の底にある、子供たちへのたしかな愛情。それはサリイへも伝わります。

それなのになにかのはずみで怒るとはげしく爆発し、怒鳴り、周囲をへきえきさせ…

年よりも老けていて、いつも何かに耐えているような暗い表情をして、

気の利かない家政婦をやとい、読書と研究の修道僧のような生活を送っているドクトル。

奇妙な、でも興味を引かれずにいられない男の人。

ジュディへ送られる手紙に、いつしか「敵さん」の話題はどんどんふえてゆくのでした。

 

だんだん距離を縮める二人のある日のピクニックの場面が好きです

ちょっと書き出してみますね。

 

ある日曜日。

仕事にすっかり疲れてしまったサリイは、窓から見える丘の向うに行ってみたくてたまらなくなりました。

そこで計画を練った末、村では珍しい自動車を持っているドクトルに電話してみることに。

以下は二人の会話です

 

「こんにちは、ドクトル。もしやしてあの丘の向うに住んでいるひん死の患者さんがおありになりませんこと?」

「ありがたいことに、ないです!」

「残念ですこと。であなたはきょう何をなすっていらっしゃいますの?」

「<種の起源>を読んでいるところです」

「そんな本は閉じておしまいになさいませ。日曜にふさわしくありませんわ。これから伺わしていただきますけれども、あなたの自動車にはガソリンが入っていてすぐでかけられましょうか?」

「いつでもお役に立てます。子供たちでもドライブさせてほしいとおっしゃるのですか」

「神経系統に異常のある患者が一人いて、どうしてもあの丘のてっぺんへ登らなければならないと思い込んでおりますのよ」

「私の車はすばらしい登山家です。15分のうちに…」

「ちょっとお待ちになって!あのうフライパンを、二人用くらいの大きさのを持っていらしてください。ここの台所には荷車の輪より小さいのはないんです。それから家政婦さんにお夕食は外でするとおっしゃっておいてくださいましね」

 

電話を切ったサリイがベーコンの缶詰や数個の卵、軽い丸焼きパンとショウガいりクッキーと、魔法瓶につめた熱いコーヒーをバスケットにつめて玄関の石段の上で待っていると、

ドクトルが自動車とフライパンと一緒にすさまじい音をたててやってくるのでした。

 

ドクトルは怒りもせず、二人は丘の上ではればれとした休日を楽しみました。

楽しいピクニックの様子(ドクトルは少年じみたわるふざけさえしたのです!その時彼は一瞬ですが年相応に見えました)をサリイはジュディへ綴り、最後に続けます。

 

「どうぞ私が、あの気むずかしやのドクトルに対して、過分な関心を寄せ始めたなどという結論をお出しにならないでくださいまし。

そんなのではないのですから。

これはただ、あのかたが余りに慰めのない生活をしていらっしゃるので、私はときおりあの方の頭をなでて、元気をお出しなさいといってあげたくなるだけのことなんです。

世の中には太陽がいっぱいあふれているのですもの。その中のいくらかはあの方のものですわ。

これは私が107人の孤児たちを慰めてやりたい気分と同じものです。ただそれだけのことです。」ー

 

 

「頭をなでてあげたい。」

 

恋になるかならないかの、サリイの気持ち

もしかしたらとっくにそうなのかもしれませんが…それでも。

これまでどんないやな思いをさせられていても、そう言える、相手を大きく包み込むやさしさ。

思いを寄せ、想像し、いたわりたいと思う心。

人が本能のように持つ、すてきな感情だと思います

現実社会でも、落ち込んでいてもだれかの暖かい手で元気になることって、ありますよね

 

仕事を持つ喜びを知ったサリイ。しかし美貌の婚約者もまだあきらめてはおりません。

若き政治家の彼は明るくて見栄えのするサリイを政治家の女主人にしたがっているのでした。

 

物語がこの後どうなるか…読んでのお楽しみ!

魅力的な子供たちの巻き起こすトラブルや行く末を楽しんでいると、

あっ!と驚くシーンが待ち構えておりますよ

なかなかどうして大人向けだな、と思うゆえんです

 

この本にはほかにも素敵な男性が出てきます

 

サリイの兄の友人で孤児院を手伝ってくれるパーシィ・ウィザースプーンさん。

快活でお金持ちでスマート、行動力があって頭もよく、申し分のないハンサムです。

しかも贅沢なホテル暮らしになれているのに、通うのが面倒だからと

医務室の椅子をさっさとベッド代わりにして泊まり込んでくれる、気のおけなさ!

彼は、孤児院の男の子たちのために、丸太小屋を建てる仕事を男性陣を率いてやってくれます。

(意外と乗り気なドクトルがまた

そんな非の打ちどころのない彼ですが、遠い都会に住む「見た目がよくて実のない」女性に恋をして

文通していていて、最後ではふられてしまいます。

そこもまたちょっといいんですよね

恋は盲目

ふたつめの恋で、人は大きく進むのかもしれません。

 

以上、これまでにない分量で書いてしまいました!が

 

「続・あしながおじさん」 

手紙形式なので、キリよく読めますよ

(できれば昔の物を手に入れてください。訳文がとってもすてきです。)

秋の夜長はもちろんのこと、働くおじょうさんたちの電車通勤のおともにおすすめです

100年前と思えない、リアルな働く女性の仕事の悩みとよろこび、魅力的な男性たち

 かわいい挿絵とウィットを楽しみながら、恋を味わってみてくださいね

 

コメント (4)
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