つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

A Cherry Blossom.

2023年04月01日 19時21分21秒 | 日記
                  
もう40年ほど昔になるだろうか。
僕は一時期「モダンジャズ」ばかり聴いていた。
四畳半一間の部屋に帰ると湯を沸かしインスタントコーヒーを飲みながら、
LPレコードに針を落としてAB面を通してかける。
そんな癖が付いたキッカケは「ジャケ買い」だった。



青一色の背景に浮かぶ男の陰影。
デザインに惹かれて購入した「ソニー・ロリンズ」の「サキソフォン コロッサス」から、
僕のジャズライフは始まった。

狭い部屋の壁に買い集めたアルバムを飾ったりしたが、
お気に入りのジャケットの1つが「ホレス・シルヴァー」の「ザ・トーキョー・ブルース」。
着物姿の美女に挟まれご満悦のピアニストが来日公演の思い出を重ねたであろうタイトル、
「Too Much Sake」「Sayonara Blues」「Ah! So」等ユニークな曲名を収録。
僕は、取り分け「Cherry Blossom」に聴き惚れた。
                     


彼の真骨頂、ファンキージャズナンバーが並ぶ中にあって
「Cherry Blossom」は他と一線を画する。
美しいピアノトリオ演奏に耳を傾ける時、
故郷に咲く“1本の気高き桜の姿”を連想したものだ。



拙ブログには度々登場する「本津幡駅前」の「一本桜」である。
先日、北陸津幡町の桜(染井吉野)は、満開を迎えた。
40年前から変わらない咲きっぷり。
ついつい見惚れてしまうのも変わらない。



【この桜は、本津幡駅周辺の発展を祈念して植えられたものです。
 戦前からの桜はこの一本を残すのみとなっています。
 当駅は、明治三十一年(1898)四月二十四日に民営鉄道として
 七尾港「矢田新」とを結ぶ七尾鉄道の始発終着駅「津幡仮停車場」として開設され、
 北陸本線が明治三十一年十一月三日に金沢から高岡まで開通し、
 明治三十三年八月二日に津幡駅と結ばれた折に
 七尾鉄道「津幡口仮停車場」となった後、現在地へ移転。
 「本津幡駅」として営業を再開し、
 明治四十年(1907)九月一日、当時の日本国有鉄道に移管された後、
 線路名称設定により「国鉄七尾線」の二線ホーム駅として
 昭和六十年四月の国鉄分割民営化を経て現在に至っている。
 その駅舎は今も往時の名残をとどめ、百有余年の歴史を刻む
 貴重な明治の近代化遺産の一つです。 <後略>】

(※【   】内、桜の下に建つ津幡町観光協会案内札から抜粋/引用)



百有余年の歴史を刻む本津幡駅は、時代・人流・物流の変化に洗われ今は無人駅。
国鉄→JR→第三セクターのIR鉄道と、路線経営も推移してきた。
そんな流れる浮世に抗い、一本桜は「そこ」に留まっている。





本日(2023/04/01)から新年度。
鈴生りに咲いた花が、枝の下を通る人を見守る。
わが津幡町の春の光景だ。
                      

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