結局、この夏に出かけた本場は「びわこ競艇場」だけだった。
過去投稿にも記した通り、僕にとってそこは夏の象徴のようなところと言っていい。
観戦スタンドからは近江富士、琵琶湖大橋・比良山系、近江大橋・浜大津と、
琵琶湖のいい景色が見渡せる。
その風光のベストシーズンは夏だと思う。
びわこ競艇場が開場したのは昭和27年(1952)年。
もう70年以上の歴史を刻んできた。
平成2年(1990年)度の売上518億円をピークに、
レジャーの多様化やファンの高齢化によってしばらく低迷が続いたが、
令和2年(2020年)度には675億3千万円と過去最高を記録。
施行者である滋賀県一般会計への繰り出金も10億円と大幅に増えた。
V字回復の一番の立役者はネット投票の導入。
そして、滋賀支部所属レーサー達の活躍が果たした功績も小さくない。
本場入り口近くにズラリと並んだ、等身大パネル。
特に中央、両手を腰に当てた白いカポック姿の「馬場貴也(ばば・よしや)」は、
押しも押されもせぬ滋賀支部のエース。
きのう(2023/08/27)福岡県・福岡市「福岡競艇場」に於て行われたSG競走、
「第69回 ボートレースメモリアル」で優勝を飾り、今年の獲得賞金は1億円超え。
23年8月現在、ランキングトップに君臨している。
彼の真骨頂は、ターン中に巧みな体重移動で舳先を浮かせる高等テクニック。
ボート本体と水面の設置面積を少なくして、水の抵抗を減らし、
旋回直後の加速でもって、一気に他艇を突き放してしまう。
ところが、きのうは姿勢が安定せず行き足のいい2号艇に差しを許す。
逆転を予感させる競り合いになった。
体をゆすり、必死の抵抗で何とかこれを振りほどくと、
最後は、彼一流のスピードターンが物を言って1着でゴール。
--- それは、実に危うい勝利だった。
勝利者インタビューで開口一番「しんどかった」。
吐き出した言葉は、嘘偽りのない正直な感想だったと思う。
レース直前に振り出した雨による気象条件の変化。
前回のSGで同じ1号艇で敗れてしまった苦い記憶と、
今度こそは下手は打てないと臨んだプレッシャー。
様々な見えない「搦め手」が心身を蝕んだことだろう。
しかし、それらを撥ね退け、夏の掉尾を飾ったのは流石である。
おめでとう、馬場ちゃん。