リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

159. 15回目のドイツ旅行(7) ボーデ博物館にて

2018年12月11日 | 旅行

▶︎15回目のドイツ旅行(7) ベルリンのボーデ博物館でシャプイさんに献本しました。



ボーデ博物館

 9月13日は、ちょっと曇っていて前日までとは打って変わって寒い日でした。今までいつもSバーンのハーケッシャーマルクト駅からボーデ博物館に歩いて行っていたので、ボーデ博物館の横向きの姿しか写していませんでした。でも、やはり正面からの写真も撮っておかないとと思い直して写してみたのが上の写真です。10時前に到着して冷たい風を避けながらしばらくドアが開くのを待ちました。

 開館と同時に入館すると、すぐにジュリアン・シャプイさんがいらっしゃいました。手に大きな本を1冊とチョコレートを持っていらして、「この本は持っていないでしょう?」と見せるのですが、「いえ、持っていますよ」というと「本当ですか?」と驚いていました。それは、去年ドイツに来た中村英之さんが見付けてわざわざ私に送ってくださった

 Matthias Weniger: Tilman Riemenschneider (Michael Imhof Verlag, Petersberg, 2016)

という分厚い本だったのです。発行年の2016は私もドイツに行っていましたが、この本は見ていません。去年は第3巻『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』の作成でずっと日本にいましたので、まだこの新しい本は持っていないだろうと思われるのも無理ないことです。友だちが見付けて贈ってくれたと話したら驚いていました。この本を書かれたのはバイエルン国立博物館のマティアス・ヴェニガーさんで、写真も相当部分を彼が撮っているのです。ヴェニガーさんとはこのあとミュンヘンでお会いするので楽しみにしているところでした。せっかくシャプイさんが用意してくださったご本をお返しするのは申し訳なかったのですが、まだまだ私たちのトランクには13冊の本が残されているので心の中で手を合わせてお断りしました。

 ここでちょっとお詫びです。シャプイさんのお名前をこのブログの137ぐらいまではシャピュイさんとしていたのですが、今回ボーデ博物館の方に伺ったらシャプイさんだと教えてくださったので、ジュリアン・シャプイさんと今回から書くことにします。ご本人の返事ではシャピュイさんだったのですが、何度も変更して申し訳ありません。

 さて、ここでまたカフェに入り、献本したのですが、シャプイさんは端から端までご覧になっていました。私も思い入れの強い写真にはちょっと言葉を添えて。そして、最後までご覧になってから、

「『まえがき』と『あとがき』には何を書いてあるのかここで説明してください。」

と言われるのです。「話すと長くなりますよ~」と言うとそれでもいいとおっしゃるので、簡単にとまとめてあとがき部分をざっと語るとゲラゲラと笑いながら楽しんで聞いていらっしゃいました。そのうち、ご自分のお庭に松の木を植えているのだと写真まで見せてくださって、「あなたはどんな家に住んでいるのですか?」と聞くので、「庭も小さいし、家もとても小さいのです。では写真をお送りしますね」と答えました。(まだ送っていないことに今、気がつきました。)それからショップまで私を連れて行き、売り場の担当者の方に紹介してくださいました。「僕もこの本の挨拶を書いているので、できたらここに少し置いてもらえないかしら」と話しているようでした。「ちょっと見てみてください」と、『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』と私の名刺まで手渡して。今のところ、何も連絡が無いので、販売はなかなか難しいのだろうなとは思っていますが。

 その後、特別展「Beyond Compare  Art from Africa in the Bode Museum」まで案内してくださったのですが、今年1月にカタログをいただいていたにもかかわらず、中味をじっくり拝見するゆとりがありませんでした。アフリカの彫刻とヨーロッパの彫刻の同じようなテーマの作品を比較して展示されていて、その表現の違いは面白いと感じながらもその意味するところが十分は理解できず…。一生懸命説明してくださるシャプイさんにもそれが伝わったのでしょう。「難しいですか?」と聞かれて、「はい、難しいです」と答えてしまいました。ちょっと残念そうな顔をされたので、もっとしっかりカタログを読んでおかなかったことを後悔しました。

 その後、お忙しいシャプイさんとお別れして、ゆっくり展示を見ながら館内を回りました。自分の本を片手に、作品と見比べながら。正直、私の写真の方が実物よりも美しくなっていて、胸が少々痛みました。頭の中の映像は美化されていくのだとよくわかったからです。私も今まで家でカタログを見て、ようやくその作品を見に行ったときにあまりにも印象が違うということはありました。そんな印象を私の本を見てくださる方にも与えてしまい、場合によってはガッカリする人もいるかもしれないとも思いましたが、それは福田 緑の目と心と頭を通り抜けて出てきた表現としての写真集ということでお許しいただこうと思い直しました。

 先ほどのミュージアムショップで三津夫がMichel Baxandallの「DIE KUNST DER BILDSCHNITZER」を見付けました。でもビニールカバーが掛かっていて中味が見られません。他の本は1冊ずつ見本が置いてあるのですが、「これは見本がないのかどうか聞いてみて」と三津夫に言われて尋ねて見たところ、後ろの棚に載っていたのを見せてくれました。中味は私の『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』に共通する作家が載っていて、しかも約半額になっていたのです。三津夫は大喜びで買い求め、またトランクは重くなるのでした。


本に載せた作品も位置が変わっていました。

 

ドイツの美術館で列に並ぶのは珍しいのですが。

 今回も博物館島全体を回れるチケットをいただいたので、レストランで軽食を取り、その後、Neues Museum でネフェルティティを見、Pergamon Museumでは改修工事中で一部を見、Alte National Garalieでカスパー・フリードリッヒ展を見ました。ここは長い行列で40分ほど並んだのですが、ドイツでこんな行列ができるのは珍しいのです。あと3日で展示が終わってしまうため、特に列が長かったのかもしれません。最後にAltes Museumと、ほぼ全館を回って見ました。もう足が棒のようです。万歩計を付け忘れて歩いたのでカウントできずに残念。それでも帰り道でとても大きな本屋さんを見付けた三津夫はしばらく見て回っていました。私は疲れ過ぎたので入り口で待機。本に対する三津夫の情熱には感服します。体は疲れましたが、充実した一日となりました。何よりシャプイさんとの距離がぐんと近くなって嬉しかったのと同時に、いただいたカタログはせめてしっかり読もうと決意した日でした。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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