リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

205. 今日は棚田康司さんの彫刻をご紹介します。

2020年01月18日 | 彫刻

ちょっと日本の話に戻ります。



子の子 樟材にオイル、樹脂 2019


◆棚田康司さんの作品展「鎮守の森の入口で」

 昨年の写真展でギャラリートークのゲストとしてお迎えした棚田康司さんの作品展が、茨城県笠間市にある常陸国出雲大社境内桜林館で2019年10月20日から2020年1月13日まで開かれていました。一度しっかり棚田さんの作品を間近に見てみたいと思っていたのですが、写真展後の片づけや年末・年始の慌ただしさに紛れて気がついたら翌日は最終日。慌てて列車の乗り継ぎを調べ、1月13日の朝8時半に家を出ました。常陸出雲大社に着いたのは乗り換え時間もかかったので、もうすぐお昼という頃。暖かい日差しの中を歩くと汗ばむぐらいでした。

 棚田さんの作品は『たちのぼる。』(青幻舎 2012年発行)で写真を拝見していたのと、昨年の9月に平櫛田中彫刻美術館で2体拝見していたのですが、今回は13体の実物をじっくり拝見することができました。トップ写真の「子の子」(何と読んでも良いそうです。私は「ねのね」と読みました。)は、棚田さんの作品としては珍しく笑顔の少年のように見え、髭のラインを見ていると何となく楽しい気持になりました。

 下の写真の「箱から出ていく彼女の像」は、前から見たものと後ろ姿が全然違うイメージで不思議です。前からの写真では神様の手で頭を撫でられているようにも見えます。後ろから見ると、まるで流れるような彼女の毛に見えます。この箱から出て、彼女は一体どこへ行こうとしているのだろう…と不安を感じます。



箱から出ていく彼女の像
 像:樟の一木造り オイル、銀箔
 箱:樟材、銀箔、コーチスクリュー
 2019

 

 これらの作品の中には樹齢1500年ほどの檜のご神木から彫られたものがあると伺いました。普段使っている素材とは、やはり彫る感覚が相当違うものなのでしょうか。素晴らしい機会に恵まれたのだなぁと思いました。

 


12のトルソ - No.1  不安少年のトルソ
  マンゴー材に彩色、銀箔 2016

 


つづら折りの少女 樟材に彩色 2019

 


白の斜像 檜材の一木造りに彩色 2018

 


12の現れた少女たち No.1 檜材に彩色、銀箔 2016

 


鏡の少女 檜の一木造りに彩色、銀箔、鏡 2017

 


マントの少年 - 日本の場合 -   檜の一木造りに彩色 2015

 


12の現れた少女たち No.4 檜材に彩色、銀箔

 

 『たちのぼる。』の作品は少年、少女の不安で繊細な表情が多く見られましたが、このギャラリー桜林ではもう少し意志の強さを思わせる作品が増えたような気がします。一作目を見て思わず写真を撮りたくなってしまいました。会場の方に尋ねたら「どうぞ」ということでしたので、じっくり撮らせていただきました。撮っている間に段々楽しくなってきて、彫刻たちの表情から不思議で繊細な感覚と、大きなエネルギーをもらいました。皆さんはどのように感じますか?

 棚田さんにご了解をいただいたので、ここで紹介させていただきました。ありがとうございます。 
 ただ、何点か作品名を写し忘れてきたようで、載せられなかったのが残念です。

 次回からまた16回目のドイツ旅行に戻ります。

※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA

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