リーメンシュナイダーを歩く 

ドイツ後期ゴシックの彫刻家リーメンシュナイダーたちの作品を訪ねて歩いた記録をドイツの友人との交流を交えて書いていく。

337. 18回目のドイツ旅行(17) 2人旅 ランツフートからバーデン・バーデンへ

2024年01月27日 | 旅行

▶バーデン・バーデンの磔刑像


磔刑像 ニコラウス・ゲルハールト・フォン・ライデンと工房作 1467年 バーデンバーデン、聖母マリア聖堂参事会教会

 

▶バーデン・バーデンは初めて訪問する町です。

 バーデン・バーデンは以前から有名な温泉町として名前だけは知っていましたが、あまり外国の温泉に行ってみたいという気持ちはなかったので行ったことがありませんでした。でも、私が写真集『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』(丸善プラネット2020年発行)を書いたときにニコラウス・ゲルハールト・フォン・ライデンの仕事の中でまだ見ていない磔刑像(写真・トップ)があることを知って以来、やはり見ておきたいなと思うようになった町です。この磔刑像は当時としては大変大きなものだったそうです。  

 9月13日。バーデン・バーデンでは2泊することにして、駅の近くの宿を取りました。ランツフートからミュンヘンとカールスルーエでそれぞれ乗り換えて4時間半ほどかかります。宿泊先は最近の宿で時々見かけるスタイルで、受付場所は無く、建物の裏側などにキーボックスがあってコードを入れるとキーが取り出せるという宿です。前の日までにメールでコードが送られてくるので、スマホを見ながらの操作。連れ合いはトランクと一緒に道路側で待ってくれています。無事にキーが取り出せたので裏側からドアを開け、廊下を通って表のドアを開きました。2階では掃除機をかけている音がしました。私たちの部屋は1階でしたが、部屋に入ってガッカリしたのは大変たばこ臭かったことです。この宿は禁煙のはずなのにこれでは快適に過ごせません。2階まで上がって掃除をしていた女性にその旨伝えたところ、電話で言ってくれとのこと。主らしき女性に電話を入れると「あとで強力な消臭スプレーを撒いておくから大丈夫」と言われました。するとすぐにさっきの女性がスプレーを持って吹きつけに来ました。あとでもう一度撒いておきますとのこと。それでもあの匂いは簡単には取れないはず。念のためにいつもトランクに入れてある無臭の消臭剤を出して私も部屋に置いて出かけました。

 フライジングでヴェニガーさんにお会いしたときに、「バーデン・バーデンに行くなら近くにきれいな聖母子像があるので行って見てはどうですか?」と薦められた教会がありました。それがリヒテンタール修道院です。調べてみるとバーデン・バーデン駅からバス1本で行けそうです。そこで、今日はこちらの修道院を訪ね、あとは買いものをしたり駅の回りの様子やバス便を見るなど下調べをすることにしました。
 バーデン・バーデン駅まで戻ってバス201番に乗り、賑やかな町の中心を通りぬけて修道院に到着。中に入って見ると確かに美しい聖母子像がありました。作風はグレゴール・エーアハルトに少し似た感じです。


リヒテンタール修道院の聖母子像 作者名は書かれていません。 1489年以前 

 修道院の庭には子どもたちが安心して遊べるようなスペース(写真・下)があり、隣のカフェで親たちがくつろいでいました。



 夕方宿に戻ってきたときには部屋の匂いはマシになっていましたが、案の定、閉めてあったトランク内の衣類にはしっかりタバコの臭いが染みこんでいました。そして更にひどいのはテレビを付けても訳のわからないことばが出てくるだけで、どうやっても内容には入れないのでした。こんなテレビは初めてです。幸先の良くないスタートでちょっとめげました。


▶いよいよゲルハールトの磔刑像を見にいきます

 9月14日。昨日、バスの窓から見えた大きな教会が聖母マリア聖堂参事会教会だと思い込んだ私。バス停を下りて近づいていくと何やら不穏な空気が漂っていました。ホームレスの荷物が置かれ、血が付いたようなゴミまでも落ちていたのです。ぐるっと周りを歩いてみてもどこのドアも開きません。こんなはずはないと思ってスマホで地図を確かめると、目的地はここではなく、もっと駅側に戻った場所でした。それにしてもこんな町の中心地にある大きな教会がこのような状態にあることに胸が痛みました。

 相当歩いて戻っていくと、ようやく通りからも見える大きな教会が現れました。なかなか直接上がれる道はなく、脇の狭い道や階段を上がっていくとようやく教会に着きました。それでもこの教会は、またしてもどこのドアも開かないのです。ただ、入口にはゲルハールトの磔刑像があることが書かれた札が立っていたのでホットはしたのですが。


ゲルハールトの磔刑像が置かれている聖母マリア聖堂参事会教会

 それにしてもこのままではせっかく来たのに念願の磔刑像は見られないことになってしまいます。どこかに事務所でもないかとよく見ると、すぐ近くに市庁舎があるのでした。ここまで行ってまずはお手洗いを借り、ちょうどそこにやってきた職員らしき人に教会のことを尋ねてみました。すると「いつも開いてるはずなんだけど」と言いながらどこかに電話をしてくれたのですが、一度ではわからず、他の人にも電話をしてくれて、やっと今日は午後12時~13時までミサがあり、終わったら拝観できることがわかったのです。彼女に心からお礼を言って町に下りました。

 今日は他にもフリーダ・ブルダ美術館と市立美術館にも行く予定にしていたので、そちらを先に見てくることにしました。フリーダ・ブルダ美術館(写真・下)はモダンアート、そこから渡り廊下で繋がった市立美術館はあまり印象が残っていません。




 市立美術館で一休みして軽食をとり、いよいよ
聖母マリア聖堂参事会会です。無事にミサを終えた教会内を拝観することができました。でも参観者は私たち2人だけです。静かに待ってくれた教会の方に感謝しつつ写真を撮らせていただきました。ゲルハールトの磔刑像はモノクロ写真を見ていたのであまり感銘を受けていなかったのですが、ここではカラフルなステンドグラスの光を受け、厳かに立つキリストの姿に気品と威厳を感じました。実際に見に来られて本当に良かったと思いました。

 この日の目的は全て達成。朝、教会を間違えて行ったり来たりした苦労もすっかり忘れて、帰りがけに見かけたチョコレートやさん、リンツに入って見ました。まぁ、ここも何とカラフルなこと! 全て一粒ずつ買いたくなってしまいますね。中ではコックさんが立っていてお客さんに美味しいチョコレートを試食させてくれるのです。明日訪ねるフランクフルトのトーマスたちへのお土産として一袋買いました。



※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015-2024  Midori FUKUDA

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