山頂で迎えた朝はまたとない晴天、オルヴェラの町に朝日がさして来る。一日中撮ってもあの町は違った顔を見せてくれる。
キャンプサイトで聞いた道を間違って町の西側道路から入ってすぐ、この町の全景を真正面から見ることが出来た。とおりは静かで駐車もしやすく、亭主は近くの自動車修理工場へ用事に行くからと町の麓で別れた。
一人通りを教会、城砦へ向かってゆく。通りは急坂で年寄りにはつらい道だろう。メインショッピングの通りを外れて坂道を登っていたら、観光案内の看板が立っていた。
英語でもしっかり書かれていたからやっとこの町の歴史がわかった。というのはこのような小さな町や村がこのアンダルシア地方の山中にはゴマンとあり、この町はロンリープラネットにも載っていない。
オルヴェラはカディス山脈の北東に位置し、ヨーロッパでも一を誇るグリフィン禿げ鷹の生息地だという。グリフィン禿げ鷹がアフリカの禿げ鷹とどう違うかわ判らないけれど、ヨーロッパに禿げ鷹が居るというだけでも驚き。今年3月ポルトガルからスペインを通って英国への帰国途中に、パンプローナの北の山中で禿げ鷹の群れを見かけた。我が目が信じられなかったけれどこうして書かれてあると納得がいく。
オルヴェラ(Olvera)はアラブ人がこの地に城砦を築いた12世紀、オリーヴ(Olive)の木にちなんでオリヴェラ(Olivera)と呼ばれていたのが自然に i が落ちてオルヴェラと呼ばれるようになった。
山頂に立つパリシュ教会は2ユーロを払って入ってみたけれど、スペインのどこの教会とも変わることなく、ステインドグラスもささやかなものだった。
城砦は12世紀末アラブ人によって建設された。ここはグラナダ王国の城砦として建設されたもので、併設された博物館にはこのような城砦がこの地域に5箇所あるとの地図が展示されていた。城砦の内部には家具は一切なく上下2室の石のだだっ広い部屋とグラウンドに作られた貯水池くらいだがこの城砦から見られる周囲の景色が素晴らしい。4方の山々の麓を走る自動車道からきれいに耕され規則正しく植えられたオリーヴの林、白壁にテラコッタの色の屋根を持つ町の通りなど見下ろして飽くことをしらない。
小さな博物館を出てみると、教会広場で亭主が待っていた。急坂に息も絶え絶えだったという。下り坂も狭い石畳の道を通る車をよけながら降りてくると大きな団体客ではここには来られないだろうと思った。
中腹にそそり立つ岩の上にキリスト像が立っていた。
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