昨夜は風が強くて、今日のフェリーがどんなに辛かろうと心配したが、朝から晴天、風も収まり暖かい一日だった。
スペインに近いこの地域は外国からのホリディ客を収容するホテルやアパート群が素晴らしく、南で見られたスラムなどどこにも見られない。道路もごみなど落ちていないようなところをせっせと掃除している清掃員たちが居た。
海岸べりのプロムナードもモスクの建っている純白の町もスペインやポルトガルの町と全然変わらない。ここだけしか見なかったら、モロッコは何と素敵な国だろうと思ってしまうだろう。
海岸線を走るとスペイン領セウタの町がはっきり見える。又セウタの町からは今までやってきたモロッコの純白の町と海岸線がよく見える。セウタへ行く国境は、入国時の混雑があまりに無秩序だったから、とても心配していた。
国境に着く手前の崖からたくさんのモロッコ人が続々降りてくる。この人たちは一体この国境に集まって何をするのだろう。
出国管理所の前には長い車の行列で、私たちのキャンパーを見ると数人のモロッコ人のおじさんたちが手に手に白い出国願書を持って近寄ってきた。私がお手伝いして早く行けるようにしますと言う。入国で懲りたから、すべてノーサンキューと断り、前方の車の人たちが並ぶと一緒に並んでパスポートに出国スタンプをもらい、キャンパーの登録許可すべて通過して、約一時間ほどでスムースにスペインへ入国できた。
徒歩でスペインへ入国するモロッコ人はまるで監獄のような網と柵の中でぎっしり行列をついている。この人たちはスペインへ日雇い仕事に行くのかもしれない。スペインへショッピングに行く人がこんなに多いとは思われない。
車の長い渋滞で待っているうち、センターを歩いている腰のまがった小さなおばあさんが居た。残った小銭9DHを彼女に手渡した。お礼は言わなかったけど振り向いてニコッと笑った。ヨーロッパへ渡ればごみにしかならない小銭だけれど、このおばあさんには何かに役立つかもしれない。
セウタの町で道に迷い、狭い道を走り回った。この小さな岬の町に一体何万人のスペイン人が住んでいることか。
今日は素晴らしい晴天だから、セウタの港からジブラルタルの大岩がはっきり見える。海は凪いで、スペインへ着いてもアフリカの山々がしっかり見えた。これはジブラルタルの大岩に匹敵するモロッコの岩の岬。
ジブラルタルはヴィクトリア時代のトラファルガーの開戦でスペインから勝ち取った小さな英国領土だけれどもスペインもモロッコにこのような領土を2箇所も持っている。
ジブラルタルのモリソンのスーパー内にあるレストランは地元のイギリス人でいっぱいだった。ここはまるでコミュニティセンターのような雰囲気で、おばあさんたちがおしゃべりに夢中。
ジブラルタルなど早くスペインに返上したらと思ったけれど、その土地で生まれ育って自分の国、自分の土地と思って生きてきた人たちにはそんな生易しいものではないだろう。
いつの時代にもどんなところであろうとも領土問題は大変難しいだろうとおばあさんたちの会話を聞きながら思った。
今日も飛行機が一機も見当たらない滑走路を横切ってジブラルタルへ出入国した。このような滑走路を横切って出入国するような土地は世界広しと言えどもこのジブラルタルだけ。ユニークな飛行場だ。
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