スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

≪国民の芸術≫という本

2014年05月21日 | 雑感
表紙を飾るのは仏像・阿修羅像(興福寺所蔵)です。

この仏像、女性に人気なのだそうです。
なかなかのイケメン。 仏像だから男も女もないとは思うのですが、美形の男性かな~。

仏像芸術から絵画・彫刻・土器・土偶・能・映画・音楽に至るまで日本の芸術文化論を語っている本である。


   

芸術を人間が生み出したものとするならば、それは偶像崇拝の最たるものなのでしょうか!?

仏像を生み出した仏教もそうですが、宗教は本来、信仰のみが第一義とされ、
教祖そのものの偶像さえ拝むことはなかったという。


ユダヤ教におけるモーゼの戒律や、イスラム教の偶像崇拝禁止もしかり。

キリスト教も仏教も、どちらも発祥から数世紀の間は偶像を崇拝することはなかったが、布教と世俗化の必要性からか、宗教がいつしか形を伴い、美を伴って表現されることが要請されるようのなり、最初はわかりやすい絵解きやシンボルの必要性が出発点となったが次第に自立した絵画、彫刻として発展していったという。

確かにその通りですが、ではどうして日本の神々はなぜ、ギリシャやメソポタミアのように、その姿が美術の像として表現されないのだろうか、、、にまで話が及び、ユダヤ教の偶像崇拝禁止や、仏教の中での道元禅師の偶像崇拝禁止への姿勢・芸術否定までに話は進んでいく。

著者は田中英道。日本の美術史家。東北大学名誉教授。
<新しい歴史教科書をつくる会>の会長を務めたこともある。

このつくる会、従来の歴史教科書が「自虐史観」の影響を受けているとして、新たな歴史教科書を創ろうという使命感で1996年設立したが、編集方針をめぐり分裂。「教科書改善の会」など一部の保守系団体は、つくる会は近代的・合理主義的な国家観を有しており左派的であると批判。

私なぞは、これらの会はどちらもかなり右派的な団体と思えるのですが、、、。
人の考えは、その人の立ち位置で随分と見方が変わる。 面白いものです。


親鸞とルターの類似性 能に降臨する日本の神々 浮世絵芸術 城郭建築美等々。
日本の芸術を余すところなく記述。 

750ページまでにわたる分厚い本であるが、とにかく面白い お薦めの一冊です。

話は変わりますが、先日集団的自衛権での反対意見、朝日は50%台・産経は30%台だそうです。
こんなにも違うのですね。

右派にも左派にも接し、、自分の立ち位置を再確認してみてはいかがですか。

つくる会編・他に西尾幹二著 『国民の歴史』・西部邁著『国民の道徳』もある。