少林寺拳法 橋本西支部 道場通信
発行日 2008年2月16日(土) 発行・文責 長坂 徳久
【長坂流少林寺拳法指導の要諦 ②】
その本(教育技術入門)で、向山先生から教えてもらった一番のこと。それは、
「できないのは、指導者に責任がある。」
「指導者が変われば、子どもたちは変わる。」
ということ。つまり、すべては「指導者の責任」。少なくとも指導者がそう考えることで一気に局面は変わる。それは「自分に責任がある。」「自分が努力すれば子どもたちは変わる。」と気づいた指導者は「学ぶこと」をはじめるからだ。
長坂は向山先生の本をどんどん読んでいった。1日1冊のペースで乱読した。どれもが腹の底に落ちる本だった。また、自分の未熟さも痛感した。しかし、向山先生の本には、どうすればいいのかが書かれている。実直にそのとおり実践していけばいいのだ。
今、指導に困っている人がいるならば、特にオススメなのは、
「子どもを動かす法則」(向山洋一著・明治図書)
「授業の腕を上げる法則」(向山洋一著・明治図書)
この二冊だけで、道場や教室は一転するだろう。次に、
「学級を組織する法則」(向山洋一著・明治図書)
「いじめの構造を破壊せよ」(向山洋一著・明治図書)
この二冊を理解して、実践できれば、どんな荒れた状態からも抜け出せる。現に長坂は荒れた道場を生還させた。(ただし、荒らしたのも長坂が原因だが。)
まず、現場の指導で心がけたことは、
ほめる
ということ。これに至るには次のような体験があった。
教育雑誌に次のような趣旨の文章があった。
「私はほめることを大切には思いながらも、実践は出来ていなかった。あるとき、教 頭先生が私の教室に参観にこられた。そのとき、私は、座る姿勢の悪い子どもたちを注意した。しかし、子どもたちに変化はない。そんなとき、教頭先生が、「○○くん、座る姿勢がいいな。」とほめたのだ。その瞬間、それを聞いたほかの子達の背筋が一斉に伸びたのである。」
長坂もこの「私」と同じ状態だった。ほめることは知っていた。しかし、その効用までには気づいていなかった。そして半信半疑で次の六地学園の稽古のときに試してみた。
鎮魂行。座る姿勢が悪い拳士が大半。
今までは、
「○○、背筋を伸ばせ。」
「□□、手は結手しろ。」
とこのように悪い子達を指摘していた。(指導という高度なことではなく、あの頃は単なる指摘だった。長坂の言葉遣いも上のように口語調できつかった。)
しかし、その日は、
「○○の、姿勢がとってもいいね。」
とほめてみた。すると、どうだろうか・・・本のとおり、なんと!
全員の背筋が、スーと伸びたのだ。
一種の感動だった。ほめることの効用をはじめて知った瞬間だった。それまでは「ほめられた子はうれしいだろう。」という認識の「ほめる」でしかなかった。
しかし、ほめることで、他の子達がよくなるということをここで初めて学んだ。
正しくは、自分もほめられようとするのである、子どもたちは。いや、人はすべて。 ほめるということは、その子だけでなく、他のみんなをよくすることができる魔法なのだ。
のちに、なぜそのような効果があるのかは、デール・カーネギーの「人を動かす」を読んで学ぶこととなった。続く。
※「長坂流少林寺拳法指導の要諦」は全国の少林寺拳法指導者のみなさんのお役 に立てればと思い書いていく。