少林寺拳法 橋本西支部 道場通信
ドリーム No.632
発行日 2008年8月30日(土) 発行・文責 長坂 徳久
【聖拳夏夢・・全中2008②】
閉会式から、さかのぼる事5時間。7時45分。
本部の講堂。ここが練習会場になっていた。
ある程度のアップと稽古をこなしたあと、女子団体メンバーを全員集めて長坂は言った。
「お前らは、朝、全員、寝坊して、朝練ができなかった。これで負けたら、お前らはほんまの「おおばかもの」で終わる。でも、ここで勝ったら、お前らは橋本西支部の伝説となる。おおばかやろうで終わるか、伝説となるか、それは、たった一本の演武にかかっている。今までやってきた本当に最後の最後の演武だ。このメンバーでのラストだ。必ず勝てる。そのためには、一つになれ。チームが一つになれ。ここまで来るとそれしかない。いいか?」
「はい!!」
前夜のミーティングでの長坂の話。
「明日は、全員5時起床。すぐにお風呂へいけ。そこで目を覚まして、身体を起こす。そのあとで、先に部屋を掃除して、出発の荷造りをしておけ。6時から6時30分まで部屋で朝練をする。アップ、ルーティーンワークをやってしまう。そして会場ではすぐに本格的な稽古に入る。その後、6時30分から朝食。食べたらすぐに出発する。」
そして、朝6時前に女子の部屋へ長坂は向かった。
土橋がローカに立っていた。暗いお顔でこう言った。
「まだ、誰も起きてなかったみたいです。今、電話で起こしました。」
幸先が悪い・・・
そう言っている間に、男子の亮、勇貴がやってきた。彼らとは風呂でも会ったので起きていることはわかっていた。
ひとまず、女子の部屋に入った。
急いで布団をなおして、練習ができるように部屋を開けている。その表情は「眠たい」というよりも「大変なことをしてしまった・・」というあせりの顔だった。
一瞬長坂は迷った。ここで一喝し、鼓舞させて、気合を入れなおすか?!このままスルーするか?!
今年のメンバーの性格を考えたら、ここはスルーだった。ここで叱っては、テンションが落ちたまま大会に臨むことになると判断した。あとは、拳士への想いである。寝坊はしてもそれでもわが愛弟子だ。気持ちよく大会を終えさせてあげたい。
全員を座らせて長坂は次のように言った。寝坊したことにはふれなかった。
「おはようございます。もう仕方ないので、いまから、すぐに部屋の掃除と荷物整理をしなさい。朝食は予定通り。食べたらすぐに出発する。勇貴は部屋でルーティーンを自分でやっておきなさい。」
終わったことは、次の対策を立てるしかない。いつまでも指導者はひきずってはいけない。
今回、朝稽古を実施できていたら最終の順位はどうだっただろう?と拳士も保護者も思っているだろう。それでいいと思う。今回のことが彼女たちの人生の教訓になればそれはそれで一つ成功だといえる。
※聖拳夏夢・・出場拳士でお揃いのTシャツを作った。そこへこの文字を刺繍した。