而今

「我ここに於いて切なり」
今この時を懸命に生きる。生き方上手になりたい・・・

リヨちゃんと 桃のかんずめ

2005-05-13 | ごかぞく
”なんか食べたいものなあい”とにメールが来た。とっさに
”桃の缶詰が食べた~い!”白桃や洋なしの缶詰を抱えて旦那様がご帰宅・・・
まったく食欲がない!食べたら胃が痛い・・・すこしおいて・・・お腹がやんでくる・・・
でも・・・でも・・・桃の缶詰は食べれそう・・・桃の缶詰を食べたら元気になれそう

むかし・・・はるかむかし?・・・
いろいろもろもろの家庭の事情というものが有りまして・・・わたしは”ばあちゃん”と長いこと二人暮らしで有りまして・・・
今のように風邪をひいた、お腹がいたい、熱を出した、と言ってはお医者さまにかかることなどなく、一年に二回”富山の薬売り”さんが大きなつづらをかついで、子供の喜びそうなもの(たとえば紙風船や、ゴムの風船・・・)そしてあちこちのおもしろいお話と共に置いて行ってくれる薬を飲んで寝ていれば直る・・・という頃のことです(決して昭和の初期のお話ではありませんのよ)
一人寝込んでいるわたしを置いて”ばあちゃん”は野良仕事に出かけたものです。
そんな時は必ず何故か桃の缶詰と数本のバナナが枕元にありました。
今でこそバナナは・・・
でも・・・わたしが幼少のみぎりは・・・病気をしたときとか、学校の遠足とか・・・それくらいですね。食べれたのは・・・決して家が貧しかった訳ではないのですが・・・(ちょっとはそれもあるかな?)
魔法の薬なんです。”桃の缶詰”と”バナナ”は・・・でも・・・野良仕事先で”おやつ”にもらって来る菓子パンやつきたてのおもちなども楽しみだったな・・・
後で知ったことだけど”ばあちゃん”は食べないで持ち帰ってくれていたんだよ
”ばあちゃん”は家長であり、わたしの父であり母であり・・・とにかく・・・わたしがこうして生きてられるのは”ばあちゃん”のおかげ・・・
生きていくことや、人の世の常など”ばあちゃん”は言葉ではなく身をもって知らせてくれたからね・・・”ばあちゃん”あなたは偉大です。
この頃感じます。あなたのDNAがわたしの中で”ふつふつ”と湧き出してくるのを・・・
”くよくよしてもしょうがなかんべ~よ。過ぎたことは戻らんよ!!”
あなたの締めはこの言葉でしたね・・・
そんな”ばあちゃん”が脳梗塞にかかって寝たきりになってわたしのことも思い出せなくなったときも
”リヨちゃん”と呼ぶととってもいい顔で”は~い”と返事をしたんだよね。
それからもう”ばあちゃん”は卒業・・・”リヨちゃん”のまま遠いところに行きました。

”リヨちゃん”ももの缶詰の魔法がきかないみたい・・・
ついに痛み止めの入った点滴をうけてきました。尿検査と、血液検査も・・・
”お さん。いつまでも若くはないんですよ。お気をつけあそばせ・・・”と言っているような・・・
コメント (2)
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