今年もHPFの季節がやってきた。昨日の21日から開幕して、31日までの11日間、3会場で26作品が上演される。
今年は久々にたくさんの芝居が見られそうだ。この春、職場が変わり、通勤経路にウイングが入ったからだ。仕事帰りに途中下車したなら、1本が見られる。今日から夏休みなので、6時までに職場が出られるからだ。昨年までは職場が枚方市だったので、5時過ぎに出られないと見 . . . 本文を読む
11歳のふたごの女の子たちの1年間のお話。1月から始まり12月まで。その間にふたりは5年生から6年生になる。今は、9月まで読んだところ。この後、どんなことが起きるのかはまだわからないけど、きっと特別なことなんかない。
この年齢にしてはちょっと子供っぽすぎるかな、とも思うけど、ふたりはかわいいし、一生懸命なので、いい。まるでもっと小さな子どもたちのお話のような展開な . . . 本文を読む
ナンセンスコメディ-。3人の女たち。それまで、メール等ではやりとりはしていたけど、直接会って話したわけではない。真っ暗な中で出会い、そして、ことばを交わし合うけど、相手の姿は見えない。ここは彼女たちが自分たちの店として借りた場所。内装を任せた業者から今日引き渡しを受けるはず。なのに、見に来たらまだ出来てない。騙されたのか、と思う。だが、この工事中の状態が、詐欺ではないとも、思える。 . . . 本文を読む
泣ける。こういうベタな話なのに、ちゃんとそこに嵌まってしまえるのは、作り手がなんの衒いもなく、思い切りこの世界を信じたからだ。そこで要らない小細工なんかをしたら、きっと目も当てられないものになる可能性も十分にあった。そういう意味でこれはかなりこわい企画なのだ。だが、作、演出、主演をいつも通り兼ねる主宰の石井テル子さんは怖れない。堂々とこの世界観を信じる。こんなことがあり得たのだ、と . . . 本文を読む
来年劇団創立60周年を迎える息吹の最新作は定年後の生き方を巡る物語。劇団だって60年過ぎたら定年になるのか、なんて、思いもしなかったけど、そんなバカなことを考えさせてくれるような丁寧で爽やかな作品に仕上がった。なんと2時間を超える長尺作品なのだが、それを休憩なしで一気に見せてくれたのも嬉しい。(年配の役者たちも多数いるのに。まぁ、休憩を入れなかったのは、実は、会場の閉館時間の都合ら . . . 本文を読む
昭和60年代、高度成長期を背景にした家族の物語。大阪グリーン会館のこれだけ作り込んだセットを立て込んだのは凄い。劇団せすんの本気がそこからでも伝わってくる。
「もやし屋」が舞台となる。昭和の時代には、もやし屋なんていうものがあったのか、と初めて知る。これは僕が子ども頃の話なのに、僕はもやし屋なんて知らなかった。小さな頃のいろんなことを思い出しながら芝居を見た。なん . . . 本文を読む
4回わたる膨大なインタビュー。『騎士団長殺し』を中心にして、川上未映子が村上春樹に迫る。村上春樹の創作の秘密に迫る、とか、そんな感じではなく、だけど、読みながらいろんなことが見えてくる。村上春樹を通して、世界が見えてくる。大好きな作家とその本の話をする女の子。川上未映子はインタビュアーとしても優れているけど、それは相手が村上さんだったから出来ることで、ふたりの幸福な出会いが、この本 . . . 本文を読む
前作はまるで期待しないまま見たから、その衝撃の大きさったらなかった。なんだ、この映画は! と思わず絶句する。こんなお話がありですか、と思いつつ、あれよ、あれよ、という間にどんどん、話が進んで行き、圧倒されて、終わる。アクション映画なのだけど、過激なんだけど、かっこよくて、おしゃれで、スタイリッシュな映画。
だから、2作目にも期待する。でも、わかっていたのだ。2作目 . . . 本文を読む
ハロルド・ピンターの作品を日本初演で贈るエイチエムピー・シアターカンパニーの新作。笠井さんはもう自由自在だ。3度の『アラビアの夜』(同時に2種類の演出でやったこともある)を見て、彼の手にかかれば同じ作品がそのつど新鮮なものになる、というのはわかっているのだけど、それでも、また、こんなふうに新しい見せ方で、やられると、どれだけいろんな引き出しがあるのですか、と驚かされる。
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サン・テグジュペリの『星の王子さま』をもとにして、飛行士と王子さまの交流を描くミュージカル。10数曲の歌が散りばめられて、お話は原作に忠実。砂漠に漂着した男が王子さまと出会い、彼と関わっていくうちに、今の自分の生き方を見つめ直すことになる。死んでしまった弟への想い。恋人のこと、空への想い。そんなこの小さな小説に込められた想いをしっかりと汲み取って、人と関わり会うことの意味を伝える。 . . . 本文を読む
誤解のないように先に書いておく。これは面白い芝居である。このけだるい時間が、延々続く。たった90分がとても長いと思わせる。なのに、面白い芝居なのである。この長さは意図的なものだ。この不快感も同じ。それがこの作品の魅力で、そのためにわざわざ、必要以上の間を役者たちに取らせている。観客の我慢のギリギリのその先まで、演出がねばらせる。イライラと不快感が募る。
あの男は死 . . . 本文を読む
「シャバ・ダバ・だぁリーディングその7」である。毎年夏には必ずやっている。これで7年連続だ。たまたま、初めて、始めて、面白かって、もう一度、と思い気付けば、7年。恒例行事となる。そういうスタンスが素晴らしい。条あけみさんたちは、こんなふうに、誰もがやらない独自のやり方で、でも、無理なく確かに自分たちの芝居を作り上げる。その取り組みは素晴らしい。昔、一時期はやった「リーディング」だけ . . . 本文を読む
スタジオポノックの第一回作品。当然、ジブリの新作のような作品である。売り方も作り方も完コピしている。もちろん、米林宏昌監督は前2作同様、自分の世界観を貫いているだけのことだ。
『魔女の宅急便』と『千と千尋の神隠し』を混ぜて、『ハリーポッター』で味付けした。コンパクトで的を射た、とてもよく出来た作品になっている。ただ、こういう作り方ゆえ、新鮮味には欠けるのは仕方ない . . . 本文を読む
中村義洋監督が『映画 怪物くん』に続いて大野智とタッグを組む、というところはスルーして、『殿、利息でござる』に続いて挑む時代劇、という部分だけで、期待した自分がバカだった、と、反省するしかないような惨い映画だった。どうしてこんなことになってしまったのだろうか。(そうなのだ! あの『怪物くん』も彼の映画とは思えないくらいに酷かった)
中村監督のライト感覚が悪い方に影 . . . 本文を読む
地味でどこにでもあるようなできごと。それをお金と時間をかけて丁寧に映像化していく。こんな映画が商業映画として作られる。それって奇跡だ。ここには何の事件もない。これは戦時中から戦後の時代を生き、今に至るひとりの女性とその家族の話だ。老いた彼女が自分の人生の手記を書く。彼女が倒れた後、それを孫が引き継ぎ、清書していく。その行為を通して、彼は彼女の生きた時代をたどる。
それは波乱万丈の . . . 本文を読む