習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『きみに微笑む雨』

2010-08-08 07:49:22 | 映画
 ホ・ジノ監督の第5作である。彼のデビュー作である『八月のクリスマス』は僕にとって生涯の1本だ。あの映画を見たときの感動は忘れることがない。最初の場面から魂を揺さぶられた。なんでもない描写に涙が溢れた。どうしてここで自分が泣いているのか、わからない。ただ学校のグランドで風景を見つめているだけのシーンなのに。そして単車に乗って街を走っているだけなのに、それがあんなにもキラキラしていた。    生き . . . 本文を読む
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『すべては海になる』

2010-08-08 07:45:20 | 映画
 山田あかねの傑作小説をなんと本人自らの手で映画化した作品。過去にも村上龍が『限りなく透明に近いブルー』を監督してひんしゅくを買ったこともあったし、作家が映画監督に挑戦したことは、ないわけではない。だが、大ベストセラーでもない小説が、一応メジャーな商業映画として制作されるなんてかなり希なことではないか。しかも、それが作家の独りよがりになることもなく、成立しているのである。これはちょっとした奇跡だ。 . . . 本文を読む
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『借りぐらしのアリエッティ』

2010-08-04 00:51:25 | 映画
 新人監督によるスタジオジブリの最新作である。例によって宮崎駿が企画、脚本を担当する。宮崎印のジブリブランドは信用のマークだ。たとえそれが若い監督を立てた映画であったとしても、彼の後ろ盾があるだけで大ヒットが約束されている。幾分期待薄で劇場に入った。いかにも宮崎駿が好きそうな話だが、それを自分が演出しないとどうなるのかは先のたくさんの映画が証明してきた。どれも悪くはない。だが宮崎駿の強烈な個性には . . . 本文を読む
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中村航『あのとき始まったことのすべて』

2010-08-01 22:38:37 | その他
 なんだか読んでいて恥ずかしい気分にさせられる。こんなにも幼い感情が小説として万人に向けて提示されていいものなのか、と心配になるほどだ。まぁ、これは僕が心配するようなことではなく、編集者がOKを出して、出版されたのだから、大丈夫なのだろう。ちゃんと読者が受けとめ、小説として認知されたのだからなんの問題もない、はずなのだ。  だが、というか、僕は、これが小説である、ということすら、信じられない。こ . . . 本文を読む
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