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映画・演劇のレビュー

『アンビュランス』

2022-03-31 10:35:31 | 映画

『アルマゲドン』や『トランスフォーマー』シリーズでおなじみのド派手なアクション大作映画の雄、マイケル・ベイが初心に(?)戻り、シンプルなアクション大作に挑む。今時珍しくなった銀行強盗の話だ。だが、それを彼が手掛けると、それはB級アクション映画ではなく、こんなにもどこまでも派手でエスカレートする大作化する。ネットフリックス映画だったけど、相変わらずド派手な前作『6アンダーグラウンド』の流れを組む作品だ。こんなありがちな話を、どうすればこうなるのか、というほどに途方もないものにする。2時間16分。90分にしても大丈夫な内容だ。それなのにこのボリューム。もうお腹が一杯になる。

CG頼りの映画ではなく、手に汗握るリアルなカーアクションを見せる。カメラは縦横無尽に動き回り、「なんちゅうカメラワークをしてるんや!」と驚きの動き。強盗を働いた元軍人の主人公が、瀕死の警官を乗せた救急車で逃走劇を繰り広げる姿を描いたノンストップアクションだが、死にかけの警官を看護師がリモートで医師の指導下、車中で手術とか、もうありえない。もちろん逃げながらだから、パトカー相手で同時にカーチェイスとかしているし。この死にかけの警官ひとりを助けるために、どんだけの車をクラッシュさせ、どんだけの人が死んでるか。

ありえないアクションの連打。今時、どんなものでも撮れるのだろうが、それにしてもここまでやられると、アクションの可能性はまだまだあるかも、と思わされる。マイケル・ベイのあくなき追求心たるや。感服する。主人公の3人は確かに頑張っているけど、主役はもうアクション自身で人間は不在。救急車やヘリやパトカーが命を張ってスクリーンで大暴れする。

時代錯誤の超大作なんだけど、あっぱれだ。でも、今の時代、この志の高い(!)映画はヒットしない。大スクリーンで上映して欲しいのに、最初から小さなスクリーンでの上映で、1日、3回程度。(僕は地元のイオンシネマで見た)大阪では梅田で1日1回だけ、お昼に1番スクリーンでドルビーアトモス上映しているけど、さすがにそのためだけに行くのはおっくうだったので断念した。それにそこまでこの映画に期待したわけではなかったからね。でも、見終えた今ならまだ見ていない人に「ぜひ、梅田の1番スクリーンで見よう」とお勧めする。

 

 


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