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映画・演劇のレビュー

『ゲノム・ハザード』

2014-12-03 21:33:07 | 映画
『ゲノム・ハザード』で充分なのにサブタイトルに「ある天才科学者の5日間」なんてある。言わずもがな、だ。こういうパターンは作品に自信がない場合が多い。もちろん、宣伝サイドが、だが。

とはいえ、こういう映画を日本で作る、だなんて、そこは凄い。別に日本のマーケットを意識したわけではないだろう。(少しはあるだろうけど。でも、これが日本で大ヒットするとは、とても思えないし、西島秀俊もこの映画を撮影しているときは、それほど有名ではなかったはずだし)では、なぜ、こういう映画をわざわざ日本で撮ろうとしたのか。韓国を舞台にして翻案すればいいし、そういう映画は数ある。大体、日本で撮ると製作費も嵩むし、制約は多いし、そのわりには得るものも少ない。それだけ原作のイメージを忠実に再現したかったのだろうか。どれくらい日本資本が入っているのかも定かではないけど、合作といってもあくまでも韓国映画としてのスタンスを取る。韓国主体の作品のようなのだ。

言葉もほとんど日本語だし、日本を舞台にした映画だ。(日本の小説の映画化だから当然と言えば当然なのだが)それを韓国人スタッフが撮る。そういう試みが面白い。

映画自体は、テンポのいいアクション映画だ。事件の核心に迫って、やがて謎を解明するというよくあるパターンのお話なのだが、あっと驚く結末が待ち受けている。(まぁ、それも含めて定番だが)話の展開のさせ方にはかなり無理がある。主人公のふたりのかかわり方も不自然だ。台本の不自然さは拭えない。テンポよく見せるから、あまり気にならない人もあるかもしれないが、杜撰な展開で、説得力がない。なぜ、追われるのか。記憶が失われていくなかで、どうして真実に迫れるのか。もう少し緻密な展開がなくては、緊張感が持続しない。

きっと原作(司城志朗)自身も中途半端なエンタメで、リアルには程遠いのかもしれない。それを派手なアクション大作として作ったから、こうなった。作り方次第ではなかなか面白い映画にもなったかもしれない。西島秀俊が頑張っているだけに、残念だ。



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