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映画・演劇のレビュー

大阪ビジネスフロンティア高校『少女仮面』

2017-08-03 21:02:29 | 演劇

 

HPF初参加(そうだったんだぁ! 天商の頃は何度も参加していたけど)のOBF高校は、なんと唐十郎初期の傑作に挑戦した。こんな難しい作品によくぞ挑んだ。しかも、ちゃんと歌うし。唐組の協力でちゃんと歌のシーンもオリジナルに忠実に再現しようとしたようだ。高校演劇だからといって侮れない。これは本格的な公演である。上演時間も90分。

 

役者たちも、難しい役をしっかりこなしている。こういうアングラ劇を、高校生である少女たちだけで演じるのに違和感がない。しかも手慣れた感じではなく、初々しさは損なわない。バランス感覚に秀でている。

 

しかも、そこにちゃんと自分たちの世界(観)を形作る。地下の空間。宝塚のトップスターだった春日野八千代に憧れて、そこにやってくる少女と祖母。現実から離れた異世界に入り込み、不思議な探検をする。空間自体はこの地下の喫茶店からは一切移動しないけど、そこが時空を越えて、さまざまな世界へと異化していくスリル。ドキドキさせられる。少女と春日野八千代とのドラマは、過去と現在、やがて訪れる未来をつなぐ。ストーリーなんか、わからなくてもいい。(それが唐十郎の芝居のルールだ。)でも、ここに描かれる人と人とのぶつかり合い(肉体と肉体、という方が的確か)から生じる熱いパッション。それだけが伝わればいい。OBFの少女たちの高校生という特権的な身体が生き生きと躍動する。

 

 

決して傑作だとか言って持ち上げる気はないけど、とても清々しい(!)芝居に仕上がっていたことに感動した。きっとそれだけでも、これは大変なことなのだ。

 


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