7つのお話は、それぞれ彼女たちの抱える痛みとともに、読み手であるこの僕の胸にしっかり届いてくる。女の子たちの特別な時間。ここで暮らす高校生活の中で、彼女たちが感じたこと、見たこと、思ったこと。地方都市の女子高を舞台にした短編連作。
豊島ミホの代表作『檸檬のころ』と同じようなスタイルの作品。今回も彼女のよさは十二分に出ている。どちらも切なくて素敵な小説だが、どうしても二番煎じという印象は否めない。最初の新鮮な驚きはここにはもうない。同じ切り口であっても、前回にはない新機軸があったなら納得したかもしれないが、これではあまりに同じすぎる。
現役の高校生だけではなく、彼女たちを取り巻く人たちの群像劇とするのも、前作と同じ。女子高を舞台にしたのは、共学校の前作と少し違うが、それくらいのことじゃぁ異口同音でしかない。反対に女の子ばかりを主人公にしたことで(それが今回のテーマだが)全体が平板になったかもしれないくらいだ。教師、教育実習生、卒業生等も交えて、世代の違いも打ち出しはしたが、それが全体のイメージを形成するまでには至らない。さりげないエピソードの連鎖では、どうしてもそれ以上のものを描けない。
また、それぞれのエピソードは微妙にリンクするけれども、それらが何らかの化学変化を起こすところまでにも至らない。そんなところも実にもどかしい。要するに彼女は今、このスタイルで長編小説を書くべきなのだ。長い物語を紡ぎあげていくことは、この彼女のやり方では難しいのかも知れないが、岩田ユキ監督が『檸檬のころ』を主人公を2人に絞り長編映画に仕立てたのを見てるわけだから、そこから自分なりの方法を掴み取るヒントは得たはずだ。
この若い作家が自分の持てる力のすべてを出し切ったとき、何を見せてくれるのか、とても楽しみだ。彼女なら、安易なことはしない。慎重に自分の方法論を探りながら、今まで見たことのない素敵な少女小説を作り上げてくれるだろう。もう一度この素材で挑戦して欲しい。
豊島ミホの代表作『檸檬のころ』と同じようなスタイルの作品。今回も彼女のよさは十二分に出ている。どちらも切なくて素敵な小説だが、どうしても二番煎じという印象は否めない。最初の新鮮な驚きはここにはもうない。同じ切り口であっても、前回にはない新機軸があったなら納得したかもしれないが、これではあまりに同じすぎる。
現役の高校生だけではなく、彼女たちを取り巻く人たちの群像劇とするのも、前作と同じ。女子高を舞台にしたのは、共学校の前作と少し違うが、それくらいのことじゃぁ異口同音でしかない。反対に女の子ばかりを主人公にしたことで(それが今回のテーマだが)全体が平板になったかもしれないくらいだ。教師、教育実習生、卒業生等も交えて、世代の違いも打ち出しはしたが、それが全体のイメージを形成するまでには至らない。さりげないエピソードの連鎖では、どうしてもそれ以上のものを描けない。
また、それぞれのエピソードは微妙にリンクするけれども、それらが何らかの化学変化を起こすところまでにも至らない。そんなところも実にもどかしい。要するに彼女は今、このスタイルで長編小説を書くべきなのだ。長い物語を紡ぎあげていくことは、この彼女のやり方では難しいのかも知れないが、岩田ユキ監督が『檸檬のころ』を主人公を2人に絞り長編映画に仕立てたのを見てるわけだから、そこから自分なりの方法を掴み取るヒントは得たはずだ。
この若い作家が自分の持てる力のすべてを出し切ったとき、何を見せてくれるのか、とても楽しみだ。彼女なら、安易なことはしない。慎重に自分の方法論を探りながら、今まで見たことのない素敵な少女小説を作り上げてくれるだろう。もう一度この素材で挑戦して欲しい。