習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『まぶしい一日』

2007-01-25 20:41:05 | 映画
 3話からなるオムニバス映画。韓国の独立プロが<戦後60年記念企画>として作り上げた映画らしい。日本人と韓国人をテーマにして、お互いが、どんなふうにして分かり合えるのか、ということを若い世代を主人公にして描いていく。監督たちも1970年代生まれの世代で固めた瑞々しい映画。

 第1話『宝島』は、済州島を訪れた2人の日本人女性の話。祖父の遺言を叶えるためこの島に来て、2人は大切なものを見つける。

 第2話『母をたずねて三千里』は、日本に出稼ぎに行った母に会うため詐欺をしてお金を貯める男の子の話。

 第3話『空港男女』は、仁川国際空港を舞台にして、日本人旅行者と空港で働く女性が、深夜の空港で過ごす時間を描く。

 3話はそれぞれ独立した作品だが、同時にトータルなものとして、日本と韓国の、近くて遠い距離、というものを描く。企画は悪くないし韓国映画界がこういう映画に取り組もうとする姿勢は、日本人として、とても嬉しい。

 ただ、映画の作り方があまりに緩すぎて、突っ込みどころ満載の映画になってしまったのは、辛い。ファンタジーとして見せようとするにしても、もう少しリアリティーは必要だ。特に細部に関しては不備が多すぎて乗り切れない。

 第1話の詐欺師とか、4人組なんてあまりに安易な設定でついていけない。ホテルも決めずに空港から目的地に向かうのも、あまりに性急で、さらにはあんなに簡単に目的の赤い樹が見つかるのも、なんかなぁ、と思った。2,3話に関しても同じで、いくらなんでも安直すぎる。偶然とかに頼りすぎたストーリー展開には興ざめする。夜の空港は誰もいなくて、2人で自由に遊びまわれるなんて、そんな馬鹿な話はない。嘘をつくならそれなりの仕掛けが欲しい。スピルバーグの『ターミナル』くらいのリアリティーはせめて必要ではないか。全くお互いの言葉が解らないのに、ずっと話続ける2人を描く、という発想はなかなか面白いだけにもったいない。

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