習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『センセイ君主』

2018-08-02 20:23:50 | 映画

予告編を見て唖然とした。こんなバカな映画を本気で作るのか、と。浜辺美波がもう振り切れている。とことんあっちの世界にいってしまっていて、あり得ない人を演じている。これが滑ったなら悲惨なことになりそうだ。でも、こういうバカバカしさ満開の映画を最後まで引っ張って行けたならそれはそれで立派なのだろう。怖いもの見たさで見てしまった。少女マンガの世界であることを十二分に生かしてなんでもありの大バカ映画を目指す。

 

だが、やはりこれは難しい。だだのバカなら、そのうち飽きてくるからだ。1時間くらいまではそれなりに頑張っていた、とは思う。だけど、後半、力尽きてくる。そこで作者はちゃんとテコ入れしなくてはならないし、そこが監督の腕の見せ所のはずなのだが、ダメだった。ハイテンションでお騒がせキャラ、コメディエンヌとして絶妙な凄さを発揮したヒロイン・浜辺美波は確かに頑張った。だけど監督の月川翔は彼女を助けられなかったから、後半彼女は自滅するしかない。先生役の竹内涼真もポーカーフェイスで頑張ったけど、それだけでは無理。しかも、あんなバカな女子高生をいなしきれず、僕も好きだった、とか、ありえない。

バカ女に振り回されるダメ教師という安易な図式からどれだけ離れられるのかがこの映画の命綱なのだけど、そこでシリアスへと逃げることで結末に向かうという図式では、この映画自身の存在意義はなくなる。シリアス・タッチなら昨年三木孝浩監督が最初から全力本気で(『先生!』)でもう同じことをやっている(というか、もうやりきっている!)のだから、そこには行かさないことでどういう決着をつけるのかがこの映画の在り方のはず。しかも、前半あれだけバカしているのに、終盤でまじめになってもシラケるだけ。

だからこれは最後まで軽いタッチのラブコメでいいのだ。だけど、あれだけヒロインがはじけきったのなら、それを凌ぐ落とし前がつけられなくては意味がない。加速度がついたまま突っ走ってもらいたかった。こんなにも嘘くさい話なのだからそこはとことんやればいい。だけど、納得が行く終わらせ方は、やはり難しい。

ということで、ここには壮大な冗談の先をいくような唖然とする結末がないから、つまらないという結論に至る。 笑わせるのなら最後までやり切れ。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北摂つばさ高校『解き方不明... | トップ | 箕面東高校『Races』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。