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映画・演劇のレビュー

最近見た映画、簡単な感想メモ

2018-03-11 22:11:40 | 映画

『オマールの壁』

ガザ地区で暮らす男の日常を描くラブストーリーなのだが、お話の展開自体も理解できないような日常が描かれる。政治的なお話なのでパレスチナ問題に疎い僕たちにはわからないことだらけだ。でも、親切な解説は一切ないまま、テロ活動が描かれ、スパイ行為を強要され、恋を諦めて。とても辛い話で見ているのがしんどい映画なのだが、最後まで目が離せない。この映画の不親切さがとてもいい。見ている間、圧倒される。わけのわからないものに魅了され、自分なりに理解しようとしながら見守ることになる。圧倒的な不条理に、翻弄される。

 

『彷徨える河』

アマゾンの奥地にカメラが入る。ふたりの男が、それぞれそこに入って行き見たものを、ドキュメンタリータッチで綴る。これもまた不親切な映画で、何が描かれているのか、それすらわからない。時代がいつで、どうして、彼らはここにいるのか、何を求めたのか。まるでわからない。なのに、見てしまう。最初の蛇が生まれるシーンのおぞましさ。それを延々と見せる意味はどこにあるのか、よくわからない。今時めずらしいモノクロの映画は、映画から生々しさを奪い、神秘的なものを提示する。よくわからない世界がそこには広がる。理解不可能な世界の出来事をただ淡々と見せていく。ふたつの話が出会うこともないまま、並行して描かれていく。アマゾンの奥地に滅んだ先住民族の村、わけのわからない白人が支配する場所、今も尚、そこで暮らす文明と断絶した民族。研究のためといいながら、無謀としかいいようのない旅をする。自分が何を見たのかすら、よくわからないのだが、2時間ただ圧倒される。

 

 

『ママは日本にお嫁に行っちゃダメと言うけれど』

フェイスブックで知り合った台湾の女の子と日本の男の子の不器用なラブストーリー。とても小さな話を小さいままで見せていく。メールのやりとりとたった2度の台湾旅行を通して、彼らが結婚に至る過程が描かれる。軽いコメディタッチで、さりげない描写から、彼女の気持ちがどんどんエスカレートしていき、ラストではいきなり結婚へと進展していくのはさすがに性急すぎるけど、こんなこともありか、とも思う。出会いから結婚を意識するまでのお話だから、この後さまざまなトラブルがあったはず。そんなふたりの実話をベースにして、ピンポイントで描く。大切なことはここからなのだろうが、それは一切描かないで、この出会いのドラマだけに集約する。国際結婚の困難を描くのではなく、どこにでもある男女の出会いを等身大で描く。

 

『スノーデン』

オリバーストーン最新作。今回は国家機密漏洩をする男を巡る事件を通して情報化社会における個人のプライバシー保護はどうなるのかに迫るお話。いつも通り強引でグイグイと力で押し切る2時間15分である。信念のためなら妥協しない。有無を言わさない。

 

『友だちのパパが好き』

この異常な話を受け入れることは難しい。主人公の行動は常軌を逸している。友だちのパパへのストーカー行為も、元カレである教師(彼女は女子高生!)への対応も、ふつうじゃない。思い込みの激しさゆえ、と単純に理解するわけにはいかない。納得する余地がないほど、ありえないからだ。それはラストの自殺未遂までどこまでも自然体でエスカレートする。変態的な映画。

 


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