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映画・演劇のレビュー

ブルーシャトル・プロデュース『新撰組 暁ノ章』

2018-01-25 22:56:55 | 演劇

 

前作『龍の羅針盤』で前後篇4時間越えの大作に挑んだ大塚雅史とブルーシャトルが、今回は4作品の連続上演に挑む。上演自体は、今日見た「暁ノ章」と次の「宵ノ章」という2部構成なのだが、それぞれ1時間の作品の2本立上演。(途中、休憩10分が入る)4話からなる連作仕立てだ。

 

主人公を変えて4つの視点から新撰組の最初の2年間を描く。隊の結成から池田屋事件まで、である。彼らは以前、『壬生狼』で同じことを作品化しているが、今回は、より深く、熱く、正面から新選組を描く。集団ではなく、個にこだわるのも、さらには、ストーリーに主眼を置くのもめずらしい。さて、今回の暁ノ章である。近藤勇と芹沢鴨が主人公を担う。

 

第1話(「近藤勇の大志」)では、彼らがいかにして集まり、壬生浪士組となるのかを描く物語の発端部分。いつものように派手で華やかな舞台が山本誠大を中心にして描かれる。お話の導入部として遜色ない。

 

だが、今回のメインは芹沢鴨の死を描く第2話(「芹沢鴨の後悔」)だろう。とてもシンプルで切ないドラマになった。主人公を田渕法明が演じる。芹沢鴨の狂気を描くのではなく、彼が静かに死を受け入れていく姿を短編読み切りスタイルで見せていく。

 

大きな歴史の流れの中で彼らがどう生きたのかを群像劇として見せていくというのがいつものブルーシャトルのパターンだが、彼らとしてはめずらしく、完全に群像ではなく、個にスポットを当てて、暗殺に至るまでを淡々と描いた。第1話の近藤勇の部分では、全体の掴みの部分なのでそのスタイルはそこまで徹底しなかったが、2話ではそのアプローチの究極スタイルを提示する。個の視点を定め、彼の目から仲間たちを、そして時代をみつめていこうとする。芹沢の暴走を否定も肯定もせず、静かに死を受け入れる姿を通して描く。暗殺のシーンのみにスポットを当てたのがいい。 この方法が後半の2話では、さらにどんな展開を見せるのか、楽しみだ。

 


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