習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

シネドライブ2016

2016-03-17 19:50:13 | 映画

 

久々にシネ・ドライブを見ることにした。インディペンデントの映画を見るのは勇気がいる。稚拙であったり、独りよがりであったり、要するに時間とお金の無駄になる公算が大きいからだ。しかも、こういう無審査の自主映画から、面白い作品を自分の嗅覚で探し出すのは困難だ。でも、たまにそこで、凄いものに出会えれると、なんだかうれしい。自分が発見し、発掘することが出来る。昔、ぴあのフィルムフェスティバルで、よく映画を見た。このシネドライブは審査がないだけに、あれ以上にギャンブル度が高い。資料となるのは、チラシに書かれた簡単な紹介と、1枚の写真、映画のタイトル。それだけ。今回エントリーされた40本の中から、5本をセレクトした。

 

たまたま、エイチエムピーシアターカンパニーを見に行った帰り、チラシの束に挟まっていたこの映画祭のチラシを見たのが、きっかけだ。12日の夕方だった。その日の夜、たまたま時間が空いていた。京阪特急の車内で、じっくり、40本の紹介文を読んだ。その時点では見るつもりは一切ない。もし、自分が見るのなら、この10本かな、と思うものをリストアップした。それらの映画が上映される時間を見た。すると、5時20分から3番組連続で、5本。ちょっと見てもいいか、と思える10本に収まった作品が並んでしまった。しかも、同じ劇場で。今から行くと、ちょうど5時前に梅田に着くことも可能だ。しかも、少し時間もあるから晩御飯も食べられる。まさかの、タイミング。これは、天が自分に見に行け、とでも言っているとしか思えない。と、いうことで、まるで行く気なんかなかったけど、行くことにした。天劇キネマトロンというスペースにも初めて行くし。

 

果てしなく、前書きが長くなったけど、そういうことで、Q,T,Wプロの3番組を見ることにした。最初の『誰か、僕を抱きしめてくれないか?』を見たときには、めまいがした。このレベルの自主映画は無理だ。30分がとても長い。でも、昔僕が映画を(8ミリ映画で、)作っていたときのレベルは、きっとこの程度だった。だから、これをどうこう言う気はない。女性監督がこういう甘いラブストーリーをちゃんと撮ると、それはそれなりになるのではないか、と期待したのだが、見事当てが外れる。惨敗スタートとなる。

 

次の『Sada』。こちらも、大概の映画で、ないわぁ、と思う。だけど、映画上映の後、監督をした男の子の舞台挨拶があり、それが最高によかった。それだけで、見に行ったかいがあった。「あのぉ、こんな映画をみていただきありがとうございます。もし、腹を立てたなら入場料を返します。僕に声をかけてください。6千円しかないから、4人までしか、無理ですが・・・」というようなことを、冗談ではなく、本気でしゃべっていた。その姿勢(?)になんだか、感動した。返して貰おうか、とも思ったが、さすがに勇気がなかった。(それに、この1本で1500円ではないから、1プログラムなら500円でいい、はず)

 

3本目は高砂市が制作した『万灯祭の夏』。昔、伊丹市の市長が映画好きで、伊丹映画祭というのをしていた。とても、素敵な手作りの映画祭で毎年楽しみだったが、市長が変わり、無くなった。そこでも助成金を出して伊丹発の映画を毎年作っていた。そこから今ではプロとなりたくさんの映画を作っている三原光尋が出ている。(彼は今も、たくさんのご当地映画を作り続けている。最新作は『あしたはきっと』)高砂市の肝いり映画、ということで、期待した。70分の長編で、3人の悪ガキたちと、一人の女の子のひと夏の物語。よくあるパターンの黄金の青春映画。ロケーションが素晴らしい。だが、映画としては少し甘すぎ。まぁ、三原光尋監督もこのレベルの映画を作っていたから、これはこれでいいのかもしれないけど。

 

4本目『Some one』は、なんと105分の劇場用映画と同じ尺数の長編作品。気合いが入っているけど、話の作り方が下手すぎ。ありえない。嘘は構わないけど、もっとうまくついて欲しい。これでは、お話に乗れない。30歳前の女の人が、不法侵入してきた不審者の男を自分の家に招き入れ、一緒に生活する、なんていう特異な設定である。お話にうまく入れなくては、最後まで違和感を抱くことになる。あり得る、と思わせるのは至難の業だ。で、無理。

 

最後は『月と太陽』。24分だし、わりと自然に見ることが出来たけど、これも甘い。大甘。こういう夢物語を映像化しようと思う気持ちはわからないでもないけど、これはただの自己満足でしかない。少女マンガの世界を自主映画として描く。主人公の2人は悪くはないけど、映画としては残念。

 

ということで、残念だが、まるで収穫のない時間となった。貴重な土曜の夕方から夜を徒にした。だが、嫌ではなかった。それどころか、なんだか新鮮な気分。芝居でなら、本当の若手作品を見ることも多いけど、映画ではなかなかそういう機会はない。新人でも、商業映画しか見ないから、一応プロの仕事だから、ね。(とはいえ、最近の映画は劇場公開されても無残なものも多いが)

まぁ、さすがに5本連続は確かにつらかったけど、たまにはこういう時間も悪くはないかも、と思うことにした。ちなみに、見たいと思っいリストアップした他の5本は『虎穴にイラズンバ』『ミックス』(これ、独自チラシがあった)『星』『いつかピクニック』『星を継ぐ者』。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Yhs『しんじゃうおへや』 | トップ | 早見和真『95』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。