金子修介監督のお嬢さん、金子由里奈の監督デビュー作。脚本はお兄さん(金子鈴幸)との共作。だからこれは金子兄妹作品なのだ。タイトル同様、とてもやさしい映画だ。やさしすぎて弱い。映画自体がこんなに弱くては作品としては失敗だと思う。でも、失敗だって構わない気がする。失敗をして人は成長する。
最近女性監督の映画が増えている。女性が映画監督をすることが当たり前のことになってきた。職業に男女の差別があってはならない。というか、ない。役割分担で映画は男子なんてはずもない。でも、昔はそんな感じだった気がする。映画作りは体力勝負という側面もあるからね。でも、今はそんな偏見がなくなってきたのだろう。いい時代になってきた。だいたい小説なんて今では男性作家より圧倒的に女性作家が多いし優れている。映画監督の男女比もそのうち逆転するかもしれない。
いろんな映画があっていい。男の子が主人公だけど、こんなふうに繊細すぎる男子が描かれる映画は今までなかった。監督の個性が作品に反映されているのだろう。彼の近くにいるふたりの女の子も弱すぎる。そんなことを言ってしまうと、ぬいぐるみサークルの面々はみんなそんな人ばかり。類は友を呼ぶ、これはそんな映画。
これは自分の弱さと向き合いながら、何とか生きていこうとするけなげな人たちの群像劇。映画としてはここにはドラマがないし、お話の展開もないから、退屈する。日常生活のスケッチという域を出ない。別に奇抜なストーリーが欲しいわけではない。だけどあまりに単調でお話に進展がないので、物足りないのも事実。惜しい。