これはなんと「今どきのアングラ芝居」なのだ。今頃アングラなんてと言われそうだけど、今頃だから凄いとも言える。20代の若い集団が何をトチ狂ったか、こんな芝居を本気で作る。ここで大事なことは彼らが本気だ、ということである。面白半分だとか、なんとなくだとか、たまたまだとか。そんなのじゃない。筋金入りの「今どきのアングラ」街道まっしぐら。女の子たちのパンチラを売りにするとかいうところの、したたかさも含めて、こいつら只ものではない、と思わせる。
こむつかしいことをグダグダいうわけではない。でも、なんだか理屈っぽい。お話はよくわからないけど、気にすることはないだろう。唐十郎の芝居はいつもそうだった。勢いだけで勝負する。だから、この芝居のお話だってこれでいい。「1963年 もはや戦後ではない」なんていう芝居のリードもいい。女の子たちが右往左往するだけの芝居なのに、アングラ。「白塗り」とか、なんと「緑塗り」なんてのまでが登場する。なにがなんだか。おぞましいわけではない。まがまがしいわけでもない。ポールダンスとか、鞭打ちとか、性的な過激な描写も織り込まれる。だけどいやらしいとは思わない。女学校を舞台にして、彼女たちの生態や、彼女たちの求めるものが描かれる。63年という時代が何を意味するのかは見ていてあまりよくはわからないけど、60年代の気分を背景にして、「破壊と再生」のくりかえしを描こうとしたのだ、と言われたらなるほど、ととりあえずは納得できる。でも、明確なお話を展開しようというわけではなさそうなのだ。
時代の気分を体感し、そこから今の時代を撃つ。この先に待ち受けるのは70年代の狂騒ではなく、これが2022年の現実につながるなら面白い。そのためのあと少し「何か」が欲しい。確かに葉兜ハルカが少女たちを通して描く狂乱の世界を堪能したのだけど、もう少し明確な方向性があればよかった。