このポスターに騙された。本国のオリジナルポスターは全くこれとは違う。ちゃんとSFタッチの仕様になっている。でも、日本版は完全に『ポリス・ストーリー』仕様だ。 こんな映画だとは思いもしなかった。
ジャッキー・チェン最新作。「ポリス・ストーリー」の最新作と聞けば、見に行かないわけにはいかない。昨年の『カンフーヨガ』はさすがになんだかなぁ、と思ったが、本気の彼の心意気を伝えるこのシリーズだから、見る方にも、気合いが入る。だけど、今回はさすがに「これれはないわぁ」と思った。冒頭の暴走シーンに驚く。いくらなんでもあんな暴走を警官が個人的な事情でやったらあの瞬間にクビでしょ。もうそこでまずこの映画には乗れない。嘘くさくて。まぁ、日本の宣伝にだまされたのだ。別の映画なのだ。
でも、その後の最初のアクションシーンは感動的だった。さすがジャッキー。でも、この映画には話が、ない。しかも、なんだか中途半端なSF仕立てで、ジャッキーが途中でしばらく出ないし。娘の話とか、ジャッキーを慕う部下の女性がジャッキーの見せ場を奪うくらいの活躍をするし。(まぁ、それってミシェル・ヨーが出た時も彼女にお株を奪われたけど)
この映画を見ながら、相変わらずジャッキーは台本が緩いな、と思う。同じようにアクションに命を懸ける(とまでは、言いきれないけど、それに近いくらいに凄い)トム・クルーズの『ミッション・インポッシィブル』シリーズと較べると、その差は歴然だろう。1本の映画にかける情熱は同じでも、出来上がった作品のレベルは、まるで及ばない。方向性の違いだ、とそこで断言してしまうのは少し違う。本気の違いだけでは済まされない。
これは『ポリス・ストーリー』シリーズの新作だとは言い難い作品だけど、なんか方向性が間違っている気がした。別にシリアスなアクション映画にして欲しいというわけではないけど、娯楽映画として、確かな手応えが欲しい。コミカルな描写とのバランスもよくない。相変わらずのNGシーンは楽しいけど、結局それって、映画自体が持つ力ではない。これを新シリーズにする気ならジャッキーの未来は暗い。