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映画・演劇のレビュー

右脳中島オーボラの本妻『踊る!惑星歌謡ショー』

2018-12-30 09:18:57 | 演劇

今年最後の芝居がウイングフィールドでよかった。しかも、またここでとんでもない芝居と出会えたし。年の瀬も押し迫った29、30日に名古屋からやってきた劇団が初の大阪公演をする。

しかも、このタイトル、この劇団名。期待しないわけにはいかない。受付の5階で、芝居が上演される。狭い空間にTVと、お茶の間が設置されている。開演前、そこでCMが流れている。繰り返し、ラモスのJリーグ・カレーやらローカルなコマーシャルを見せられる。(魅せられる!)

家族が部屋に入ってきて芝居は始まる。狭い部屋に身を寄せ合う5人はそれぞれ別々のことをしていて、和やかな雰囲気というわけではないけど、でも、これが彼らの日常なのか、とも思える。一家団欒なんてものがなくなりつつある時代に於いて、お茶の間に集まるという行為があるだけでも凄いことなのかもしれない。

そこでのなんでもない時間が過ぎた後、ようやく舞台は6階の劇場に移る。役者ともども観客も6階へと移る。そのとき、役者たちは芝居のチケットを入り口で提示する。(というか、5階の出口だけど)彼らに続き観客も順次動き出すのだが、さすがに観客にはチケット提示は求めない。チケットは芝居に参加するパスポートであるのだが、この芝居においては小道具でもある。役者たちはチケットを提示した時から、この惑星間移動の権利を得る。これは銀河鉄道の乗車券なのである。

そして、いつもの劇場であるウイングは、銀河世界となっている。2つに仕切られた空間(こんな劇場の使い方も初めてだろう。)奥に入って円形に使用された空間(銀河系がアクティングエリアだ)を客席が囲む。Jリーグカレーを食べるシーンもある。しかも、2杯目は、大皿である。それを無表情にかきこむ。最後はエヅく。吐きそうになっている。ちょっと吐いた。舞台を汚した。タオルでキレイに拭いた。とかいう、そんなエピソード(アクシデント?)も含めて、銀河系の壮大なドラマは展開していく。

途中から、意味は放棄した。わからないでいい。ただ、このわけのわからなさについて行こう、と思う。どこへでも、連れて行ってくれ、と居直る。芝居は寡黙でどんどん過剰なパフォーマンスを見せてくれる。でも、過激な芝居ではない。お茶の間が宇宙になる芝居だけど、ただの歌謡ショーでもある。

仕切られた劇場の反対側(本来の入り口側の半分)が、開いてそこで再びお茶の間が繰り広げられる。ウイングフィールドという劇場は、なんと「銀河」と「お茶の間」に2分される。この芝居においてこのふたつは等価な存在なのだ。そこで暮らす(漂う)家族(惑星)も同じ。母親の不在がお話の中心にあるし、これは彼女を巡るドラマでもある。(不在だった彼女は6階での芝居では中心にいる。太陽であり、地球であり、パンドラでもある。)宇宙の神秘とか、そんなことかもしれないけど、まぁ、どうでもいい。世界が反転して同時進行して、ちゃぶ台と銀河系を同じサイズで劇場に用意する。ラストでは、観客はなんと銀河系からお茶の間を見ることになる。

だが、そこに深遠な意味は追いかける必要はない。(というか、よくわからなし)この仕掛けられた空間での80分間不思議体験を楽しめばいい。それだけで、十分刺激的だった。芝居にはこういう驚きがあるから楽しい。なんか、よくわからないけど、ドキドキした。それだけで、充分満足させられる。作・演出は丸蟲御膳末吉。(この名前もすごい!)

 

 

 

 


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