習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『偽りの人生』

2014-05-07 21:43:43 | 映画
 タイトルそのままの映画。しかも、お話にはなんのひねりもない。悪い映画だとは言わないけど、こんなにも単純で、それ以上のものが一切ないような映画を作ってどうするのだろうか。単調すぎて寝てしまいそうになる。

 だいたいどうしてこんなことをしようと思ったのか。お話の根本の部分が理解できない。ずっと会ってなかった双子の兄弟になり変って生きるなんて、不可能だ。いくら顔や体型が同じであろうとも、別人でしかないし、周囲の親しい人間ならすぐにわかる。今のお互いのことを知らない状態でなり変ることは不可能だ。なのに、そんな無謀に挑戦してとんでもないことになる。

 今ある自分の人生を反故にして、ほかの生き方をしたのなら、別にこんなことをする必要はない。自分のことを知っている人のいないところに行って新しい生き方をしたらいいだけの話だ。兄になり変る。何不自由なく、暮らしていたのに、そんな生活を棄てて、やくざな兄になる。その結果犯罪に巻き込まれる。だいたい、末期がんの兄に頼まれて彼を死なせているし。だいたい頼まれてもふつうなら殺しません。

 この映画の作りの緩さが、下手糞だからではなく、わざとそういう風にしていることが気になる。なぜ、こんなふうに作るのか。作者の意図がまるで見えない。主人公のヴィーゴ・モーテンセンは全編スペイン語で、二役を演じ、この映画のプロデューサーもしている。この企画のどこにそこまで惚れ込んだのか。僕には、よくわからない。この世の中には、時たま、こういう正体不明の映画がある。今日は疲れていたから、余裕がなくて、だから当然これを楽しめるはずもない。



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