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映画・演劇のレビュー

谷瑞恵『ふれあいサンドイッチ』

2023-05-09 09:12:00 | その他
 

食を扱う小説は避けましょう、としばらく前に書いたばかりなのに、また、だ。でもこれは仕方ないな。だって谷瑞恵による大好きなシリーズの最新作なのだから。これは特別というわけでもないけど、毎回新作を楽しみにしている。このくらいの淡さがなんだか心地よいと思うのだ。

これは靭公園にある姉妹が営む小さなサンドイッチ屋さんを舞台にした連作である。靭公園なんていうかなり身近な場所が取り上げてあるのもうれしい。よく知った場所だから、親近感がわく。
 
今回もまたいつものメンバーが繰り広げるたわいない毎日のスケッチだ。お話には大きな進展はない。毎日の生活が変わりないように。だから楽しいし、心地よい。これはそんな安心を売る小説でもある。
 
ここからは余談だが、僕は最近サンドイッチばかり食べている。毎朝、サンドイッチだ。具材に何を挟むのか、楽しみにしている。レタスは必ず入れるようにしている。というか、レタスがあるからサンドイッチにするって感じだ。パンに挟まるレタスのシャキシャキ感が好き。卵やハム、チーズ、きゅうりにトマト。ポテサラ。なんだか毎日でも飽きない。パンは8枚切りを使用している。もう少し薄くてもいいけど、あまり薄いとパンというよりサラダになる。しっかりパンに挟まっているのが安心する。ピクニック・バスケット(この小説のお店)のように、絶品ではなくても、充分楽しめる。
 
今回の5つのお話は、いつも以上にたわいない。だがそこには蕗子さんの川端くんへの想いが横たわる。まぁ今までだってそうだったが、今回さらにそれがエスカレートする。毎回少しずつ好きが重なって、大きなものになってきていた。もどかしいくらいにゆっくり進展していくこの恋模様を眺めながら、こんなふうに大事に恋をするのがいいなと思った。美味しいは大事。同じように愛しいも大事。大切にしないと、ね。

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