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映画・演劇のレビュー

HPF2009 鶴見商業『カラフル』

2009-07-19 06:10:28 | 演劇
 今年もHPFがスタートした。18日から31日まで、応典院、WF、精華小劇場の3ヶ所で開催される。23校22作品が上演される。今年は6作品を見る予定だ。以前と違い全作品を見なくてもよくなったのはとても楽なのだが、なんだか参加しているという実感に欠く。軽く見れるところだけを掠って、参加した気分にさせて貰っているだけ。なんだかすまないなぁ、とも思う。じゃぁ、もっと必死になって見ればいいのに、と言われそうだが、人間は強制されなくてはなかなか、出来ない事も多い。それが好きなことであろうとも、である。あぁ、大人って嫌だなぁ、とつくづく思う。高校生の頃はこんなではなかった。全力で自分のやりたいことに向かっていたのに。

 と、いうことでそんな全力の高校生たちが打算とか、駆け引きとかを抜きにして、ただ、やりたいから、という純粋な想いに突き動かされて芝居を作るこの夏のイベントに今年もほんの少し付き合うことになる。

 初日の今日は鶴見商業高校(鶴商ツルドレン!)の『カラフル』。応典院には満杯の観客が溢れている。3年生たちが実に個性的でいい。それは彼女たちが2年生だった去年も思ったことだ。このチームのよさは自分たちの個性を大事にしながらアンサンブルを崩さないところにある。何が必要なのかをよく理解している。

 主人公を演じる矢野智美さんがすばらしい。彼女を見てるだけで幸せな気分になれる。冒頭の一人芝居に圧倒される。空想の中での先輩と自分のやり取りを見せるのだが、そのなりきりぶりは凄い。照れることなく臆することなく、閉鎖された自己の内面を話芸で見せきる。この芝居の中に一気に叩き込まれる。あの暴力的ともいえる部分の後、4人組が出てきて彼女を気持ちの悪いもののように扱うお決まりのいじめのシーンが続く。ここで一気にトーンダウン。だが、訳のわからない母親の勧めで転校し、新しい高校に転校し、そこで変なクラスメートたちと出会い、一気にラストまで引き込まれることになる。話自身は実にテンポがいい。

 なんら新しい発見のない芝居だが、チームワークのよさで乗り切った。内面世界の話を単純な夢オチにはせずに終わらせたのもいい。演出の歯切れが悪く、少しもたつくのが残念だが、70分という適切な尺をうまく使いきった。これ以上長いとだれる。

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