満月動物園がここまで甘い芝居を作るだなんて、今まで決してなかったことだ。さらには、彼らは(というか、戒田さんは)今回初めて本格的に「恋愛もの」に挑戦している。これもまた意外なことだ。これまでそういうテーマは避けてきた。戒田さんはそういう芝居を作ってはこなかった。どういう心境の変化が彼の中に在ったのか、いささか気になる。「もう34歳ですからね」なんて、終演後に言ってたが、それは答えにはなってない。ただ、はっきりしていることは、この甘く優しい世界は、彼が自分の芝居に対して妥協したことの証ではない。反対に、今まで以上に自由になったことの証明である。無理することなく自然体で「愛とか恋とか」も描けるようになったのだ。それはとても喜ばしいことではないか。
これはとてもわかりやすくって見やすい芝居だ。今までは観念的な芝居を得意にしてきたのに、えらい変化だ。ストーリーラインの単純さもいい。これでもう少し短かったなら、なおよかった。この題材で2時間15分は少々長すぎだ。テンポが悪いのは、どうしても呼んできた役者みんなに気を使ってしまって、彼らひとりひとりにスポットを当ててしまい見せ場を作ろうとするからだろう。これは主役の2人の話であり、周囲の人たちはあくまでも彩りに過ぎないのに。
シンプルなラブストーリーで充分なのだ。その中で、「人が生きること」と「死んでいくこと」の意味を見つめられたなら、それだけでいい。32歳の彩子(河上由佳)が、車にひかれ死んでいくとき、サンタの格好をした死神がやってきて、自分に魂をくれたなら、命を救ってくれる、と言う。
前作『ツキカゲノモリ』に続く死神シリーズ第2作である。ラストに向けて加速していく彩子と瑠璃(上原日呂)の恋物語のみにスポットを当てて100分くらいで、一気に見せられたならよかったのに、と惜しまれる。死神とのやりとりがまだるっこしくて後半、話が停滞する。
この文の最初で、「戒田さんは自由になった」と書いたが、まだまだ自由自在にまではなりきれていない。
これはとてもわかりやすくって見やすい芝居だ。今までは観念的な芝居を得意にしてきたのに、えらい変化だ。ストーリーラインの単純さもいい。これでもう少し短かったなら、なおよかった。この題材で2時間15分は少々長すぎだ。テンポが悪いのは、どうしても呼んできた役者みんなに気を使ってしまって、彼らひとりひとりにスポットを当ててしまい見せ場を作ろうとするからだろう。これは主役の2人の話であり、周囲の人たちはあくまでも彩りに過ぎないのに。
シンプルなラブストーリーで充分なのだ。その中で、「人が生きること」と「死んでいくこと」の意味を見つめられたなら、それだけでいい。32歳の彩子(河上由佳)が、車にひかれ死んでいくとき、サンタの格好をした死神がやってきて、自分に魂をくれたなら、命を救ってくれる、と言う。
前作『ツキカゲノモリ』に続く死神シリーズ第2作である。ラストに向けて加速していく彩子と瑠璃(上原日呂)の恋物語のみにスポットを当てて100分くらいで、一気に見せられたならよかったのに、と惜しまれる。死神とのやりとりがまだるっこしくて後半、話が停滞する。
この文の最初で、「戒田さんは自由になった」と書いたが、まだまだ自由自在にまではなりきれていない。