習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『スモーキンエース』

2007-12-29 12:46:29 | 映画
 これは思いもかけない拾い物だ。近頃こんなにもおもしろいハリウッド映画を見た事がない。今レンタルが始まっている『オーシャンズ13』のオーシャンズ・シリーズなんていうオタク映画を見るくらいなら、こっちを見たほうがずっといい。こんなにもよく出来たお話をハリウッドがオリジナルで作れるなんて凄い。まぁ、どこにでも優れた才能はいる、という当たり前の話なのだが。
 
 1時間48分の中に収められた情報量は凄まじいものがある。3時間の内容をそのまんまぎゅぎゅっと凝縮して、この時間の中に詰め込んだ。だから、凄いスピードで話がめまぐるしく展開していく。よくぞここまで手の込んだ話を作ったものだ。巧妙に仕掛けられた見事なドラマを読み解いていくのは快感である。

 観客はちょっとでも目を離すと置いてけぼりを食らうだろう。これだけの大人数がたった一つの標的目指していく。ストーリー自体は単純だが、それがありとあらゆる曲折を経て、とんでもない展開を見せていく。ラストの大どんでん返しも凄いがそれだけが全てではない。

 だいたいクレジット上の主役であるベン・アフレックがちょい役扱いで、最初の30分くらいであっけなく殺されてしまうなんて、凄すぎる。実質的主役のレイ・リオッタもラスト30分のところで死んでしまうし、ありえないことが続出。しかも、殺し屋たちのほうは殺しても殺しても死なないで、生き返ってくるのだ。こいつらどこまでしぶいんだ、と呆れ返る。ダイハードな傍役である殺し屋と、簡単に死ぬ主人公であるFBI。こんな図式を誰が考えた?

 ラストの銃撃戦も当然のごとく凄まじい。期待以上の興奮をお約束する映画である。こんなにも贅沢で、必要なところにしっかりお金をかけた健全なアクション映画がひっそりと埋もれていくなんて、もったいない。

 監督は『NARC ナーク』のジョー・カーナハン。もし、日本でリメイクするなら、三池崇史か三谷幸喜か。それくらいにあらゆる可能性を内包する奥の深い映画なのだ。

 劇場公開時、『殺し屋がいっぱい』というサブタイトルが付いていた気がしたが、DVD版にはそういうアホなタイトルはなかった。(後で気になり調べたらやはり『暗殺者がいっぱい』というタイトルが付いていた!)

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