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映画・演劇のレビュー

『奇蹟的夏天』

2010-05-25 08:30:32 | 映画
 昨日ワールドカップに向けての壮行試合である日韓戦をTVで見ていて、なんともストレスのたまるその展開にがっかりしたのは僕ばかりではあるまい。岡田ジャパンには何も期待はしないけど、それでももう少し気合の入った試合はできないものなのだろうか。最近サッカーを見てないからなんとも言えないのだが、素人が見ても、こんなにもつまらない試合をしていて、いいのか?

 と、いうことで、先日、台湾で買ってきたDVDシリーズで唯一見逃していた『奇蹟的夏天』をようやく見る気になった。これは台湾のとある中学のサッカー部が全国制覇を目指し戦う姿を描いたドキュメンタリーである。

 花蓮県、美崙中の少年たちが中学生活最後の夏を全力で闘う姿は感動的だ。この映画を見ながら、勝つことが目的ではないが、勝たなくては先に進めない、という当たり前のことを改めて感じさせられた。日本代表が下を向き、予想通り韓国に惨敗した試合を見て、この人たちには一体何が足りないのだろうか、と思った。4度目のワールドカップは彼らにとってただの消化試合ではないはすだ。力が足りないことを自覚し、でも、それを補うだけの何かを身につけ、代表として戦うために必要なものってなんだろうか。よくわからない。だいたいそれがわかったならこんな負け方はしないだろう。岡田監督の目指すベスト4ってどういう根拠から出てきた言葉なのか。言うだけなら誰にでもできる。

 この映画に出てくる中学生たちは、決して下を向いたりはしない。決勝戦で敵に先行されても最後まであきらめないで、前を向いた。そして結果を出した。延長戦で2ー2に追いついたとき、最後のPK戦で敗れた時、それでも彼らは前を向いていた。

 当然、子どもたちはサッカーだけの生活を送っている訳ではない。勉強もあるし、家族もある。もちろん、普通にしていては全国で闘うことは困難だし、いろんなことを犠牲にして、基本的にはサッカー漬けの毎日でもある。だが、サッカーを通して中学生活をエンジョイしている。そんなふうに見えた。その当たり前のことがなんだか眩しい。

 最後の大会が終わった後の描写が20分くらい続く。みんなで海に行って遊んだり、受験があったり、卒業式もある。そしてチームには新しい生徒が入ってくる。学校ではやがて次の年度が訪れる。そして彼らはまた、新しい高校での生活が始まる。その当たり前のことが見ていて嬉しい。

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