これはおもしろい。これを作るのは、一見簡単そうに見えて、とても難しいはずだ。あるテーマに沿って作られた２，３分の掌編を３０本並べて見せる。今回のテーマは「お金」ということだ。当日パンフには「ＯＰＥＸはＥＸＰＯのアナグラムでランニングコストという意味の経済用語です」とある。実にスマートでわかりやすい解説で、企画意図も明確。そこで「演劇にまつわる様々なコスト」を考えるという。このフラッシュフィクションというスタイルは今回が２回目だということだが、マンネリにならずに、これを継続的に出来るなら、すごい。もちろん、マンネリになるようなら彼らはやらないだろうけど。
何よりも、ひとつひとつのエピソードのキレがいい。７０分が一瞬のできごとだった。構成も実にうまい。ＯＰＥＸ①から⑤（書けない作家と、彼に代わってフラッシュフィクションというスタイルでいいから作品を書く劇団員の女の子のお話）の間に決愚①から⑤という連作とともに、バラバラなエピソード群をランダムの２０本。終盤、少し中だるみしそうな所で、作、演出の福谷さんが劇団の男優２名をいじめる『なんかやる』で、少しビビらせて、後は、ラストまで一気に。全体の構成も見事だが、お金という一見下世話なテーマを通して、シビアな視点で現実を見るのがいい。まずこれは１本の演劇作品として見事なのだ。
ただ笑わせるだけなら、他の人にも出来るかもしれない。しかし、こんなにもスマートに見せるのはムリ。この集団の力量をしっかり感じさせる作品だった。
