夢オチの話を2時間、飽きさせることなく紡ぎ上げていくというのは、かなりの力量を要する。タイトルだけでなく、作品の冒頭で、これは夢オチであるから、なんでもありなのだ、と断定した上で話を始めるミステリー。その掟破りの大胆さは、作者の余裕のあらわれだ。それだけ言っておいても観客を2時間楽しませる自信が岩橋貞典さんにはある。観客はこの大胆で緻密に組みたてられたお話から目が離せない。
これはサブタイト . . . 本文を読む
『吉祥寺の朝比奈くん』のゆるさがなかなか心地よかった中田永一の最新作。五島列島にあるとある島で暮らす中学生たちを主人公にした長編。合唱部の子供たちのお話だ。
産休補助で1年間音楽の教師としてやってきたとてもきれいな女先生にあこがれて、下心満載の男子たちが合唱部に入部してくる。従来の女だけのクラブから、男女混合のクラブになって、戸惑いながら、新しいスタートを切る彼らの中3の日々を描く。お話自体は . . . 本文を読む
魚住直子初の大人向き作品集、ということなのだが、主人公は大人も混じっているが、やはり子供が中心だ。小、中学生のクラス内の人間関係を扱ったものが多い。読みながら胸が痛くなる。これは誰もが心当たりの有ることだろう。新しい学校での、新しいクラスでの最初の時間。ちゃんと友だちが作れるのか、とても不安。
それは、大人になっても同じだ。社会人として、職場に入った最初の時、うまく人間関係を作れるのか。消防 . . . 本文を読む