コメディアン、フランキー堺は、ジャズ・ドラマーとしても有名である。
これはその彼が1954年から57年の短い期間ではあるが率いていたコミック・ジャズ・オーケストラ、シティ・スリッカーズのアルバムである。
フランキーが範としたアメリカのスパイク・ジョーンズ&シティ・スリッカーズは、古今東西の名曲をコミカルにアレンジし、そこにピストル、サイレン、バケツ、ブザー、フライパン、のこぎり等ありとあらゆる雑音を加えるという、いわゆる冗談音楽の元祖と言えるバンドであった。
フランキーはこのスパイク・ジョーンズの音楽に傾倒し、自らリーダーとなって同名のバンドを結成したのである。
このアルバムでは、本家スパイク・ジョーンズのカヴァーである1,3,10を始め、日本民謡である「かっぽれ」や「炭坑節」等もスパイク・ジョーンズのスタイルで収録されている。
また、このシティ・スリッカーズのメンバーには後にクレイジー・キャッツで活躍した、植木等、谷啓、桜井センリも参加している。
日本のコミック・バンドの歴史はこのシティ・スリッカーズから始まり、クレイジー・キャッツへと受け継がれていったのである。
フランキー堺とシティ・スリッカーズ
/ スパイク・ジョーンズ・スタイル
コロムビア COCA-12581
1,ウイリアム・テル序曲
2,かっぽれ
3,黒い瞳
4,ヤットン節
5,シナの夜
6,炭坑節
7,芸者フラ
8,おこさ節
9,こんなベッピン見たことない
10,カルメン
11,黒い瞳 (別ヴァージョン)
12,芸者フラ (別ヴァージョン)
13,こんなベッピン見たことない (別ヴァージョン)
フランキー堺 (ds,Vo,指揮,編曲)
喜多 賦 (sax)
加藤浩二 (〃 )
立岡義輝 (〃 )
稲垣次郎 (〃 )
十河一夫 (〃 )
竹村 繁 (tp)
福原 彰 (〃)
宮崎光男 (〃)
飴 少三郎 (〃)
福留四郎 (〃)
東本安博 (tb)
谷 啓 (〃)
田中 彰 (〃)
越智治夫 (〃)
桜井千里 (P)
植木 等 (g)
山下高司 (b)
加瀬 繁 (ds)
川島まり子 (Vo)
岩井直博 (作曲,編曲)
※曲によってメンバーが異なります
1954年,55年録音