ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2019J1リーグ第8節サンフレッチェ広島vsFC東京@エデスタ20190419

2019-04-20 22:28:54 | FC東京

ゴールデンウィークを間近に控えてすっかりあたたかくなってきました。

東京はことし初のフライデーJリーグ。大連休前の平日に遠征にいけるはずもなく。よりによって、広島。なんとも恨ましいフライデーJリーグになりました。無敗の首位攻防戦。ヒロシダービーはもはや薄まったとしても、序盤戦最高のカードに参戦できないことが無念でなりません。

というわけで、テレビ観戦記で失礼します。絵に描いたようにイメージ通りの展開でスミ1快勝。無敗をキープしました。

東京は、建英が負傷でお休みです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

広島は前線だけのアジャストです。シフトは伝統の3-4-2-1。GKは大迫。3CBは右から野上、吉野、翔。WBは右にサロモンソン左に柏。CMは川辺と松本。2シャドウは右に晃誠左に野津田。1トップは渡です。

アウェイ広島は、勝敗はともかくだいたいいつも同じような内容の試合になる印象があります。それもおおむね東京の思惑通りになり、珍しくイニシアチブを取りやすい対戦です。この相性のよさはいったいなんなんでしょう。

広島と対戦すると、成績のよさを実感できないほど、強さを感じられません。これは広島の選手の技術の高さ、プレーのクリーンさ、コレクティブで洗練された作戦に由来していると思っています。東京は、このようなチームが大好きなんだと思います。

ヒロシのサッカーは、広島の伝統的なサッカーと方向性が合っていて、幸せなエンゲージを実現できていると思います。ミシャともポイチさんとも、アレンジのレベルでテイストが異なりますけど、高い技術を前提とした、サイド基点のパスサッカーであることには変わりありません。でもヒロシが広島にきてちょっと驚くのは、とてもリアリスティックなサッカーをするようになったことです。今日はその象徴のような試合になりました。

広島は、試合開始こそ攻撃の姿勢をみせますけど、徐々に今日の本来の作戦に移行していきます。おそらく広島は、東京と手合わせしてみて、攻撃の比重を変える、ハイブリッドな構えを備えていたのだと思います。広島の攻撃の特長は、バックラインでカオスを生み出す数的優位志向です。前線は基本的にシンプルな上下動です。これはビルドアップの際の、攻撃の方向性をつくるためです。前線がつくる時間を利用してWBが積極的な攻撃参加をしますけど、これはある意味ブラフ。ホントの脅威は、前線が作ったスペースを利用する両サイドCBの動きです。これでサイドに数的優位をつくり、カオスを生み出すことを目指しています。

ヒロシ広島がこの伝統をひきついでいるかは、今日の作戦をみるかぎりはわかりません。もしかすると今日は、スペシャルプランだったのかもしれません。それほど極端な作戦に出ます。今日の広島の特長はふたつ。ひとつは左に偏重したサイドアタック。もうひとつは非常に低いWBのポジショニングです。

広島のストロングポイントはいわずもがな柏です。柏ゾーンの強度がチーム全体を引っ張っているといっても過言ではないと思います。それゆえ広島は、柏を柏ゾーンで活かすことから逆算した攻撃プランを編み出していると思います。ところが今日は、柏を下げます。リトリートする前から、すでに柏の位置は低めでした。これは柏を下げたというよりか、翔を上げなかったといった方がいいと思います。その上さらに、本来両サイドCBを上げるためのセーフティネットとして下がる松本をやはり下げますから、必然的に柏を攻撃で使う以前のチャンスメークの段階で、すでにその本来の主旨を変えているといっていいでしょう。広島の攻撃は必然的に散発になります。渡に集めて基点にしようとしますけど、全体の重心が上がりませんから渡は孤立します。

一方の東京も、攻撃の強度をいくぶん下げたコンサバティブなモードで入ります。通常モードに移行したのは20分を経過したくらい。まず広島の攻撃力をはかって対応できることを確認してから。それからスペース、とくに左奥が狙えることが分かってから。このあたりのさじ加減は、手合わせをしている現場でしかわからないのでしょうけど、それがスタンドから感じられるようになったら、さらにサッカーがおもしろく観られるのだろうにと常々思います。

東京が左サイドに加重したカウンターをみせるようになると、広島は今日の本来の作戦に移行します。WBを本格的に下げた5バックになり、リトリートします。フォアチェックも控えて、5+4のゾーンをしっかり堅めます。

広島の上手さが際立つのはここから。守備が上手いチームは安心して観戦できますね。東京も同じくなのですけど、ターゲットに寄せるタイミングと強度が絶妙で、余計な力がかかっていません。なので意図しないかぎり、危険なコンタクトになることがなく、試合に変なエクスキューズが混ざりません。たぶんこれはレフリングにも影響していて、試合進行がスムーズになりますから、ストレスを感じることなく観られます。J1クオリティに基準はありませんけど、守備の技術が底上げされればいいなと思います。

もうひとつは、単純なパス回しです。広島のパス回しはノッキングがほとんどありません。必用以上がない視野と動きの連鎖がもたらすもので、これこそヒロシが目指していたムービングフットボールなのでしょう。

そしてこの広島の上手さこそが、東京との相性の良さを生み出す原動力だと思っています。東京は、ようするに上手いチームに共鳴する特質があるのでしょう。近年は、そういうチームと互角かときに優位性を持てるようになりました。シーズンの成績を安定させる残る課題は、つまりそうではない相手の対処なのではないかと思います。東京と広島が、まるでダンスを踊るかのように高クオリティに噛み合ったため、ボールデッドが極端に少ない試合になりました。

前半は、両者の相四つな思惑通りに東京が攻撃権を持つかたちにおさまり、大波なくスコアレスのまま終了。

広島の前半の闘いかたでは、あわよくばすら願えない超コンサバモードでしたので、さすがに後半はモードを変えます。どこで変えるかなというのが注目でしたけど、後半開始からモードチェンジします。まず右を使うようになります。左右に大きく揺さぶることができるので、主武器の柏がフリーになる状況を作れるようになります。

広島の両ウイングが高い位置で仕掛けられるということは、中央の三人が自由にスペースメイクでき、さらにCMのコントロールが効くようになるということですので、広島本来の攻撃が機能しはじめることを意味します。それでもなお、東京の堅陣は広島の侵入を許しません。ここにおいて、守備巧者対決となった無敗決戦は、東京優位が決定的となります。

東京もまた、前半は左サイド加重でしたけど、後半は成も積極的に攻撃に絡むようになります。今日の注目点のひとつは右、つまり晃太郎であることは不可避です。もはやメイヤが好調東京を引っ張る原動力であることは明らか。もっとも昨年との比較をされがちなポジションですから、晃太郎の気持ちを想うと胸がいっぱいです。晃太郎と建英の違いは、ミスに対する対応のような気がします。晃太郎は、多彩なタスクを求められる健太東京のメイヤにあって、ミスをおそれるあまり消極的になっていったのではないかと思います。そのため、ポジション取りが一歩遅れるので、パスを呼び込めないことが多いような気がします。それでも、いつの間にかゴール前にいる嗅覚は、建英にはない晃太郎独特の感性です。シャドウのように気の効いたプレーで、晃太郎独自のメイヤ像をつくっていってほしいと思います。

広島が攻めはじめたため、ややオープンになってきた流れを受け、健太さんが動きます。謙佑に代えてジャエルを同じくトップに投入します。攻撃のテイストを変える作戦であることは周知のとおり。

ヒロシも動きます。晃誠に代えて皆川をトップに投入します。野津田が右、渡が左シャドウに回ります。本職のCFを入れることで、アタッカー三人の役割を明確にする意図でしょう。これによって渡が活きるようになります。渡は、やや下がり目の位置で、スペースがあるなかで仕掛けるほうが合っているのだと思います。

このガチな仕掛け合いの軍配はすぐに結果をみます。

71分。東京の、広島陣に入ったあたりのFKから。拳人は左サイドにチェンジ。洋次郎を経て受けたモリゲが上がって重心を上げます。モリゲは諒也にパス。キープした諒也は、洋次郎の上がりを待って戻します。洋次郎は前線にジャエルとディエゴが揃っているのを見て、ジャエルに合わせます。このちょっと無理目なフィードが効きました。広島はボールに合わせ基調で選手に対応できません。さらにジャエルが前方にフリックすることでカオスが助長されます。ペナルティエリアに入ります。ジャエルのフリックは翔がカットしますけど、そのボールがもうひとり前線に並んでいた晃太郎に渡ります。フリーの晃太郎は中央でこれまたフリーのディエゴに丁寧に落とします。ディエゴはダイレクトで合わせました。広島0-1東京。

今日の試合展開から、これで勝ったと思いました。

ビハインドを負ったヒロシが動きます。サロモンソンに代えて航平を同じく右WBに投入します。負担の大きいWBをリフレッシュするのは広島の伝統ですね。クロスだけでなく単独で仕掛けもできる航平が入り、両ウイングが同じテイストでおらおら攻めします。

攻撃の流れができたヒロシがさらに動きます。柏に代えて東を同じく左WBに投入します。テクニシャンを入れることで左サイドに基点を作る意図でしょう。

今日の広島にもうひとつこわさを感じない理由は、セットプレーだと思います。CBが以前よりひとまわり小粒になったことが原因だと思います。キッカーを代えても同じ。オンプレーでも、流れを変えるほどの違いは生み出せず、東京の堅陣が際立つばかりになります。

とはいえ、渡のシュートなど、攻撃権を渡してばかりではアクシデントが起きるリスクがあります。健太さんが〆ます。晃太郎に代えてサンホを同じく右メイヤに投入します。自力で運べるサンホを入れることで、リトリートし過ぎないようにする意図でしょう。

広島が攻めるも、常に東京のコントロール下にありました。このまま試合終了。広島0-1東京。

実に、守備の堅い無敗対決らしい素晴らしい試合でした。かえすがえすも、リアルで観られなかったことが残念でなりません。

次節こそ、キーポイントだと思ってます。開幕以来一定ペースで試合を重ねてきました。今日がある意味その流れの集大成。次節は、今年はじめてのテイストが異次元のチームです。粘り強く泥くさく闘ってほしいと思います。


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