北九州の旅のメインイベントは、鳥栖戦でございます。
夕暮れのベストアメニティスタジアム。
むーさちゃんにご挨拶。ご近所のかたがお散歩にいらしたのか、スタグルの場所でわんこ連れていらっしゃってました。むーさちゃんは自分が話しかけてもそっけなかったのに、カメラ向けたらとたんに目線くれましたw。お名前は、ピアノをされてるお姉さんが音楽の女神からつけたんだそうです。
選手とじゃんけん大会やってました。
コンコースをうろついてたらサガン・ドリームスの竹原社長がいらっしゃって、会釈してくれました。今日の席はメインのA自由。選手が近くてちょっとドキドキです。いつもこの環境で見れる鳥栖サポさんが羨ましくなりました。
鳥栖は7/24にシドニーFCと試合するそうです。アレックスの告知。
佐賀牛w。
順調に点を重ねる安心展開も、豊田のPKゴールから急転換した試合でしたけど、なんとか逃げ切りました。なかなかお目にかかれないスーペルな好ゲームでした!
東京のスターターは安定のレギュラーメンバーです。ちょっと心配されたヨネも無事出場。お馴染み、アーリアと宏介の試合前の儀式。
鳥栖もベストメンバーです。布陣は4-2-3-1。豊田を真ん中にしてその下に池田。両サイドに野田と岡田。なんだかチーム田ですねw。藤田の相棒は福岡大学同期の末吉です。ヨ・ソンへと坂井が真ん中を守り、キム・ミヌと丹羽をサイドに置きます。去年と違い、藤田が少し前目に位置取っているような気がします。末吉にアンカー役を任せ、藤田の攻撃力を活かす意図かもしれません。サイドハーフは役割を変えています。岡田は純粋なサイドアタッカーですけど、野田はセカンドアタッカーのようです。池田は豊田との距離感を意識しながら被らないように気を使っているようですね。
鳥栖は守備と攻撃を一体で考えるチームです。攻守の切り替えがとてもクイックです。信条は前線でのターンオーバーからショートカウンターです。今日の狙いは東京の始点でした。攻撃をオーガナイズする選手にプレスをかけます。
東京の基点は言うまでなくルーカスです。相手チームの考えかたは二つ始点を抑えるか基点を抑えるかです。最近はルーカスにダブルチームをかけることが多いですけど、鳥栖は違いました。ルーカスにパスを出すパターンは秀人か加賀です。とくに加賀からパスが出る頻度が高いですから、鳥栖はそこを狙いました。鳥栖はアグレッシブな守備を信条とするチームですから、理にかなっています。
東京は落ち着いていました。加賀が狙われるとわかるや、ルートを変えます。宏介からボランチを経由して縦を狙います。このため鳥栖のフォアチェックはそうそうに無力化され、東京がイニシアチブを握ります。
鳥栖に違和感がありました。とてもクリーンなんです。おそらく尹さんが目指すサッカーは、アグレッシブでありつつもクリーンなサッカーなんじゃないかと思います。そのためには組織の成熟と個人の守備技術のレベルアップが必要です。マイナーチェンジではありますけど、正常進化です。そのチャレンジを可能にする自信が尹さんにあるんだと思います。
ところが、東京に早々イニシアチブを握られましたので、鳥栖は綺麗なサッカーを脱ぎ去ります。コンタクトを仕掛けるガテン系サッカーにモードチェンジです。中心となったのは、末吉とキム・ミヌです。
東京は真っ向勝負を挑みました。テクニックに秀でた印象のある東京ですけど、フィジカルに長けた選手を揃えています。なのでガチ勝負に負けるわけにはいかないのでしょう。この漢意気が試合を極上のエンターテイメントにしてくれる決め手スパイスになりました。フィニッシュのアプローチに違いこそあれ、がっぷり四つに組んで両チームが持ち味を発揮する流れが動きます。
前半28分。鳥栖ゴール前のFKで、アーリアがゴール正面で構える慶悟に戻します。鳥栖はマンツーマンでゴール前を固めていましたけど、バイタルエリアに誰もいません。どフリーの慶悟がワントラップして振り抜いたシュートは(珍しく)低空飛行し、ゴールに刺さります。ゴラッソ。なにげに秀人がお洒落にコースを変えようとして空振りしていましたけどw。鳥栖0-1東京。
このゴールでも試合の流れは大きく変わりません。もとより東京が試合をコントロールしていますから、先制しても立場は変わりません。それにまだ1点ですから、敢えてリトリートする必要もありません。むしろ心身ともにアグレッシブな鳥栖に主導権を渡す怖さがありますから、慎重に進めるという意味で、アプローチを変えなかったんだと思います。このまま前半終了。
後半から鳥栖は戦い方をどうアジャストするのかなと思っていた矢先、東京に2点目が生まれます。
後半開始早々の1分。自陣からのビルドアップ。センターライン付近でアーリアがドリブル。末吉が寄せてくる直前にセンターサークルにいた慶悟にパスします。このときアーリアの背後を千真が駆け上がっていました。慶悟はそれを見てワンタッチで鳥栖ゴール前に送ります。これが千真に通ります。オフサイドギリギリでした。単独で抜け出した千真は丁寧に赤星までかわしてゴール。鳥栖0-2東京。
立て続けに千真が魅せます。続く後半4分。権田がよく見ていました。ゴールキックを、ヨ・ソンへと坂井の間を目掛けフィード。そこに千真が突進してました。ここから千真劇場です。坂井との競合いでは千真のほうが落ち着いていました。イーブンボールを良く見て、体を使って坂井を自分の背後に回し、ボールを懐に納めます。頭でトラップしてロブ。赤星が触りますけどそのままゴール。スーペルゴラッソ。キーパーを見ていないので何となく蹴ったのだと思いますけど、アマが現役当時追い求めたロブゴールは、東京サポのある意味悲願です。ありがとう千真。鳥栖0-3東京。
結果的には、この3点目が大きかったですね。鳥栖が消沈したわけではなかったので、2点差が怖いというサッカーの法則が十分登場しそうな雰囲気はありました。さすがに3点差がついたので東京は鳥栖に主導権を渡します。鳥栖はボールを持つシーンが増えます。鳥栖がすごいなと思うのは、ここからです。ピッチ上の選手だけでなく、スタンドのサポーターも含め諦めません。ほとんどのスタジアムでは、味スタを含めてですけど、配色が濃厚になるとゴール裏を除いてネガティブな雰囲気が漂うものです。ベアスタはまったくそんなことなかったです。選手の熱っぽいプレーがそうさせているのでしょうし、クラブや試合進行のスタッフのオーガナイズによるところもあると思います。なにより鳥栖と佐賀のひとの気質なような気もします。
尹さんは冷静でしたね。末吉に代えて義希を投入。末吉はアンカーとしてコンタクトを辞さず走り回っていましたから、真ん中にフレッシュな選手を置く意図でしょう。ボランチを代えるのは勇気がいりますけど、3点差になり、開き直れたのかもしれません。さらに右サイドを活性化するために、岡田を宏太に代えます。この交代が、鳥栖のギアを一段上げます。
対するポポさんも、ルーカスを忠成に、千真をナオに代えます。前線をフレッシュにして、攻守に鳥栖のアグレッシブさを受け止めようという意図でしょう。
ですけど、試合の流れは鳥栖に傾きます。わけわかんない展開になります。鳥栖が繰り出すアグレッシブなプレーに、東京が付き合い始めます。ピッチの随所で激しいコンタクトが出るようになりました。鳥栖サポも湧き始めます。そして、ついにゴールが生まれます。
後半32分。加賀が池田を倒したプレーで得たPKを豊田が決めます。鳥栖1-3東京。
これでスタジアムのボルテージは最高潮になります。エル・シクロン。なんだかベアスタで体験するとは。しかも相手側で。東京のお株を奪われたような気分になりました。東京は慶悟に代えてヒョンスを投入。前節でお目見えした、ヒョンスをアンカーに置く3センターです。今日のポポさんは、鳥栖をガチで受け止めるというより、純粋に逃げ切りたかったんだと思います。意に反し、追い上げを受けます。
後半アディショナルタイム。左サイドでボールを持った野田がルックアップ。ゴール前では、豊田が加賀とモリゲの間を抜け出そうとしています。野田は権田とCBの間に落とすイメージでフィードします。豊田が加賀とモリゲを引き付けながらこれを受けます。ヒョンスをアンカーに入れた意図は中央を閉めることにあると思うのですけど、この時ヒョンスも豊田にチェックに行ってしまいました。これで東京ゴール前にはぽっかりスペースができました。そこに宏太と義希が侵入します。豊田は丁寧に宏太にパス。宏太は落ち着いて流し込みました。鳥栖2-3東京。
鳥栖まだ諦めず、野田を早坂に代えて攻勢に出ようとしますけど、最後はなんとか東京が凌ぎきりました。このまま試合終了。鳥栖2-3東京。
モリゲが頑張りました。前半のFKで一度だけ豊田に裏を取られ冷やりとするシュートを撃たれましたけど、あとは完璧に豊田を封じました。鳥栖がボールを持ってもなかなか攻めきれなかったのは、豊田が消されていたためだと思います。それでも1点決めるところはさすがですね。
千真は、28分間単独アルチレイロでした。現在7得点。豊田と並んでアルチレイロ。そういえば、ランキングトップを並走する選手を一度に観れたわけです。千真は昨年の6ゴールを早々に抜きました。まずは二桁目指し、がんばってほしいです。千真のシュワ。
どうも3センターはまだしっくりきてないですね。前節の選手が混乱する様子から急造だったと思うのですけど、今週は準備をしていたのでしょうか。秀人の役割は明確でフォアチェックだと思います。残るモリゲ、加賀、ヨネ、ヒョンスのタスクをしっかり整理したいところです。試合中も試合後も、ヨネが厳しい表情で守備陣と議論していたのが印象的でした。
鳥栖のホスピタリティは素晴らしいです。試合前、東京サポにスタンディングオベージョンしてくれました。勝ったから言えるんですけど、気持ちよい夕べになりました。次節は磐田戦。森下さんが退任し、なんと長澤さんが臨時監督として、よりによって東京と対決です。長澤さんがいらっしゃった頃と雰囲気は違います。複雑ではありますけど、ウェットな感情は脇において、邂逅を楽したいです。