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ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018J1リーグ第32節FC東京vsジュビロ磐田@味スタ20181110

2018-11-11 16:52:07 | FC東京

紅葉を通り越してすでに木々が晩秋の雰囲気になってます。

リーグ戦も大詰め。結果からいいますと、川崎が今節、クラシコを前に連覇を決めました。おめでとうございます。すっかり差をつけられちゃいましたね。

今日は秋に対戦する記憶がない、磐田。You‘ll Never Walk Alone♪

ディエゴの日ではありませんでした。巧みな試合運びも、決めきれず。スコアレスドロー。

東京はほぼ前節を踏襲します。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは室屋と宏介。CMは拳人とヨネ。メイヤは右に慶悟左に晃太郎。トップはディエゴと洋次郎です。

磐田は前節から少し布陣を入れ替えます。シフトは3-4-2-1。GKはカミンスキー。3CBは右から大南、大井、祥平。WBは右に櫻内左に宮崎。CMは田口と上原。シャドウは右に松浦左に大記。1トップは嘉人です。

東京は前節から新布陣にチャレンジしています。トップを一枚削り、中盤の厚みを増しています。これにはメリットとデメリットがあります。すべての作戦にはおのずと長短がありますから、それ自体は自然なことですけど、今回の健太東京のチャレンジは、顕著にトレードオフになっていることが特長です。いわば、そこに今年の課題があるということを表していると思います。

作戦の意図としては、つまりメリットですけど、中盤の支配力、もう少し具体的にいうと、トランジションの可能性を高めることです。東京はファストブレイク、すなわちクイックな攻撃を旨としていますから、中盤のトランジション力を高めることはそのまま攻撃力の向上につながります。

そのためのヨネ器用は、もしかすると恒様ガンバの好調を参考にしているのかもしれません。サッカーは毎年トレンドが変わりますけど、ぐるっと回って、やっぱり中盤の重要性が再認識されているような気がします。今野であり、ヨネであり。

シーズン前半の好調期は、ディエゴと永井のスピード&パワーがチームの象徴でした。でも、その高速サッカーを実現し得たのは、中盤における拳人の存在感抜きには語れません。東京が下降線をたどりはじめるのは拳人離脱の時期とシンクロします。復帰したいまも、一人で中盤を支配する存在感はまだ戻っていません。ゆえに、ヨネを並べる選択をとったのでしょう。

もうひとつの課題は、ファストブレイクの基点を高く保つ必要性です。そこで、洋次郎を最前線で使います。洋次郎の視野とアイデアで、単にポストを安定させるのではなく、ダイレクトにチャンスにつながるプレーにも期待しているのでしょう。

中盤の支配力は、計算通りのクオリティを確保できました。守備から入る受動的な姿勢を取っているなかでも、イニシアチブを握ることができる原動力となりました。一方、トップを削ることは、やはり影響が見えます。チャンスメークでのディエゴの負担は減っているのですけど、縦への推進力を生むスペースメイクのタスクはディエゴに集中してしまいます。守備側も準備ができますから、ディエゴが単独で抜け出すシーンはほとんど見られなくなってしまいました。

それでも、ディエゴ、洋次郎、慶悟、晃太郎が絡む縦のパス交換の精度が上がってきていますし、SBが積極的に前を伺うタイミングも良くなっているので、ディエゴではなく、セカンドオポチュニティがフィニッシュに絡む可能性が広がる予兆があります。晃太郎や宏介のシュートは、来シーズンへの希望だと思います。

磐田は残留が当面の目標です。それゆえ、コンサバティブな姿勢を基本プランに据えざるを得ません。3バックを選択しているのはそのためでしょう。でも、さすが名波さんです。単純な守備のチームではなく、名波さんらしい矜持を示しています。

磐田はもはや、かつての布陣の密度にはほど遠く、J1を過ごすには十分とはいえない戦力です。それでもなお、湘南や長崎のような走り回ることを旨とはせず、磐田にしかないオリジナリティで勝負しようとします。その特長はポジションレス。

磐田はまず、センターラインを固定します。大井、田口、嘉人は本来のポジションを動きません。その上で、左右に配置された選手は、プランの上ではポジションレスです。もちろん試合に出る選手には個性があります。櫻内のような純然たるサイドアタッカーは右サイドにはりますし、必然的にバックアップする大南も固定します。ただ、それ以外の選手は、ポジションはあってなきがごとしです。

とくに顕著なのは宮崎です。名波磐田のサッカーを象徴的に体現している代名詞は宮崎でしょう。宮崎の現在の本職は左サイドアタッカーですけど、ときに最終ラインに入って攻撃をコントロールすることもあります。これは、ひとつには祥平の攻撃力を活かした違和感を作る際のセーフティネットの役です。もうひとつは、本来のコンダクターである田口の負担を軽減する意図でしょう。

磐田の攻撃は、ほぼすべて田口を経由します。それゆえ、田口を抑えれば磐田の攻撃は止まります。実際に、序盤の磐田がリズムを作った時間帯では目立っていた田口も、東京がオーガナイズするようになると守備に追われ、攻撃での存在感をなくします。

磐田の攻撃ルートは、サイド基調です。田口を基点にリズムを作りながら、高く位置取るサイドアタッカーを使って、左右にパスを振ります。これにシャドウが絡むことで、数的優位を作ろうという意図です。フィニッシュは、なのでクロスの頻度が高めですけど、最前線に嘉人というアイデアマンがいますから、嘉人ひとりでバリエーションを作っています。嘉人という存在の面倒くささは、なんでもできることにあります。名波さんは、嘉人を上手く使っているようです。磐田の状況を考えると、嘉人のなんでも自分でやりたがる悪癖がでても不思議ではないのだけど、最前線でじっと我慢できているのは名波さんのコントロールのおかげでしょう。

東京は、例によって磐田に攻撃権を渡します。磐田の攻撃方法を観察して、パターンを見極めます。今の東京を観る、オススメの楽しみかたのひとつは、東京が逆襲をはじめる変わり目を見つけることです。それはやはり、中盤のトランジションです。序盤はじっと様子を伺うのですけど、前半のあるタイミングで、突然ターンオーバーのチャレンジをはじめます。それがファストブレイク開始の号砲になります。今日は前半10分くらいにあったヨネのチャレンジがきっかけでした。残り二試合ですけど、ぜひ見つけてみてください。

東京が中盤でトランジションをはじめると、磐田も織り込み済なのでしょう。立場が逆転してコンサバモードに移行します。この切り替えは残留を目標とするチームならではですけど、理念のみならず現実もみつめられるマネジメント力の表れだろうと思います。

今日の東京のオーガナイズは、36分のPKで完成するはず、でした。今日は残念ながらディエゴの日ではなかったですね。PKもクロスバーに当てたシュートも。今日だけでなくここのところずっとディエゴの日ではない試合が続きます。チームのやりかたの問題ではなく、ディエゴ自身のアジャストなのでしょう。ひとつ入ると、ボールコントロールの感覚が戻ると思います。

ディエゴが失敗を取り戻してくれることを期待しつつ、なんとなく嫌な予感を感じたまま、前半はスコアレスのまま終了。

後半になっても流れは変わりません。健太さんはもちろんのこと、名波さんも、東京にイニシアチブが渡ることは前提として考えていたのでしょう。PK献上はあったけど、最終局面でのペナルティエリアの密度は保てていたので、OKとみたと思います。

今日の流れを象徴するのはセットプレーです。しかも東京のセットプレー。前節のスミ1はセットプレーでしたから、なおさら磐田も警戒したのでしょう。磐田はオーソドックスなるも、マンマークをしっかりと保ちます。すべてのセットプレーで、東京のアタッカーがフリーになれるシーンは皆無でした。残り二試合でACLをもぎ取りにいくためには、セットプレーに工夫を集中しても良いかもしれません。今日はあまりにも真っ正直過ぎました。

さて、先に動いたのは名波さんです。松浦に代えて航基を投入します。同時にシフトを3-4-1-2に変更します。航基はトップに入ります。嘉人のチャンスメークに反応するアタッカーを増やして、カウンターに備える意図だと思います。今日の磐田には堅碁がいませんから、長い距離でカウンター勝負ができません。結果的に、この後も磐田のカウンターに脅威を感じませんでしたから、勝負するなら序盤だったでしょう。

健太さんが動きます。洋次郎に代えてリンスを同じくトップに投入します。オリジナルの闘いかたに戻す意図です。これが機能します。チャンスメークのオポチュニティが増えますから、中盤から縦にチャレンジするパスが続々と供給されます。

直後に名波さんが動きます。嘉人に代えて荒木を同じくトップに投入します。嘉人のコンディションを考慮したのだと思います。攻撃の打ち手を繰り出しつつ、名波さんの本心はコンサバティブでした。WBを下げ、CBを絞ります。さらにCMも下げ、中央に五枚の堅陣を築きます。東京が一方的に攻め込み、局面が磐田のペナルティエリアに集中します。

それでもゴールをこじ開けられないことを受け、健太さんが動きます。二枚同時代えです。ディエゴに代えて永井を同じくトップに投入します。

ヨネに代えて輝一をトップに投入します。リンスが右メイヤ、慶悟がCMにそれぞれ回ります。アタッカーをフレッシュにして状況を打開しようという意図です。

同時に名波さんも動きます。櫻内に代えてムサエフをCMに投入します。上原が右WBに回ります。守備強度をマックスにする意図です。

最終盤に東京は、ヒョンスとモリゲを最前線に上げるパワープレーをしかけます。なんとしても勝利をもぎとるスクランブルです。

でもこれも磐田の籠城戦には通じず。このまま試合終了。東京0-0磐田。

たられば上等でいうと、ディエゴか晃太郎か宏介が決めていれば、完璧に満足できる楽しい試合だったといえるでしょう。つまり、試合の作りかたのクオリティは十分だということです。あとは決めるだけ。

残り二試合は、連覇を決めた川崎と、最終戦はアウェイの浦和。いずれも最高級の難敵です。それに対し、今の受け身な入りかたが通用するのか、今シーズンの集大成を確認する意味で、非常に興味深い対戦です。もちろんACLがかかる重要な試合でもありますから、今年はまだまだ高いモチベーションを維持して応援できます。

とりあえず次節、優勝おめでとうをやるのか意に介さないのか。どちらにしても東京らしいと思いますけど、楽しみです。ある意味ゆるくある意味熱く、クラシコを楽しみたいと思います。


2018J1リーグ第31節横浜F・マリノスvsFC東京@日スタ20181103

2018-11-04 22:41:52 | FC東京

11月なりました。

晩秋というのにあったかくて、相変わらず不安定な気候が続きます。でもサッカー観戦には最適。

本日は、先週カップ戦ファイナルを逃したばかりの傷心マリノスが相手。You’ll Never Walk Alone♪

俺たちのヒョンスのスミイチを守り抜きました。

東京はモリゲがサスペンション。加えて前線の編成をアジャストします。なのでシフトはスクウェア型の4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスと丹羽。SBは室屋と諒也。CMは拳人とヨネ。メイヤは右に慶悟左に晃太郎。2トップはディエゴと洋次郎です。

マリノスはここにきて負傷離脱が増えています。布陣はほぼカップ戦ファイナルと同じ。シフトは4-2-3-1。GKは飯倉。CBはチアゴ・マルチンスとドゥシャン。SBは右にマツケン左に山中。CMはタカとキー坊。WGは右に仲川左にイッペイ・シノヅカ。トップ下はあまじゅん。1トップはウーゴ・ヴィエイラです。

ポステゴグルーマリノスのように理念に殉ずるチームとの対戦は、対応策が明確ですから迷う必要がありません。ぼくら観る側も観戦のポイントが明確です。その点でポステゴグルーマリノスはとてもニューカマーに優しいサッカーを展開する、得難いチームだと思います。

代名詞のユニークなポジショニングは、シーズン当初のような新鮮さはもはやありません。当然のことながら、際立ち過ぎる個性は、そのクオリティが圧倒的なほど高くなければ、かえって標的になります。結論をいうと今年のポステゴグルーマリノスのチャレンジは、望むリーグ順位には至らないでしょうけど、それをもって理念の失敗というのは、マリノスに対して失礼だと思います。結果にのみフォーカスするのではなく、もっと純粋にエンターテイメントとしてのサッカーを追求する、素晴らしいチャレンジであることには変わりありませんから。

と賞賛しながら、やっぱり今のマリノスは頭打ち感を否めないでしょう。どんな理念を掲げようとも、あるいはどんな作戦を施そうとも、サッカーが基本的に個人プレーの集合体であることには変わりありません。マリノスのように理念を優先させるのであれば、なおさらタレントが、試合を構成する重要な要素になります。ようするに、少なくとも今日のアタッカーは、攻撃強度が物足りないセットでした。

マリノスのアタッキングサードでの攻撃プランは、基本的にサイドを基点とします。ですので最終局面では、サイドアタッカーのクオリティが問われます。マリノスは、昨年までのように特定のタレントに依存することができませんから、マルチローラーを多く配すことで、サイドアタックのテイストを多様にしています。これによって、守備側のルーティンを混乱させる効果を狙っています。たとえばイッペイは縦の仕掛けからクロス。山中はカットインからのシュート。仲川はドリブル。マツケンはクロス。さらにあまじゅんやキー坊、ときにタカもサイドでチャンスメーカーになることがあり、最終局面を演出する選手によって、メソッドを変えることができます。

とはいえ、ようするにポゼッションを基調としたサイドアタックであることに変わりありませんから、攻撃の優位性を確保する方法はひとつ。スモールスペースの数的優位を作ることです。であるならば、そこまでのプロセスを奇抜にする必要性は、現時点ではありません。マリノスのポゼショナルの象徴のように言われる飯倉、山中、マツケンは、その役割の是非を問い直す時期がくるのかもしれません。

話のながれからついでに脱線すると、かつて理念を先行したチームがリアリズムの要素を加えることで、短期間でチャンピオンに上り詰めた例がいくつかあります。それは、マリノスの将来を予見しているのかもしれません。カップ戦ファイナルの結果は、勝者にスモールクラブとしての最大成果を与えるとともに限界を通達するものであり、敗者により高い可能性をもたらしたと思います。

個人的には、そしておそらくほとんどの東京サポは、ポステゴグルーマリノスのサッカーを好ましく思わないと思います。今日のようなフラストレーションがたまる試合を見せられるリスクを払拭できないことを身をもって知っているからです。そして、すでにぼくらは、ハイスピードサッカーのエクスタシーを知ってしまいましたから。ポステゴグルーマリノスは、ディフェンスから入る東京にとっては、大好物、なのです。

東京はマリノスを上手く受けます。4+4の2ラインをコンパクトに保つことを優先します。今日、拳人とヨネを並べたのはそのためだと思います。ゾーンを保つというごくシンプルでオーソドックスな作戦が、ポジションレスの複雑な可変サッカーをあっさり封じました。攻撃権はマリノスが持つも、かんじんのアタッキングサードで、マリノスはペナルティエリアにすら入ることができません。

マリノスの選択ミスは、ドリブラーの数を削ったこと。コレクティブなゾーンを壊すのは不協和音。マリノスは、東京守備陣が奏でるハーモニーに調和してしまいます。そして、東京のオーガナイズが完成しつつある時間帯に、先制ゴールが生まれます。

15分。慶悟の右CK。東京は拠点を三つに分散する配置です。ニアに洋次郎、中央にグループで、拳人、丹羽、ディエゴ。ファアにヒョンスです。マリノスは原則マンマーク。マーカーはそれぞれ、キー坊、イッペイ、ドゥシャン、マツケン、チアゴです。東京の狙いは、もちろんヒョンスを1on1状態にすること。あっさりそのかたちになります。ヒョンスはニアに移動しながらチアゴを振り切ります。慶悟のクロスはヒョンスにぴたりと合いました。マリノス0-1東京。

パーフェクトな試合運びだった東京ですけど、唯一問題とするならば、有効な攻撃回数はそれほど多くなかったことです。マリノスもまた守備にはケアしたようで、東京がシュートに至るロングカウンターはほとんどありませんでした。勝てて良かったなと思いますけど、課題が改善されたわけではありません。今日は高い位置で基点を作り、ディエゴをフリーでゴールに向かわせようとしたのだと思いますけど、カウンター要員がディエゴのみになってしまったネガティヴな結果が優ってしまいました。それを隠す意味で、セットプレーからの先制は、決勝点になったこと以上に重要な価値があったと思います。

先制によってもたらされた流れは、東京の安定感のレベルアップでした。東京の防衛ラインが一枚上がります。マリノスの攻撃ルートを見切れたこともあって、中盤でパサーを捕まえられるようになります。こうなると、マリノスが誇る可変中盤システムも意味を無くします。

完全に東京のオーガナイズで前半終了。

後半頭から健太さんが動きます。洋次郎に代わって草民が右メイヤに入ります。慶悟がトップに回ります。コンディションを考慮したのだと思いますけど、洋次郎ですらコンディション不良であれば交代するのですから、ここにきてチームの底上げがかなりできてきている現れでしょう。

これで東京の右サイドが活性化します。草民はアグレッシブな守備から自分のリズムを作っていきますから、チームにもアグレッシブなノリを伝播させることができます。その流れを前線で慶悟が受けることで、カウンターの精度が上がります。ディエゴを有効に使えるようになり、ますます東京のオーガナイズが高まります。

これを受け、ポステゴグルーさんが動きます。キー坊に代えてイルロクを右WGに投入します。あまじゅんがCM、イッペイが右WG、仲川がトップ下にそれぞれ回ります。攻撃のテイストを変える意図だと思います。これがはまります。渓太離脱後は、カップファイナル同様、イルロクがスターターなのでしょうけど、コンディションのせいでここからの登場だったのでしょう。東京の堅城を崩す攻撃はやはりドリブルです。イルロクの積極的な仕掛けで、ようやくマリノスがペナルティエリアに入ることができるようになります。

マリノスのポゼッションが一段上がった状況で、健太さんが動きます。晃太郎に代えて永井をトップに投入します。慶悟が左メイヤに回ります。完全にロングカウンターモードに移行する意図です。これが地味にはまります。総攻撃モードのマリノスの後方を永井がチクチクいじります。マリノスの守備の三人に少なくない脅威を植えつけました。

これを受け、ポステゴグルーさんが動きます。イッペイに代えて翔を同じく右WGに投入します。カウンター対策ではなく、あくまでも攻撃成分のプラスを狙うあたり、ポステゴグルーさんらしい作戦です。マリノスは、イルロクを得る反面でキー坊を失うことで、中盤の構成力を下げます。攻撃力を上げても、パス供給源を東京に絶たれたままでは機能しません。

健太さんが仕上げます。ディエゴに代えてリンスを同じくトップに投入します。

ポステゴグルーさんが最後のカードを切ります。山中に代えて大津を投入します。同時にシフトを3-3-2-2に変更します。大津は右WB。マツケンが右CBに下がります。インサイトはあまじゅんと仲川。これが奏功します。攻撃枚数を増やすヤンチャな作戦は、さすがの東京をしても受けに回らせます。東京の重心が下がり、中盤をマリノスがコントロールできるようになります。さすがに90分間通じてオーガナイズを続けるのは難しいですね。

でも、マリノスの超攻撃モードも結果には結びつきませんでしま。このまま試合終了。マリノス0-1東京。

内容、結果とも、安定していました。なによりも勝ててよかったです。これからは、ACL出場権争いの短期決戦ですから、結果が大事。チャレンジャーの信条を保ち続けてほしいと思います。眠らない街♪丹羽のシュワッチヒョンスのシュワッチ

クリーンシートを達成した守備の安定感は、少なからず丹羽の局面のがんばりのおかげでもあります。第三CBは、ヒョンスもしくはモリゲ不在の穴をクオリティを落とさず埋め、なおかつ若手CBの具体的な目標となる、難しい立場です。丹羽は補って余りある活躍をみせてくれていますけど、プレーの質のみならずキャラクターがもたらす効果も少なくないと思います。残りシーズンも潤滑剤としての活躍を願います。

最終戦のチケットも発売され、いよいよシーズン大詰めです。ここにきてようやく上昇気流をつかめそうな雰囲気ができてきました。三位以内を目指し、粘り強くがんばってほしいと思います。


2018J1リーグ第30節FC東京vsセレッソ大阪@味スタ20181020

2018-10-21 15:40:12 | FC東京

いつの間にか季節は秋が深まってまいりました。

国際マッチデーなどがあって、スポーツの秋だというのに10月になってはじめての観戦です。もっとも、例年と違って天候が安定しない10月ですから、秋というよりか一気に晩秋の風情です。

3試合目となる20周年記念ユニも今日が最後。20周年記念試合と同じく冷たい雨模様になりました。迎えますはセレッソ。You'll Never Walk Alone♪

洗練された闘いかたでイニシアチブを握るも、いろんな不運にやられてしまいました。

東京はヒョンスがサスペンションです。シフトはダイヤモンド型の4-4-2。GKは彰洋。CBはモリゲと丹羽。SBは室屋と宏介。アンカーは拳人。メイヤは右に慶悟左に晃太郎。トップ下は洋次郎。2トップはディエゴと永井です。

3試合勝ちのないセレッソは布陣を入れ替えます。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKはキム・ジンヒョン。CBはヨニッチと山下。SBは右に裕介左に丸橋。CMは蛍とソウザ。メイヤは右に宏太左にキヨ。2トップは健勇と曜一朗です。

前節アウェイ名古屋戦で9試合ぶりに勝った東京。ちゃんと観れてはいないので、今日やっと状態を確認できます。試合を通じた印象は、試合運びが洗練されたように感じます。夏以降の急下降では、試合ごとの変化を観てきたのですけど、それはあまり正しい見方ではなかったかもしれません。怪我や調子の理由で選手の入れ替えが試合ごとにあったことが、闘いかたのアジャストを反映しているように思えただけなんだろうと思います。

試合はセレッソのペースで入ります。セレッソは前線からプレスを仕掛けてきます。イニシアチブを握りにきたのだと思います。基本的な作戦では、ユンさん初年度の昨年はともかく、本来のセレッソはボールを保持できるチームですから、ハイプレスを基調としません。セレッソもまた、結果を出して不調から脱するために、やるべきことをやろうとしているのでしょう。

ハイプレスで東京を押し込むことで、セレッソにまず攻撃権が渡ります。セレッソの攻撃での基本プランは、ショートパスの連鎖で出来るスモールスペースを使うという、セレッソらしい高いスキルを根拠とした作戦です。なので選手それぞれに異なる役割が設定されています。流れのなかで役割が被らないような繊細な連動が求められます。その中心にいるのはキヨです。帰国以来、怪我やワールドカップなどがあり、なかなかコンディションが戻らなかったキヨですけど、今年ここにきて、ようやく海外に行く前のエースの姿に戻ってきているようです。

キヨは攻撃時に中央にズレます。これによってスクウェア型でありながらトップ下のポジションができます。キヨと、曜一朗とCMのどちらかが絡んで攻撃のリズムを生みだしています。キヨが開けた左サイドは、丸橋が使います。一方右サイドはアシンメトリーで、宏太がほぼはりついています。なので、右サイドを背骨として安定性を保ちながら、中央から左の流動が生み出すダイナミズムで小さなスペースギャップを作ろうというのが基本的な攻撃ポリシーだと思います。

めっちゃ簡単にいうとようするにポゼッションスタイルなのですけど、東京はこれに落ち着いて対処します。序盤こそ、セレッソに攻め込まれます。理由のひとつはハイプレスです。もうひとつは健勇です。セレッソの預け処はほぼ健勇です。序盤は、ハイプレスの効果があって健勇にポストがしっかり納まってました。これで全体の重心が上がりますから、セレッソは人数をかけた厚みのあるサイドアタックを展開できました。

東京はまず、4+4のラインを維持してしっかり受け止めます。そうしてセレッソに攻めさせているうちに、セレッソの攻撃のリズムを生み出すポイントを冷静につまびらかにしているようでした。次第に東京の重心が上がっていきます。

東京が抑えたのは、セレッソの要である二点。キヨと健勇です。健勇のポストは、抑えたというより結果論ですので、キヨへの対応の一点に注視したのだと思います。セレッソは連動性のある攻撃を展開しますけど、案外と連動の仕組みは複雑ではありません。リズムメイカーが複数いれば捉えることは難しいのですけど、ようするにキヨだけですから、キヨの動きをみればパターンを見極めることができるのだと思います。東京はキヨからのパスを狙います。これによってセレッソの攻撃リズムを遮断し、かつ攻撃権を奪い取ることに成功します。

攻撃ができるようになった東京が選んだ攻撃方法はいつも通り。永井をスペースに走らせる長いフィードで、局面を一気にアタッキングサードに持っていきます。アタッキングサードで基点を作りサイドを押し上げ、高い位置で室屋と宏介に渡します。序盤はそこからのアーリークロスでゴール前で勝負できる状況を作っていました。

こうしてチームの重心が上がることで、中盤の守備ももう一段階優位にすることができました。キヨのパスを狙うのではなく、中盤の基点そのものを狙った仕掛けができるようになります。いわゆるファストブレイクの起点です。ひさしぶりに拳人が中盤に君臨する姿をみることができました。

前節ひさしぶりにゴールを決めた永井はコンディションが戻ってきているようです。ディエゴとのコンビネーションも整理できているようで、今日は互いの意図がズレるフラストレーションはまったくありませんでした。永井がスペースを作って、ディエゴが局面で勝負する。テイストが異なるスピードスターが繰り出すアップビートが、東京が躍動感を取り戻す原動力になっています。

ファストブレイクの復活だけではありません。ここにきて新たなストロングポイントが生まれつつあるようです。それは室屋。室屋の攻撃エリアが以前より格段に拡がっています。ゴール前や中央で良いアクセントになってる選手がいるなぁと思ったら、気づけばそこに室屋でした。なのでフィニッシュに絡むシーンが増えています。これは、運動量が増えているとともに、攻撃に切り替えるタイミングがはやくなっていることが理由だと思います。スタンドから観ていて、動き出しがわかるSBは平凡な選手です。代表クラスに脱皮する選手には、観ていてストレスがありません。むしろぼくら観る側を牽引してくれさえします。ちょっと、かつて佑都がいたころを思い出しました。代表に呼ばれて、室屋はなにかを掴んだのかもしれません。

というわけで、攻撃権を取り戻してからイニシアチブを握り、試合をオーガナイズできる立場を能動的に手中にするチーム技術を東京は身につけることができています。もちろん相性がありますから、普遍的なクオリティに達しているかはまだわかりません。でも、かたちを披露できたことは現に間違いありません。今日は、健太東京が目指すサッカーをプレゼンしてもらったようなこころもちがしました。

結果、フィニッシュパターンも多彩になってます。足りないのは、ゴール前でギャップを作る精度です。アタッキングサードでビッグチャンスを作っても、フィニッシュが防がれる、あるいはフィニッシュに持ち込めないのは、フリーマンを生み出す状況を作れていないためです。これはアタッカーの技術的な問題なのか、攻撃のスピードがまだ足りないのか、連動性がまだ足りないのか、個々の選手の判断の問題か、はたまたシュートへの意欲不足なのか、理由はわかりません。いま言えることは、ここまでのシーズンを考えると、流れを絶やさないことだと思います。

課題は伸びしろとも言えます。今年はあと四試合になっちゃったけど、来年の成長に向けた足がかりをみせてほしいと思います。前半はスコアレスのまま終了。

後半は、前半の流れがさらに顕著になり、完全に東京がオーガナイズする展開になります。中盤の支配力はほぼパーフェクトで、セレッソは事実上なにもできず、サンドバック状態になります。かえす返す悔やまれるのは、誰もが思うことでしょうけど、圧倒しておきながらゴールできなかったことです。ゴールに迫り続ける姿はワクワク感を生み出しました。このワクワクを歓喜に変換するゴールをいっぱい観られることを、とにかく熱望します。

攻めきれないことを踏まえ、健太さんが動きます。永井に代えてリンスを同じくトップに投入します。もちろん仕上げを期待した作戦です。

今年やり残した最大の課題は、アタッカーのオプションです。ディエゴと永井の組み合わせは、二人とも個性的なあまり、代替のない不可逆的なコンビです。唯一リンスが現実的に有効な選択肢ですけど、圧倒的な説得力をもつには至ってません。今の東京が、選手のタレントを前面に押し出すスタイルですから代えがきかなくなるのは必然です。来年の話は鬼が笑うけど、もう少しコレクティブな部分もあるといいな思います。

健太さんが動きます。ディエゴに代えて遼一を同じくトップに投入します。遼一のコンディションの良さに期待した作戦だと思います。

この直後、不運が起こります。

84分。東京の攻撃を防いだ丸橋の大きなクリアから。これが健勇へのフィードとなります。丹羽との競合いに勝った健勇はポストを納め、右に展開します。カウンターが発動します。宏太はドリブルで持ち込み、アタッキングサードに入ります。東京はモリゲ、丹羽、拳人、室屋が戻ってラインを作ってます。打ち手のない宏太はとりあえずシュート。これはモリゲに当たって、イーブンボールが逆サイドに弾かれます。そこにフリーでいたのはキヨでした。キヨは躊躇なく右足を振り抜きました。東京0-1セレッソ。

セレッソのこの試合唯一の有効なカウンターがゴールになりました。不運です。と同時に、シュートすればなにかが起こるという、典型でした。攻め続けた東京に対する痛烈なアイロニーにもなりました。

東京もカウンターを繰り出すようになります。リンスの単独突破など、セレッソのゴールシーンよりもはるかにパワフルで、雰囲気があって有効なのですけど、まったく運がありませんでした。

最終盤にはいり、健太さんが動きます。宏介に代えて諒也を同じく左SBに投入します。キッカーのテイストを変えてみる意図だと思います。

ずっと静かだったユンさんがようやく動きます。宏太に代えてトシを同じく右メイヤに投入します。コンディションを意識した作戦でしょう。

さらにユンさんが動きます。ソウザに代えてオスマルを同じくCMに投入します。直前にソウザがいたんでいたので、コンディションを考慮したのだと思います。

このまま試合終了。東京0-1セレッソ。

武道でいう、試合に勝って勝負に負けた試合でした。内容はホントに良かったのですけど、様々な不可抗力の不運が重なり、勝ち点をロストしてしまいました。

それでもまだ三位。ACL出場権争いではトップに帰り咲きました。チーム状態は悪くないように見えます。とにかくゴールが決まってほしい。なんとかACL出場を勝ち取ってくれることを願います。

今年も残り四試合。秋の寂しさを感じますね。また二週間、ルヴァンカップ決勝ウィークをはさんで、次節はもう11月。


2018J1リーグ第28節FC東京vs清水エスパルス@味スタ20180929

2018-09-30 14:46:18 | FC東京

20年。

レジェンドたちを観ると、ひとつずつ、いろんな想い出を積み重ねてきたんだなという感慨にふけります。

FC東京クラブ創設20周年おめでとうございます。

あいにくの雨模様になってしまったのは、レジェンドの誰のせい?(^ ^)。

まだ若いクラブだなと思うのは、レジェンドの皆さんのユニフォーム姿がまだなんとなく様になってるから。現役のコーチがいるので、指導している子どもたちの手前、ガチでやり勝ちになりました。まさかの、いやお約束のシュート打てブーイングのなか、スコアレスドロー( ^ω^ )。

レジェンドの姿はいずれ振り返るとして、とりあえず本論をお送りします。OB戦に立ち会えたラッキーなチームは、清水。フェアプレー宣言You’ll Never Walk Alone♪

さすがJを代表するわが道を行くチームの清水です。20周年記念なぞどこ吹く風と、内容、結果とも圧倒されました。

東京はほぼ前節と同じ布陣です。シフトはダイヤモンド型の4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは室屋と宏介。アンカーは拳人。メイヤは右に慶悟左に草民。トップ下は洋次郎。2トップはディエゴとリンスです。

清水もほぼ前節と同じ布陣です。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKは六反。CBはソッコとフレイレ。SBは右に立田左に松原。CMは竹内と河井。メイヤは右に金子左に白崎。2トップはドゥグラスと北川です。

東京は前節、相性のいいアウェイ広島に対して、スパーリングなしのぶっつけでファストブレイク回帰を果たしました。相性がいいというエクスキューズがあっただけに、軌道にのって上昇できるか、真価は今日問われることになります。

というのも、もともとファストブレイクは、個の選手のフィジカルに依存した闘いかただからです。フィジカルを発揮する場を封じられた場合、とたんに機能性を失うことは、夏場の苦労で証明済。その意味で、チームとしての完成度をはかる機会ともいえます。

清水は東京対策をほどこしません。対策を練られるのは上位の特権ですけど、広島といい清水といい、特別な対策をすることなく、オリジナルのプランで臨みます。このあたりにも、もはや要注意チームではなくなったことを実感します。

清水は、東京よりも次元の違うチームの完成度を披露しました。フィジカルに頼るうちに、細部を積み重ねてきたチームに秋口になって追い越された印象です。まるでウサギとカメのお話みたい。清水は4+4の2ラインを維持する、コレクティブな闘いかたを基調とするスタイリッシュなチームです。結局のところ東京のフィジカルは、局面でのパワーとスペースに対するスピードに整理されます。言い換えると、この2点をケアすれば東京は止められるということです。

しかも、フィジカルをしかける選手は限られていますから、ケアをピンポイントに絞ることができます。パワーは中央、スペースはサイドの裏。ここに人数をかけ重点的に守る考えかたもありますけど、清水はオーソドックスにゾーンを維持する作戦でした。これはゾーンのクオリティに自信があったからだと思います。案の定、東京は清水のコレクティブな守備網に苦しみます。

序盤こそ、長めのフィードを直接サイド奥に入れることで室屋と宏介を走らせ、スペースを奪うことに成功しました。でもこれはあくまでも序盤の主導権争いでのこと。清水の守備が整ってくると沈黙させられてしまいます。まずポストがまったく収まりません。これでは縦への推進力を生み出す支点が作れません。つぎに走りこむスペースに清水が常に選手を置いています。これでは攻撃のスピードを上げることができません。いわゆる攻撃スイッチを押すことができません。結果的に、東京はチャレンジができず、無為にパスを回すことになります。

見方を変えると、清水のコレクティブな守備を上回るほどの攻撃力を持っていないとも言えます。サッカーの相対性は、あくまでも現実に起こった結果でしか評価ができません。でも同時に起こらなかったパラダイムには、現実とは異なる相対性が潜んでいる可能性があります。もし東京が地道にスペースを狙い続けていれば、清水の守備網は最後までコレクティブを維持し続けられたのか。もちろんその答えは分かりません。でも、目下のところフィジカルに頼るしかない状況ですから、フィジカルに徹する以外道はないような気がします。

とはいえポストが安定しないことにはスペースメイクも有効にならないので、まず優先すべき課題はポストでしょう。矛盾するようだけど、ポストをフィジカルに頼り過ぎていることが相手にとって守りのポイントを絞り易くしている原因ではないかと思います。フリックを使ったり、サイドや下がり目で基点を作ったり、前節で見せた工夫をいろいろチャレンジしてみてほしいと思います。

清水は攻撃も整理されています。最終的なチームとしてのターゲットがどっしりと安定していることが、攻撃の方向性を定める要因になっていると思います。やはりドゥグラスは、Jのなかで抜きん出たクオリティなのですね。ドゥグラスひとりで脅威になり得るので、ドゥグラスを活かす作戦を逆算からつむいでいるのでしょう。

清水のテーマはスピード。とくにアタッキングサードでスピードを保つこと。スピードの源泉はドゥグラスと金子です。この二つのストロングポイントを活かすための清水の工夫は二つ。まずポストはほぼ北川が担います。ドゥグラスに前を向いてしかけさせるとともに、北川自身によるドゥグラスのフォローを意図していると思います。

もうひとつはサイドの使いかたです。清水の布陣の特長は、SBにフィジカルが強く高さのある選手を選んでいることです。この意図は守備を重視しているのでしょうけど、立田、松原ともスピードがあり、かつ攻撃特性が非常に高い選手ですから、むしろ攻撃への貢献のほうが目立ちます。この、SBのサイドのみならず中央でもみせる攻撃への絡みがもうひとつの工夫です。SBを非常に高い位置に置くことで中央に人数をかける数的優位を生み出しています。

攻撃のアプローチは近代的な考えかたです。ここにもスピード重視が反映されています。とにかくアタッキングサードにはやく入れること。かつアタッキングサードに入ってもスピードを落とさないこと。このために縦の大きめのタベーラを多用します。アタッキングサードにはいっても迷わずどんどん仕掛けます。なので清水は、相手チームながら、観ていて爽快感すら感じます。

それでもそこはやはり東京。二度ほど大きなピンチがありましたけど、彰洋を含め、守備は安定していました。一度、ヒョンスが北川のスピードについていけないシーンがありましたけど、それ以降は北川を拳人がケアするようになり、アンバランスはすぐに解消されました。

そういえば、拳人に中盤の帝王としての圧倒的な存在感が感じられません。ピンチを未然に防ぎ、かつトランジションの始点ともなる拳人の存在は、もはや東京のエースといってよいと思います。東京の下降傾向は拳人の離脱とともにはじまりました。復帰後もコンディションが戻りきっていないのではないかと思います。プレーはけして悪くないのだけど、絶対的な姿を知っているだけに、はやくベストパフォーマンスを観たいと思います。

前半はスコアレスのまま終了。

後半はますます清水のイニシアチブに傾向します。状況が変わらないとみた健太さんが動きます。リンスに代えてヨネを投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。ヨネはCMに入ります。北川のポストが安定していて、竹内と河井も積極的に攻撃参加をみせていたので、まずは中盤のパワーバランスを取り返す意図だと思います。かつ、ヨネがダイアゴナルにサイドスペースに侵入することで、縦への推進力を生み出そうとしたのだと思います。これは試合終盤に活きるようになります。

東京が前を向いてしかけられるようになって、ようやく展開もイーブンになる雰囲気が出てきはじめた矢先、今日もまたアンラッキーで失点します。

65分。竹内が自陣でトランジションしたボールを前方中央にいる白崎にパス。白崎はセンターサークル付近でターン。攻撃スイッチが押されます。白崎は左サイドでフリーのドゥグラスにスルー。ドゥグラスはペナルティエリアからかなり外側でしたけど、迷わずシュート。これは彰洋がカットしますけど、そこに詰めていたのは北川でした。東京0-1清水。

ドゥグラスのシュートは枠を外していたので、彰洋が触らなければ何事もなかったでしょう。彰洋の反応力とサイズ故のアンラッキーです。それにしても、反応という点では、ドゥグラスのはやめの仕掛けにより、十分に北川を視界にしてケアしてたモリゲをもってしても、下がり傾向のなか北川のスピードアップに反応できなかったことは、流れのなかで致しかたなかったとはいえ、モリゲ自身は悔しいプレーだったでしょう。早々警告を受けていたことも影響したかもしれません。

失点を受け、健太さんが動きます。草民に代えて永井を投入します。同時にシフトをスクウェア型の4-4-2に変更します。永井はトップ。洋次郎が左メイヤに回ります。これでふたたびスピードの優位性を取り戻します。これが奏功します。永井のスピードを活かして、ようやく、アタッキングサードのなかで攻撃スピードを落とすことなくスペースを使えるようになります。先制したことで清水が重心を少し下げたことも起因していますけど、このスピードプレーを主体的に作れるようになることが目標だと思います。

攻め込む東京とカウンターで対抗する清水。東京の攻撃力を上回ったのは、やはりドゥグラス個人のクオリティでした。

81分。ドゥグラスがヒョンスに倒されて得たPKをドゥグラス自身が決めました。東京0-2清水。

直後にヨンセンさんが動きます。北川に代えて石毛を同じくトップに投入します。追加点の前にすでに石毛が用意をしていたので、状況変化を確認してというよりかは、カウンターを狙った予定通りの作戦だと思います。

2失点目を受け、健太さんが動きます。拳人に代えて輝一をトップに投入します。洋次郎がCM、永井が右メイヤ、慶悟が左メイヤにそれぞれ回ります。アタッカーを増やしことと、永井にスペースを与える意図だと思います。安全圏を得て清水がリトリートしたこともあり、東京が攻め込みます。ペナルティエリアにしかけますけど、シュートを打てど枠に収まることすらできません。最終局面での清水守備網の堅さが勝りました。

ヨンセンさんが〆ます。ドゥグラスに代えてクリスランを同じくトップに投入します。

このまま試合終了。東京0-2清水。

記念試合は得てして結果を伴わないイメージがあります。今日もまたしかり。20周年の記念に華を添えることができませんでした。雨といい、東京はもってないですね。お祓いしたほうが良いかも。

広島でひと筋の光明をみたファストブレイクの復活も、清水のコレクティブの前にあっさりと希望をくだかれてしまいました。不思議なことにずっとキープしていたACL圏内からも脱落してしまいました。とはいえACLは現実的な目標です。むしろ追う側になったほうが闘いかたもマインドも整理しやすいんじゃないかと思います。

次節は後半戦の主役、名古屋。対照的に楽しくプレーしているまるとの再会マッチです。


2018J1リーグ第27節サンフレッチェ広島vsFC東京@エデスタ20180922

2018-09-28 16:00:33 | FC東京

いろんなことがあり過ぎた今年の日本の夏が終わろうとしてます。

個人的にも慌ただしくて、夏の終わりにようやく夏休みです。

今年の夏旅は西に向かいます。まず、広島。

この世界の片隅にロケ地巡りの旅で呉線に乗りました。山が迫る海岸線を走る呉線沿線は、中四国九州と広範囲におよんだ豪雨被害の被災地で、被災の傷跡が生々しく残ります。一日も早く平穏な日常が戻りますように。You'll Never Walk Alone♪

というわけで本日は首位との対決です。

なぜか毎年相性がいいアウェイ広島で、今年も勝ち点1を拾いました。首位を圧倒し沈黙させて内容がよかったので残念です。

東京は室屋がサスペンション。加えてメンバーを少しアジャストします。基本プランは変えませんので、個人特性と相性の違いでこれまでとは異なるテイストを生む意図です。シフトはダイヤモンド型の4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは諒也と宏介。アンカーは拳人。メイヤは右に慶悟左に草民。トップ下は洋次郎。2トップはディエゴとリンスです。

広島は最前線だけ代えたベストメンバーで臨みます。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKは卓人。CBは水本と野上。SBは右に和田左に翔。CMは青山と稲垣。メイヤは右に晃誠左に柏。2トップはパトリックと工藤です。

広島の相性の良さをいつか解明してみたいのですけど、東京以外との対戦を観る機会がまずないので実際には無理です。対戦したときの広島は強さを不思議に感じるほど、従順な印象を受けます。

ポイチさん時代は、直線的なパターンサッカーゆえに攻撃ルートとタイミングが読み易かった覚えがあります。ポイチさんが去って一年以上、ヒロシが就任して9ヶ月になりますけど、テイストの違いが相性に変化を与えるのか興味がありました。なにしろ元東京のヒロシだし、それに広島は首位ですから。

今日の東京の作戦は鮮烈でした。広島対策というよりか、今年前半の闘いかたに戻す意図のほうが強かったと思います。ファストブレイクの復活です。そう。健太東京の原点である、手数をかけず縦に急ぐサッカーに戻しました。

改善のポイントは2点。まずバイタルエリアの強度を高めます。強度を高めるというよりか、チャレンジする意欲を取り戻したといったほうが良いかもしれません。そのためにバイタルエリア中央にチャレンジできる選手を置きます。このポジションにディエゴ、リンス、草民、慶悟が代わる代わる入ってきます。今日はとくに草民が目立ちました。広島は中盤を優位にするべく、バイタルエリアに入る相手に対し人数をかけて囲いこんできます。東京はこれを逆手にとって利用します。広島が人数をかける分、突破できたらその先に数的優位の可能性が広がります。あまりインテリジェントな作戦ではありませんけど、実行するためには技術とパワーの裏付けが必要ですから、どのチームにもできるわけではありません。

シーズン前半の東京は技術とパワーにスピードも加えることで、いわばタレントの力量差で他チームを圧倒してきました。それが、次第に洋次郎を軸にした作戦に変換してくるとともに、パスを回すことを主眼においたサッカーに変質しました。結果、知らず知らずのうちに、実は今年の東京の最大のストロングポイントである、パワーとスピードを失ってしまいました。試行錯誤のなか、辿り着いた答えが、パワーとスピードへの回帰ということだったのでしょう。

バイタルエリアで前を向けるのでアタッキングサードでもアタッカーが前を向いて仕掛けることができ、スピードが上がります。広島は必然的に受け身になり、守勢に回ることになります。次のポイントはアタッキングサードに入ってから。今日はディエゴとリンスが代わる代わるサイドに出ます。ここ数戦はサイドはサイドアタッカーに任せていました。今日はこれにトップを絡めることで、サイドの優位性を確保します。ハイスピードのままサイドで最終基点を作り、その流れのまま一気にゴール前に襲いかかります。ディエゴとリンスがポジションを交互に分散することで、ディエゴ頼みになっていたチャンスメークに多様性をもたらすことができるようになりました。なによりもリンスが中央で我慢することが、ディエゴの負担を軽減しています。

手数をかけずに攻め、かつペナルティエリアでも攻め切ることで、守っては攻めの良いリズムが生まれます。やがてチーム全体に、縦にチャレンジするアグレッシブでシンプルな意志が浸透し、あのファストブレイクの躍動感が蘇りました。

広島との相性の良さはスタイルが似ているからかもしれません。広島も守備に重心を置いたサッカーを継続してきました。それでいて伝統的に技術のベースロードがありますから、守備も攻撃もスタイリッシュで、荒っぽさは微塵も感じません。意外性や背伸びがないからストレスなく対戦できるのでしょう。

守備に重心を置くため、攻撃はカウンターにおいて有効です。カウンターの機会を探る間は、リトリートスタイルの相手に対してポゼッションスタイルでしのぎます。ディエゴ依存からの脱却を復権のテーマとした東京に対し、パトリック依存を正当化して、堂々と作戦の中心に据えているのがヒロシ広島の特長です。ただ、やはり遅攻のパトリックは、東京守備陣に対して有効ではありません。それゆえ、東京の中盤の支配力が高まります。こうしてファストブレイクを効果的にする下地ができます。

ひさびさに東京が本来のかたちを見せられるようになったところで、非常にアンラッキーなことが起こります。

18分。晃誠の右FK。東京は横陣です。広島はニアから野上、パトリック、翔、工藤、和田。晃誠は青山に渡します。青山はゴール前中央にクロス。これが彰洋とラインの間に落ちるいやらしいクロスになります。彰洋、ヒョンス、翔が競ったボールはイーブンになります。これを工藤が押し込みますけど、ゴールにいた洋次郎が弾き出します。ところが不運なことに、クリアがパトリックに当たり、そのままゴールに吸い込まれてしまいました。広島1-0東京。

でも東京は焦りません。時間はまだはやかったですし、かたちがしっかりできてきていたので、基本プランを変える必要がないという意図だと思います。そうして、時間を追うごとに東京の攻守の連動がスムーズになり、試合のイニシアチブを握ります。中盤の支配力が高まることで、切れ目のない攻撃ができるようになります。

一方の広島も、受け手に回ることはネガティブではありません。パトリックの本来のストロングネスを活用できますから。それでも東京は、パトリックのロングカウンターにも落ち着いて対処していました。前半の広島はパトリックに偏重し過ぎていたかもしれません。それが東京にとって守り易さをもたらしたのだと思います。

前半はビハインドなるも、東京が良いリズムを掴んだ状態で終了。

後半も変わらない状況ではじまります。リードしながらもリズムが生まれない広島のほうが対処がむずかしかったかもしれませんね。ヒロシが迷ってるうちに追いつきます。

49分。卓人のGKから。モリゲとパトリックが競ったあとのイーブンボールは草民に渡ります。草民はターンし自陣からドリブルを開始。カウンターになります。草民はディエゴに預けます。ディエゴは左ライン際のリンスにはたきます。リンスは後方の洋次郎と縦のタベーラ。これで広島の注意を引きつけている間に、ディエゴが左奥に流れます。リンスはディエゴにスルー。アタッキングサードに入ります。ペナルティエリアに入ったディエゴを見る広島守備陣は下がり傾向です。ディエゴはペナルティエリアゴール正面に上がったリンスにマイナスのパスを送ります。リンスは丁寧に右足ダイレクトで合わせました。広島1-1東京。

振り出しに戻ったことでヒロシが動きます。工藤に代えてティーラシンを同じくトップに投入します。ティーラシンとパトリックが、チャンスメークとフィニッシュを交互に分担するようになり、広島にようやく推進力が生まれるようになりました。

そこで健太さんが動きます。二枚同時代えです。リンスに代えて永井を同じくトップに投入します。

草民に代えて晃太郎を同じく左メイヤに投入します。ここでレギュラーセットに戻しますけど、基本プランは変えず交代によるテイストの違いからギャップを作る意図だったと思います。でも前半の推進力は維持できませんでした。今のところ、基本布陣にリンスと草民を加えることで勝ち得る推進力なのかもしれませんね。

とくに晃太郎は、自身も感じているようですけど、シーズン前半で見せた果敢なドリブルチャレンジがすっかり影を潜めています。チームの作戦の綾という部分もあるとは思います。でも今日の草民を観ると、守備陣を引きつける単独ドリブルの効果を再確認できたわけですから、誰が左メイヤに入るにしろ、チームとして意識してほしいと思います。

そこでヒロシが動きます。晃誠に代えて川辺を同じく右メイヤに投入します。これも攻撃のテイストを変える意図だと思います。

健太さんが最後のカードを切ります。ディエゴに代えてヨネを投入します。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。ヨネは拳人と並んでCM。1トップは永井です。

ここのところ、攻める場面でアタッカーを使わずヨネを投入するパターンが続きます。中盤の構成力を上げて攻撃の機会を増やす作戦だとは思いますけど、本来はシンプルにアタッカーを増やすべきところ。今日はアタッカーのオプションがあったにもかかわらずの選択ですから、信頼の故だと思います。でもできればアタッカーにがんばってほしいところです。

流れは変わらず、このまま試合終了。広島1-1東京。

やっぱり相性の良さは変わらず、先制されながらもなんとなく勝てそうな気配を感じた試合でしたけど、作戦変更で流れがネガティブに変わってしまいました。しばらくは今日のスタートセットが主力になりそうです。

勝利には繋がらなかったけど、ファストブレイク回帰は、心配したほどではなく案外スムーズに実行できました。ある程度選手に依存してしまうのは、シーズンが終盤に入りますから仕方がないかなと思います。まずは健太東京らしい圧倒的な推進力をチームが取り戻すことが先決でしょう。

二ヶ月近く勝利から遠ざかっています。苦しい夏になってしまいました。9月最後は、20周年記念マッチです。OB戦が楽しみで、なんとなくそっちがメインな気分ですけど、トップチームも勝利して20周年記念に華を添えてほしいと思います。