ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2018J1リーグ第32節FC東京vsジュビロ磐田@味スタ20181110

2018-11-11 16:52:07 | FC東京

紅葉を通り越してすでに木々が晩秋の雰囲気になってます。

リーグ戦も大詰め。結果からいいますと、川崎が今節、クラシコを前に連覇を決めました。おめでとうございます。すっかり差をつけられちゃいましたね。

今日は秋に対戦する記憶がない、磐田。You‘ll Never Walk Alone♪

ディエゴの日ではありませんでした。巧みな試合運びも、決めきれず。スコアレスドロー。

東京はほぼ前節を踏襲します。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは室屋と宏介。CMは拳人とヨネ。メイヤは右に慶悟左に晃太郎。トップはディエゴと洋次郎です。

磐田は前節から少し布陣を入れ替えます。シフトは3-4-2-1。GKはカミンスキー。3CBは右から大南、大井、祥平。WBは右に櫻内左に宮崎。CMは田口と上原。シャドウは右に松浦左に大記。1トップは嘉人です。

東京は前節から新布陣にチャレンジしています。トップを一枚削り、中盤の厚みを増しています。これにはメリットとデメリットがあります。すべての作戦にはおのずと長短がありますから、それ自体は自然なことですけど、今回の健太東京のチャレンジは、顕著にトレードオフになっていることが特長です。いわば、そこに今年の課題があるということを表していると思います。

作戦の意図としては、つまりメリットですけど、中盤の支配力、もう少し具体的にいうと、トランジションの可能性を高めることです。東京はファストブレイク、すなわちクイックな攻撃を旨としていますから、中盤のトランジション力を高めることはそのまま攻撃力の向上につながります。

そのためのヨネ器用は、もしかすると恒様ガンバの好調を参考にしているのかもしれません。サッカーは毎年トレンドが変わりますけど、ぐるっと回って、やっぱり中盤の重要性が再認識されているような気がします。今野であり、ヨネであり。

シーズン前半の好調期は、ディエゴと永井のスピード&パワーがチームの象徴でした。でも、その高速サッカーを実現し得たのは、中盤における拳人の存在感抜きには語れません。東京が下降線をたどりはじめるのは拳人離脱の時期とシンクロします。復帰したいまも、一人で中盤を支配する存在感はまだ戻っていません。ゆえに、ヨネを並べる選択をとったのでしょう。

もうひとつの課題は、ファストブレイクの基点を高く保つ必要性です。そこで、洋次郎を最前線で使います。洋次郎の視野とアイデアで、単にポストを安定させるのではなく、ダイレクトにチャンスにつながるプレーにも期待しているのでしょう。

中盤の支配力は、計算通りのクオリティを確保できました。守備から入る受動的な姿勢を取っているなかでも、イニシアチブを握ることができる原動力となりました。一方、トップを削ることは、やはり影響が見えます。チャンスメークでのディエゴの負担は減っているのですけど、縦への推進力を生むスペースメイクのタスクはディエゴに集中してしまいます。守備側も準備ができますから、ディエゴが単独で抜け出すシーンはほとんど見られなくなってしまいました。

それでも、ディエゴ、洋次郎、慶悟、晃太郎が絡む縦のパス交換の精度が上がってきていますし、SBが積極的に前を伺うタイミングも良くなっているので、ディエゴではなく、セカンドオポチュニティがフィニッシュに絡む可能性が広がる予兆があります。晃太郎や宏介のシュートは、来シーズンへの希望だと思います。

磐田は残留が当面の目標です。それゆえ、コンサバティブな姿勢を基本プランに据えざるを得ません。3バックを選択しているのはそのためでしょう。でも、さすが名波さんです。単純な守備のチームではなく、名波さんらしい矜持を示しています。

磐田はもはや、かつての布陣の密度にはほど遠く、J1を過ごすには十分とはいえない戦力です。それでもなお、湘南や長崎のような走り回ることを旨とはせず、磐田にしかないオリジナリティで勝負しようとします。その特長はポジションレス。

磐田はまず、センターラインを固定します。大井、田口、嘉人は本来のポジションを動きません。その上で、左右に配置された選手は、プランの上ではポジションレスです。もちろん試合に出る選手には個性があります。櫻内のような純然たるサイドアタッカーは右サイドにはりますし、必然的にバックアップする大南も固定します。ただ、それ以外の選手は、ポジションはあってなきがごとしです。

とくに顕著なのは宮崎です。名波磐田のサッカーを象徴的に体現している代名詞は宮崎でしょう。宮崎の現在の本職は左サイドアタッカーですけど、ときに最終ラインに入って攻撃をコントロールすることもあります。これは、ひとつには祥平の攻撃力を活かした違和感を作る際のセーフティネットの役です。もうひとつは、本来のコンダクターである田口の負担を軽減する意図でしょう。

磐田の攻撃は、ほぼすべて田口を経由します。それゆえ、田口を抑えれば磐田の攻撃は止まります。実際に、序盤の磐田がリズムを作った時間帯では目立っていた田口も、東京がオーガナイズするようになると守備に追われ、攻撃での存在感をなくします。

磐田の攻撃ルートは、サイド基調です。田口を基点にリズムを作りながら、高く位置取るサイドアタッカーを使って、左右にパスを振ります。これにシャドウが絡むことで、数的優位を作ろうという意図です。フィニッシュは、なのでクロスの頻度が高めですけど、最前線に嘉人というアイデアマンがいますから、嘉人ひとりでバリエーションを作っています。嘉人という存在の面倒くささは、なんでもできることにあります。名波さんは、嘉人を上手く使っているようです。磐田の状況を考えると、嘉人のなんでも自分でやりたがる悪癖がでても不思議ではないのだけど、最前線でじっと我慢できているのは名波さんのコントロールのおかげでしょう。

東京は、例によって磐田に攻撃権を渡します。磐田の攻撃方法を観察して、パターンを見極めます。今の東京を観る、オススメの楽しみかたのひとつは、東京が逆襲をはじめる変わり目を見つけることです。それはやはり、中盤のトランジションです。序盤はじっと様子を伺うのですけど、前半のあるタイミングで、突然ターンオーバーのチャレンジをはじめます。それがファストブレイク開始の号砲になります。今日は前半10分くらいにあったヨネのチャレンジがきっかけでした。残り二試合ですけど、ぜひ見つけてみてください。

東京が中盤でトランジションをはじめると、磐田も織り込み済なのでしょう。立場が逆転してコンサバモードに移行します。この切り替えは残留を目標とするチームならではですけど、理念のみならず現実もみつめられるマネジメント力の表れだろうと思います。

今日の東京のオーガナイズは、36分のPKで完成するはず、でした。今日は残念ながらディエゴの日ではなかったですね。PKもクロスバーに当てたシュートも。今日だけでなくここのところずっとディエゴの日ではない試合が続きます。チームのやりかたの問題ではなく、ディエゴ自身のアジャストなのでしょう。ひとつ入ると、ボールコントロールの感覚が戻ると思います。

ディエゴが失敗を取り戻してくれることを期待しつつ、なんとなく嫌な予感を感じたまま、前半はスコアレスのまま終了。

後半になっても流れは変わりません。健太さんはもちろんのこと、名波さんも、東京にイニシアチブが渡ることは前提として考えていたのでしょう。PK献上はあったけど、最終局面でのペナルティエリアの密度は保てていたので、OKとみたと思います。

今日の流れを象徴するのはセットプレーです。しかも東京のセットプレー。前節のスミ1はセットプレーでしたから、なおさら磐田も警戒したのでしょう。磐田はオーソドックスなるも、マンマークをしっかりと保ちます。すべてのセットプレーで、東京のアタッカーがフリーになれるシーンは皆無でした。残り二試合でACLをもぎ取りにいくためには、セットプレーに工夫を集中しても良いかもしれません。今日はあまりにも真っ正直過ぎました。

さて、先に動いたのは名波さんです。松浦に代えて航基を投入します。同時にシフトを3-4-1-2に変更します。航基はトップに入ります。嘉人のチャンスメークに反応するアタッカーを増やして、カウンターに備える意図だと思います。今日の磐田には堅碁がいませんから、長い距離でカウンター勝負ができません。結果的に、この後も磐田のカウンターに脅威を感じませんでしたから、勝負するなら序盤だったでしょう。

健太さんが動きます。洋次郎に代えてリンスを同じくトップに投入します。オリジナルの闘いかたに戻す意図です。これが機能します。チャンスメークのオポチュニティが増えますから、中盤から縦にチャレンジするパスが続々と供給されます。

直後に名波さんが動きます。嘉人に代えて荒木を同じくトップに投入します。嘉人のコンディションを考慮したのだと思います。攻撃の打ち手を繰り出しつつ、名波さんの本心はコンサバティブでした。WBを下げ、CBを絞ります。さらにCMも下げ、中央に五枚の堅陣を築きます。東京が一方的に攻め込み、局面が磐田のペナルティエリアに集中します。

それでもゴールをこじ開けられないことを受け、健太さんが動きます。二枚同時代えです。ディエゴに代えて永井を同じくトップに投入します。

ヨネに代えて輝一をトップに投入します。リンスが右メイヤ、慶悟がCMにそれぞれ回ります。アタッカーをフレッシュにして状況を打開しようという意図です。

同時に名波さんも動きます。櫻内に代えてムサエフをCMに投入します。上原が右WBに回ります。守備強度をマックスにする意図です。

最終盤に東京は、ヒョンスとモリゲを最前線に上げるパワープレーをしかけます。なんとしても勝利をもぎとるスクランブルです。

でもこれも磐田の籠城戦には通じず。このまま試合終了。東京0-0磐田。

たられば上等でいうと、ディエゴか晃太郎か宏介が決めていれば、完璧に満足できる楽しい試合だったといえるでしょう。つまり、試合の作りかたのクオリティは十分だということです。あとは決めるだけ。

残り二試合は、連覇を決めた川崎と、最終戦はアウェイの浦和。いずれも最高級の難敵です。それに対し、今の受け身な入りかたが通用するのか、今シーズンの集大成を確認する意味で、非常に興味深い対戦です。もちろんACLがかかる重要な試合でもありますから、今年はまだまだ高いモチベーションを維持して応援できます。

とりあえず次節、優勝おめでとうをやるのか意に介さないのか。どちらにしても東京らしいと思いますけど、楽しみです。ある意味ゆるくある意味熱く、クラシコを楽しみたいと思います。


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