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ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2019J1リーグ第3節FC東京vsサガン鳥栖@味スタ20190310

2019-03-10 22:16:02 | FC東京

早春の梅がおわりはじめると、早咲きの桜が満開を迎えました。盛春はもうすぐそこまできてます。

東京に春がやってきました。

2019年Jリーグのホーム開幕戦でございます。毎年この日は沸き立つ気持ちを抑えるのが難しいのですけど、今年はとくに、二試合待たされましたから余計ワクワクします。

ホーム開幕戦に迎えますは、スペインブームにあいのりしている鳥栖。You'll Never Walk Alone♪

アクシデントで難儀しましたけど、最終盤に2ゴールを重ね、からくも勝ち点3を積みました。

東京は三試合連続同じ布陣です。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に建英左に慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

鳥栖はミッドウィークのカップ戦のテストを経て、布陣を変えます。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKは拓生。CBは祐治と藤田。SBは右に原左に三丸。CMは秀人と義希。メイヤは右に夢生左に松岡。2トップはトーレスとチョ・ドンゴン。

どうやら今年は、二年前ほどからJ2で試みられていたスペイン化が成果をみせるにつけ、ついにJ1でもスペイン化がブームとなりつつあるようです。神戸がやたら目立ちますけど、鳥栖もその先駆者のひとり。ただし、鳥栖のそれは神戸のように徹底したものではなく、またセレッソのようにチームスタイルへの適合性を検証したわけでもなく、ただスペイン産のピースをあてはめただけのように感じます。すくなくとも現時点では。

鳥栖はまちがいなくトーレスのチームです。本来のトーレスがチームの軸になり得る選手なのかは分かりませんけど、トーレスだけが抜きん出ているので致しかたないかなと思います。ところが鳥栖のスタイルはトーレスを活かしきれてないような気がします。トーレスの本質は、むしろ東京のようなカウンターサッカーにあるのだろうと思います。

Jのスペイン化は、スペインというよりバルサ化といった方が適切かもしれません。スペインのなかでもバルサのメソッドは異質です。バルサ化に徹するのであればよいのですけど、とりあえずスペイン人を集めておけばバルサ的なサッカーができるだろうというのは大間違い。バルサ的なサッカーでのアタッカーはアジリティが不可欠。ビッグマンのトーレスを軸に据えるのであれば、トーレス自身がなにを好むかはさておき、バルサ的な要素をむしろ排除したほうが良いだろうと思います。

カレーラスさんは鳥栖をバルサ化しようとしているわけではないと思いますけど、少なくとも方向性としては、トーレスを活かせるカウンターサッカーではなく、ポゼッションスタイルに向かおうとしていると思います。ところが開幕を迎えて、ポゼッションを実現するためのアタッカーが不足してしまいます。そこでカレーラスさんは、成績が思いのほか伴わないこともあり、守備の安定を図ったと思います。これが中途半端でした。

守備を安定させるために4+4の2ラインを低めに設定します。でも攻撃方法は相変わらずポゼッションスタイルのまま。これではトランジションポイントからゴールへの距離が遠すぎますから、必然的に鳥栖の攻撃は遠目から見え見えの大振りパンチをやみくもに出す程度になります。鳥栖の攻撃におよそ迫力を感じなかったのはこのため。

さらにゾーンを軸とする守備は、チームとして試合のリズムを掴むまでのチューニングの時間を要します。東京はこれを狙います。鳥栖のゾーンの距離感があやふやになっていることを受け、バイタルエリアに入れ替わりたちかわり人を入れ、基点を作ることに成功します。

東京が狙い通りにオープニングブローを決めていれば、この後の展開はこれほど難儀せず、もっと気持ち良い試合になったと思います。その意味では、守備隊形が整わないなか、急造の最終ラインとなった祐治と藤田の局面でのがんばりが、試合の流れを作ったとも言えます。

鳥栖の攻撃は、トーレスと夢生に依存します。重心が低いためSBを攻撃で使えません。松岡はどうやらドリブラーアタッカーなのではないかと思いますけど、ドリブルのスタート地点が低いため有効な攻撃を見せられません。今日の唯一の攻撃ルートが夢生。夢生がポジションを細かく変えて基点となることで、いちおう攻撃をしてるっぽい形はできます。でも夢生にボールが渡る位置がまだミッドサードで、さすがの夢生もどうしようもなかったと思います。なので、とりあえずトーレスに出す選択しかなかったのでしょう。トーレスも夢生からボールが出てくることがわかっているようです。序盤の鳥栖が、夢生のアーリークロスに頼っていたのはこのため。

ところが時間を追うごとに鳥栖の守備隊形が整います。これには鳥栖の工夫も奏功しました。中盤の構成を少しアジャストします。秀人と義希を縦配置し、義希を前目に出します。これにより、分断されていたトーレスと中盤の間にハブができます。中央を流動的に動く義希のポジショニングを目標とすることで、夢生と松岡の動きが有効になります。加えて、中央に基点ができるのでSBが攻撃参加できるようになります。鳥栖の攻撃が活性化します。

当然、鳥栖は中盤にリスクを負います。ただでさえバイタルエリアを使われているのに、秀人の一枚にするのですから。でもそこはさすが秀人。むしろ一人になったほうが、受け持つエリアを整理できたのではないかと思います。やがてこのリスクテイクはリスクの表面化をみることになるのですけど、この時点では秀人の獅子奮迅の守備に支えられて、鳥栖がアタッキングサードに進入できるようになります。

東京はこれを落ち着いて受けます。むしろ歓迎したのではないかと思います。鳥栖が守備重視を徹底してリトリートすると厄介なのですけど、前に出てくれるなら本来の東京のサッカーをやればいいわけですから。東京はリトリートします。鳥栖に変わって4+4のラインを形成します。さらに、トップを縦に配置します。ディエゴを中央において姿を晒す一方、謙佑に裏を狙わせる作戦に切り替えます。ディエゴが秀人を引き受け、さらに謙佑が祐治と藤田を脅威を与え続ければ、そのうち建英と慶悟が躍動するスペースができるという算段だと思います。

実際、謙佑が鳥栖陣深くを脅かす良いアタックを何度か見せていたのですけど、ここで東京の思惑に反するアクシデントが起こります。足を痛めた謙佑が下がります。代わって田川が同じくトップに入ります。謙佑は直前の攻撃のときのコンタクトが原因だと思いますけど、軽度の打撲であることを祈ります。

これで流れが変わります。田川には酷なことでした。今年の東京のカウンターサッカーは一見するとシンプルですから、スピードのある選手なら割とはまり易いのかなと思っていたのですけど、謙佑に失礼な解釈でした。ディエゴとの役割分担やパス供給者との呼吸など、実は複雑なコンビネーションのうえに成り立っているシンプルさなのでしょう。一方田川は、裏を狙わずボールを受けようとします。これでは東京に推進力をもたらしません。田川のキャラクターをまだつかめていないのですけど、田川自身もまだ東京でのプレースタイルを掴みきれていないんじゃないかと思います。

こうして、東京が鳥栖に攻めさせつつイニシアチブを握っているにもかかわらず、有効なカウンターを見せられないという、なんとも自滅的なもどかしい展開に入っていきます。前半はもんもんとしたスコアレスのまま終了。

後半に入り、健太さんがアジャストします。ディエゴと田川の役割を整理します。ディエゴをフル稼動させて、広範囲にポジショニングさせます。これで基点ができるようになり、東京はふたたびバイタルエリアを使えるようになります。試合が少しだけオープンになってきます。

そこでカレーラスさんが動きます。夢生に代えてクエンカを左メイヤに投入します。松岡が右に回ります。クエンカはこれがJリーグデビュー。クエンカにボールを集めて、独力で状況を作ってもらおうという意図だと思います。クエンカのコンディションが上がってスタートから使えるようになれば、左右のバランスがよくなり、鳥栖の攻撃力は上がるでしょう。でもクエンカもまた本来はハイスピードな展開のほうが適しているように見えますから、やっぱり攻撃スタイルそのものの見直しが必要な気がします。

直後に鳥栖にもアクシデントです。秀人が二枚目の警告を受け、退場します。オープンファイト上等のどつきあいを挑もうとした矢先、鳥栖はシスト変更を余儀なくされます。ドンゴンを右メイヤに下げ、4-4-1です。

これを受け、健太さんが動きます。田川に代えてジャエルを同じくトップに投入します。数的優位にたったからというよりかは、ジャエルの実戦テストを兼ね、後半の闘いかたの実現にフィットする布陣にモードチェンジしたのだと思います。東京はジャエルを真ん中に置いて動かしません。ジャエルはまだコンディションが整いきってはいないのでしょう。ベビーメタル系の選手にありがちですけど、エンジンがかかるまでにアイドリング期間が必要だと思います。噂にきくディフェンダーをなぎ倒すパワーをはやくみたいものです。

いったん暫定のシフトで危機を脱したカレーラスさんが動きます。ドンゴンに代えて福田を投入します。同時にシフトを4-3-2に変更します。アンカーは義希。IHは右に松岡左に福田。2トップはトーレスとクエンカです。

東京はこの作戦に戸惑います。中盤の局面だけをみると2on3の数的不利ができてしまいます。さらに、鳥栖が数的不利となったためにかえって攻撃方法をカウンターに整理できたことも奏功して、この試合はじめて鳥栖にイニシアチブが渡ります。

でも、チーム全体の数的不利を完全に払拭することはできませんでした。カウンターを仕掛ける続けるにはクエンカのコンディションが上がっておらず、トーレスもまた東京守備陣にフラストレーションを溜めていたようです。鳥栖のカウンターに、無心な爽快さが感じられません。

一方東京は、ディエゴを左サイドに出して基点とすることで重心を上げ、攻撃ルートを確保します。これで中盤での数的不利を解消します。さらに慶悟に中央よりで仕事させ、サイドへのパス供給ルートを増やします。この作戦で、鳥栖の一縷の望みを断ちます。

それでも鳥栖は、最後の希望として勝ち点1狙いに切り替えます。サイドを明け渡してでも中央に人数を配置することで、最終局面の防御を強化します。そこで健太さんが動きます。洋次郎に代えて晃太郎を左メイヤに投入します。慶悟がCMに回ります。晃太郎と慶悟にバランスをとらせることでリスクマネジメントをしつつ、ディエゴと建英のフリーなポジショニングでチャンスメークの機会を増やそうという意図でしょう。

ほぼワンサイドマッチとなりつつもなかなか鳥栖の堅城をこじあけられなくて、このままドローで終わっちゃうのかなという気持ちになってきた最終盤、ついに鳥栖城を攻略します。

88分。慶悟の右CKの崩れから。なお攻め込む東京は左に展開。諒也のクロスアタックも拓生に防がれますけど、さらに東京は攻撃権を持ち、今度は右から攻めます。モリゲと建英でワンプッシュしてから、右ライン際でボールを持った慶悟はルックアップ。ディエゴとジャエルがゴール前に揃っているのをみて、アーリーを上げます。これは鳥栖のディフェンダーに当たってファア側に流れます。そこにつめていたのは諒也だけでした。諒也の左足シュートは三丸がカットしようとしますけど、威力が勝りゴールに収まります。東京1-0鳥栖。

オウンゴールでも勝ちは勝ちだからまいっかと思っていたら、最後の最後でクルエルのオンステージが待っていました。

アディショナルタイム+3分。彰洋のGKから。中盤の鍔迫り合いは鳥栖がやや優勢に押し込んだすえ、モリゲに渡ります。モリゲはリスクをきらって前線にクリア。これがジャエルに収まります。ジャエルはダイレクトでディエゴにはたきます。ディエゴは交錯しながら後方の晃太郎に落とします。この時左前方にフリーで建英がいるのをみていた晃太郎は、ダイレクトスルー。カウンターが発動します。2on2。建英はペナルティエリアに入って少しスローダウン。まっすぐ戻る藤田と三丸に対し、スウィープしながはフェイドアウェイするジャエルを見て、高速のセクシーグラウンダークロスを拓生とDFの間に通します。ピンポイントで受けたジャエルは冷静に流し込むだけ。東京2-0鳥栖。

カレーラスさんが最後のあがきです。原に代えて陽平をトップに投入します。おそらくシフトを3-3-1-2に変更したのだと思いますけど、確認するまでもなく。

鳥栖の最後のあがきも空転でおわり。このまま試合終了。東京2-0鳥栖。

やっぱりカウンターでは何枚も東京が上手。建英とジャエルのホットラインはこれからも楽しみです。先週ゴールにつながった拳人の電光石火の攻撃参加は今日も出ました。諒也もアグレッシブにゴール前につめる攻撃力を身につけてくれてます。もっと速くもっと強くもっと激しく。新しいオープニングCGで標榜する通りのカウンターに磨き上げ、幸せなシーズンを見せてくれそうな予感がしました。眠らない街♪

とはいえ、繰り返しになるけど、あらためてレギュラーとバックアップメンバーの質のギャップを浮き彫りにした試合でもあります。ポテンシャルがあっても試合に出続けないとギャップは埋まりません。今日はうまくいかなかったけど、田川だけでなくバックアップメンバー全員にいろんな機会でチャンスを与えてほしいなと思います。ジャエルの初シュワッチと諒也のシュワッチ

連勝で、シーズンを順調にスタートすることができました。次は絶好調の名古屋。現時点でのホントの状態をチェックする相手に最適なタイミングでぶつかることができます。まるとヨネとの再会も楽しみ。


2019J1リーグ第2節湘南ベルマーレvsFC東京@BMW20190302

2019-03-03 01:12:24 | FC東京

弥生です。

日がおちてもそれほど寒くなくなりましたね。それでも日によって気温の上下が激しいようですから、体調には気をつけましょう。

はじめての平塚。なんともご縁がなく、近年はJ1の常連で対戦はわりと多いのに。You'll Never Walk Alone♪

キャプテンとエースとホープが決めて逆転です。今シーズン初勝利!

東京は開幕戦とおなじオーダーです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に建英左に慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

湘南も前節を踏襲します。シフトは3-4-2-1。GKは秋元。3CBは右から山根、坂、大野。WBは右に岡本左に杉岡。CMは松田と齊藤。2シャドウは右に武富左に菊地。1トップは山崎です。

試合は予想通り湘南がイニシアチブを握りにきます。3トップのプレスを起点としたぶ厚いフォアチェックで東京のビルドアップを封じ、重心を上げる湘南の常套手段です。

ハイプレスで最初の攻撃権を握ることができた湘南は、独特の湘南スタイルで東京ゴールに迫ります。湘南は高速アタックが売りのチームですけど、けしてカウンターを基調としていません。まず守攻の切り替えが非常にはやいことが、ハイプレスを有効にするベースロードとなっています。高い位置でトランジションすると、両WBが一気に最前線に上がります。これに引っ張られるように山根がWBの位置にスライドして攻撃に関与することでサイドの数的優位を得ようというのが組み立ての基本的な考えかたでしょう。

山根は、岡本のポジションに応じて、その逆を取ることを思考していると思います。岡本と武富が動くことで開けたスペースにタイミングよく山根が入りこむことで守備網にカオスを生みます。

一方左サイドは、大野を安定剤として、杉岡に菊地が絡むことで直線的な加速力を生み出します。左右テイストが異なる攻撃アプローチに、松田と齊藤が積極的に絡むことが湘南スタイルの基本的な動きです。

ムービングによるカオスメイクに加えて、ひとたび選んだフィニッシュルートの実行に対して、関与するすべての選手に躊躇がないのが、湘南をJ1に定着させる最大の要因ではないかと思います。湘南と同様のスタイルを採用するチームは、とくにJ2の場で非常に多く存在します。サッカーは相対的なスポーツですけど、彼我の差異を生む最大の要素は、いつの時代もプレイヤーです。湘南は、いわば再生機構。差異の源泉となる特異な選手をあえて編成に加えず、ディシプリンの徹底をチームのレゾンデートルとする方針を採用しました。いうほど簡単なことではないハーモニーを、毎年のように編成が変わっていながら継続できるのは、長年にわたって曹スタイルを貫いてきたがゆえであり、かつ再生を望む選手のエネルギーを利用しているからでしょう。

湘南のアタッカーはシュートに対しなんら迷いがありません。これが湘南の試合に小気味良さを感じる理由でしょう。加えて、シュートに迷いをなくすために、チャンスメーカーが高い技術でサポートします。湘南のアタックは基本的にサイドアタック基調ですけど、誰が担う場合も可能性を感じるクロスをピンポイントで送ることができます。サイドアタッカーがセットプレーのキッカーを担当していることでも裏付けられると思います。

ただ、結論をいうと、いまの湘南には攻撃にバリエーションがありません。相手に脅威を与えるスペースメイクができるのが武富と菊地しかいないので、バイタルエリアから先のルートが確保できません。さらにいかにサイドアタックの精度が高くても、肝心の中央の得点能力がなければ意味がありません。

というわけで東京は、試合の入りで湘南の風のような高速アタックを受けることを選択しますけど、時間を追うごとに対応が安定してきます。今日も4+4のラインの保持とプレスアタックのバランスが良く、湘南にペナルティエリアへの侵入を許しません。序盤はシュートを浴びた印象があるもあまり危険性を感じなかったのは、シュートがペナルティエリア外ばかりたったからです。

湘南の先制攻撃を封じることに成功した東京は、さらに湘南に脅威を与える、じわじわとイニシアチブを握る作戦を遂行します。まずディエゴと謙佑をスペースに走らせるシンプルなロングカウンターを送ります。ディエゴと謙佑が多少強引にでもコンタクトを頑張ることで、湘南最終ラインに警戒心を植え付けます。

これより湘南のアグレッシブな攻撃は止まります。湘南のプレスがおさまって試合が落ち着きはじめると、ここをせんどとばかりに東京が本来のカウンターを繰り出します。バイタルエリアでスペースを得た両メイヤに縦パスを入れることで、2トップが最終ラインと駆け引きができる時間を生み出します。さらに成と諒也を押し上げ、サイドの推進力を加速します。これにより、手数をかけずにペナルティエリアまで迫る、東京らしい高速カウンターが成立するようになります。

前半は、とくに慶悟を基点に諒也を使った攻撃が有効でした。けしてアンバランスにする意図はなく、湘南のサイドがアシンメトリーで、諒也のサイドが裏を狙い易いためでしょう。それにしても、今日の諒也は積極的でした。前節は川崎の攻撃を封じることを優先するべく、ちょっとコンサバティブなプレーを選択したのだと思いますけど、今日はついに左SBのレギュラーを掴み取った根拠を存分みせてくれました。2得点の起点にもなりましたし、文句なくMVP級の働きです。

これにより、すっかり東京がオーガナイズし、あとは先制ゴールを待つばかりなりと思っていた矢先、セットプレーからアクシデントが起こります。

17分。アタッキングサード左サイド深い位置での松田のFK。東京はハイブリッドの単横陣。湘南は前に四枚後ろに三枚の二段構え。松田の狙いはニアに入る山崎です。でもこれがニアの山を越え、イーブンになります。いちはやく落下点についた大野が頭で押し込もうとしたボールが、ゴールに入ろうとするのを、洋次郎がクリアしようとしますけど、運悪くオウンゴールとなります。湘南1-0東京。

まだ時間もはやいですし、ここまでの試合運びも完璧だったので、東京にペースの乱れはありません。一方湘南は、ハイプレスの圧力を弱め、リズムを安定させることを選択します。このおかげで、失点前の東京のリズムがそのまま維持されます。湘南はあえてワンプッシュすべきだったと思います。そして今シーズンチーム初となる同点弾は、新キャプテンが掴みとります。

27分。彰洋のスローインから。中盤の出し入れでリズムを作った東京は左に持ち出します。拳人からフリーでパスを受けた諒也は、ターンしてルックアップ。前線でディエゴが動き出しているのをみるや、一気にロングフィードを抜け出すディエゴにつけます。坂と競るディエゴは、ペナルティエリアで先に追いつきすぐに折り返します。でもこれは坂に当たってイーブンボールとなります。ゴール正面の位置に転がるボールの前に入ったのは、ディエゴに追随して上がってきた慶悟でした。新キャプテンはなんかもってます。右足で流しこみました。湘南1-1東京。

スコアの上ではスタートに戻りましたけど、試合展開面では東京のイニシアチブを完全に裏付けることになりましたから、これでオーガナイズは東京に渡ります。中盤のプレスが効きはじめ、湘南の高速アタックの起点を封じます。これはさらに付加的な効果を生みます。湘南の中盤がリスクマネジメントのためのバランス確保に腐心するあまり、かえってバイタルエリアにスペースができます。これにより東京の基点はますます安定をみせるようになります。

昨年の反省は、シーズン後半にディエゴと謙佑のフィジカルの優位性を維持できなかったことです。新シーズンで最も顕著なのは、ディエゴと謙佑が互いにコンディションを万全に、シーズンインに臨んでくれたことです。まだ二戦ですけど、対峙するディフェンダーに対し、パワーとスピードで先手を得ています。前節の奈良のプレーには忸怩たる想いが残るけれども、もしかするとディエゴと謙佑の圧力を感じ続けた末の、意思のリミッターを思わず越えてしまったプレーだったのかもしれません。

もっとも、2トップのフィジカルを安穏とたのしんでばかりもいられません。フィジカルはかならず落ちますし、怪我のリスクもあります。シーズントータルでの成功を念頭に今シーズンに臨む以上、バックアップの重要性を最初から計画してほしいと思います。

前半の最後に、東京の優位性を物理的に決定するゴールが生まれます。

40分。秋元のGKから。中盤の空中戦が続き、落ち着かせたのはヒョンス。拾ったボールを諒也に渡します。諒也はルックアップ。今度は自陣深くから、超ロングフィードを裏に抜け出す謙佑につけます。謙佑は秋元のセーブをかいくぐって、ペナルティエリア内でキープ。上がってきたディエゴに渡します。ディエゴの右足シュートは秋元に防がれますけど、弾いたボールにいち早く詰めたのは、長駆スプリントしてきた拳人でした。湘南1-2東京。

前半は、逆転ながらも理想的な展開で、アヘッドで終了。

後半頭から曹さんが動きます。坂に代えて古林を右WBに投入します。大野がリベロ、岡本が右CB、山根が左CBに回ります。おそらくアクシデントなのでしょう。

東京は後半の入りもぬかりがありません。下手に受けることなく、水入りがあっても前半と変わらないペースを即座に維持します。そして、結果的に決勝点となるゴールが生まれます。

51分。岡本のハンドリングによるPKをディエゴが決めました。湘南1-3東京。

昨年の後半戦のディエゴのPK成功率が頭によぎって心配しました。杞憂でよかったです。試合の支配力を決定付けるゴールでしたので、このまま試合を決めてしまう流れに持ち込むのかなと思いきや、逆にこのゴールが試合を動かしはじめます。

東京はリズムを変えることなく、依然として攻撃の手を緩めません。迎える湘南のほうが息を吹き返します。ようやく思い出したかのように、ハイプレスをはじめます。これにより、中盤での攻防が激化します。中盤を制したほうが攻撃権を持ちカウンターを仕掛けあう、オープンファイトの展開に入っていきます。

これはまずいなと思っていました。カウンターの応酬になるとカオスとなり、何が起こっても不思議ではありませんから。そして不安を現実にするかのような追い上げゴールが生まれます。

55分。中盤の出入りの激しい攻防から、洋次郎のディエゴへのチャレンジを齊藤がカット。湘南は一気に加速。カウンターに入り、右サイドに展開します。それでも東京の帰陣がはやく、攻略の糸口が見つからない湘南は、松田、古林、齊藤の間でボールを回し、チャンスを伺います。そのうち湘南は、前線でクロスを準備を整えます。もうほかに策がない松田は、ままよどうにかなりまっしゃろクロスをゴール前に上げます。これが絶妙なコースに飛び、ディフェンダーと彰洋の間に入ります。そこにタイミングよく武富が飛び込みました。湘南2-3東京。

このゴールでも東京はリズムを変えません。追い上げを嫌うかのように攻めに出ようとします。でも分は湘南が上回ります。中盤の制圧力が増し、CMが前を向いて仕事ができるようになります。松田と齊藤のコントロールのなか、湘南の攻撃が左右にリズミカルに散らばるようになります。

そこで曹さんが動きます。菊地に代えて指宿をトップに投入します。山崎が左シャドウに回ります。高さを加えることでペナルティエリアの制空権を得ようという意図でしょう。

コントロールが定まらないピッチ上に対し、この後のゲームをコントロールしたのは健太さんのメッセージでした。健太さんが動きます。二枚同時代えです。建英に代えて晃太郎を同じく右メイヤに投入します。

謙佑に代えてサンホを同じくトップに投入します。かたちの上では前線のコンディションのリフレッシュですけど、実際は守って逃げ切るというメッセージをこめていたと思います。ここから東京は4+4のラインのバランスを整えて、序盤のように湘南を受けて立つ態勢を整えます。この判断が奏功します。オープンファイトの展開がおさまり、湘南に攻撃権をゆずりつつもマークとスペースのケアに余念がない、安定感を取り戻します。

このあたりが今後の課題ですね。試合を安定的にコントロールして、90分間トータルで結果を得られるような試合運びを選手たちでできるようになると、昨年のように成績が上下動することなく、上位争いができると思います。

これをうけ、曹さんが動きます。山崎に代えて野田を同じく左シャドウに投入します。前線にスピードを加えて、推進力を作ろうという意図だと思います。

以降は、ほぼ一方的に湘南に押し込まれるワンサイドマッチになります。でも見た目ほど危なくはなく、マークとスペースをうまくリスクマネジメントしていました。おそらく湘南はなかなか手ごたえを感じられなかったでしょう。

湘南にとっていたずらに時間が流れるなか、このまま試合終了。湘南2-3東京。

長谷川健太体制二年目は、初年度よりはやく二戦目で初勝利です。しかも印象的で、強さすら感じさせる良い試合内容でした。そういえば、すっかりご無沙汰していた四ヶ月ぶりの眠らない街♪

先制されてもまったく動じることがなく、自信すら漂うチームのムードです。なかでも攻撃がとてもリズミカルです。パスの意思交換がうまくいっているのでしょう。試合を通じて、攻撃の選手がフラストレーションをみせることはほとんどありませんでした。だから観ていても安心ですし、心の底から楽しめます。間違いなく、今年の東京は楽しいです。WE ARE TOKYO♪。慶悟のシュワッチ拳人のシュワッチディエゴのシュワッチ

前節がスコアレスで我慢した分、お釣りがくるくらいいっぱいゴールが見られて楽しかったです。東海道線は長かったけど、はじめての平塚が楽しい試合で良かったです。さあ次は、いよいよホーム開幕戦です。今年は改装工事が続くので観戦も苦労があるかもだけど、そんなことを吹き飛ばすような楽しい試合が続くといいなと思います。


2019J1リーグ第1節川崎フロンターレvsFC東京@等々力20190223

2019-02-23 22:16:55 | FC東京

開幕ましておめでとうございます。今シーズンもぽちごやをよろしくお願いします。

今シーズンも丹羽ちゃん推しです。

例年よりも動きが多かった今年のJリーグのウインターブレイクでした。東京はちょっと遅めで年明けから活発化して、ここにきて前線が俄然豪華になりそうです。

開幕戦はクラシコです。人気に実力がともなったチャンピオンチームは、年々チケット獲得が難しくなってめんどくさいです。俺の東京♪You'll Never Walk Alone♪

開幕戦は激闘のなか、あっという間の90分で満足のドロー。

2019年シーズンのスターティングオーダーです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは室屋と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは右に建英左に新キャプテン慶悟。2トップはディエゴと謙佑です。

王者川崎は毎年少しずつ布陣を変えてリフレッシュをはかっています。今年は懸案のトップにビッグネームを獲得です。シフトは4-2-3-1。GKはソンリョン。CBは彰悟と奈良。エウソンが抜けたSBは右にマギーニョ左に車屋。CMは守田と僚太。WGは右に悠左にアキ。トップ下は憲剛。1トップはレアンドロ・ダミアンです。

まずは2019年健太東京の印象から。基本的な闘いかたの方向性は変えていないようです。前線にパワー系とスピード系をバランスよく揃え、かつ中盤でのトランジションの支配力を高める補強の方針がそれをわかりやすく証明しています。今日は期待の新加入選手をスタートから使わなかったこともあって、いっそう昨年と同じようにみえたかもしれません。

というわけで今年の健太東京を確認するというよりかは、昨年の振り返りをした印象が強いです。ただ、今日は相手がよかったかもしれません。カウンターを作戦の軸とする東京ですけど、相手によってはボールを持たざるをえない場合がありますから。今日は、フォアチェックを基軸とした、東京本来の守備主導のカウンターサッカーがとてもよく機能しました。

圧巻は試合のリズムを90分間変えなかったことです。これが強弱をつけようとする川崎のリズムとシンクロして、川崎のゲームコントロールを狂わせる要因になりました。

今日の試合のキャスティングボードを握ったのは春を呼ぶ強風です。強い南風は、前半は東京、後半は川崎にネガティヴに影響します。この風に対するそれぞれのとらえかたの違いが試合の妙味を生みます。両チームの基本的な闘いかたを考えると、向かい風の不利は東京により強く現れます。なので東京は、前半はある程度耐えることを不可避と考えていたと思います。

一方川崎は、前半のうちに主導権を握りたかったと思います。ですから、試合開始早々から圧を高めます。ダミアンを起点とするフォアチェックから、東京に攻撃権を渡すことを避け、攻め続ける選択をします。

さてマイナーチェンジとはいえ近年にないクリティカルな補強をした川崎について。川崎に違いをもたらす最も影響力を持つポジションはSBです。なかでも右サイドは、エウソンによってSBの守備的なイメージを完全に払拭してきました。エウソンのクオリティが外見には落ちていないにも関わらずチェンジすることは、最大のリスクを伴うと思います。

現時点の状態は、とてもじゃないけど昨年のクオリティを維持することすらできていません。マギーニョはまだまだ順目のプレーしか披露できないようです。致しかたないと思います。なにしろ比較相手がエウソンですからね。今日にかぎっては、作戦の都合もあるのですけど、馬渡のほうが脅威に感じました。

一方のダミアンは、さすがに存在感があります。ブラジル人アタッカーには難しい日本のハイスピードガテン系サッカーに、ダミアンははやくも順応しているようです。シンプルにトップをターゲットするサッカーは川崎にはないテイストですから、味スタでの再会で川崎がどんな風に進化しているか、楽しみです。

川崎の連覇の要因は、変化を厭わないことだと思います。2018年はショートカウンターを取り入れることで攻撃パターンの幅を広げました。前半風上をとった川崎は、カウンターを選択してくるのだと思っていたのですけど、まずはオリジナルのポゼッションで臨みます。条件と対戦相手を無視した選択ですから、おごり以外のなにものでもありません。

川崎の可変ポジションに対し東京は、落ち着いてゾーンで対応します。抑え処は川崎の仕掛けのタイミング。川崎は、たとえ狭くても可能性のあるスペースをアタッカー全員が狙ってきます。ですから集中力を一瞬でも切ると、それがセキュリティホールになります。東京は、スペースに送る仕掛け人にボールが渡る時点でプレスをかけます。これでチャンスそのものを消します。ただしこれはゾーンを乱すリスクテイクなのですけど、今日はゾーンのバランス、つまりスペースのフォローが完璧でした。

攻めきれないとみた川崎は、いったん試合を落ち着かせて経過をみる選択をします。これに東京アタッカーがつけいります。バイタルエリアやや内側に絞った位置にたつ左右のメイヤに長めのパスをつけ、一気に加速します。とくに開幕スターターを名を連ねた建英は、ドリブルにスペースへのパスにと、縦横無尽の存在感を発揮します。建英も昨年は日本のガテン系サッカーに苦労していたのだとすると、仕掛け続けるチャレンジマインドとそれを成功させる力量をみせられるほど、クオリティが上がっているのだと思います。今年の建英は、東京の主武器足り得るでしょう。

いかんせん、風下ながらも試合の主導権を導くことに成功した東京が得点できなかったのは、やっぱり風のいたずらか。タイミングのよいロングカウンターをディエゴに発動しても、肝心のディエゴに合わないアタックが何度かありました。この昨年からの課題は今年もまだ続いているようです。なんとなくディエゴの発動が遅いようにみえますけど、駆け引きをしているなかでのことですから、そうではないのかもしれません。今日に関してはもっと無条件にスペースを狙ってよかったと思います。

川崎の拙攻と風のいたずらで、前半はイニシアチブを握りながらもスコアレスのまま終了。

後半から、東京も川崎も作戦を変えます。まず東京は、当然のことながら風上の利点を最大に活かします。SBの位置をぐんと上げて、いきなり総攻撃モードで入ります。川崎がアドバンテージを活かせず失敗したのを受け、早々に物理的な主導権を確保しようという意図でしょう。

これは成功しますけど、それに勝る川崎の選択が意外でした。風下にもかかわらずカウンターを選択します。いまさら感がありながらも、この作戦が後半のオープンな試合展開を生み出します。東京が攻めては川崎も対抗する、シーソーゲームの様相を呈します。

意図通りにオープンファイトを作り出せた鬼木さんが動きます。マギーニョに代えて馬渡を同じく右SBに投入します。ポゼッションの基点としての役割が求められる川崎のSBには、直線基調の広島のウインガーは合わないと思ったのですけど、2019川崎の変化の方向性は、まさに広島のようなサイドアタックのテイストを組み込むことなのでしょう。カウンター基調の作戦のなかで、直線的で迷いのないドリブルやフリーランをみせる馬渡がジャストフィットします。このため、どつきあいのイニシアチブは川崎に渡ります。

健太さんはどうするかなと思っていたのですけど、チョイスしたのはどつきあいを続けることでした。謙佑に代えて田川を同じくトップに投入します。カウンターの要素を維持するコンディションアップの作戦です。ひとつにはシーズンインの試合で受けの姿勢を取ることを嫌ったのでしょう。もうひとつはもちろん新戦力のテスト。田川も、さらに最終盤に出るサンホも、ごりごり系のスピードアタッカーの片鱗をみせてくれました。カウンターを仕掛ける体勢の川崎守備陣に脅威を与える仕掛けを再三みせてくれます。

阻んだのは奈良を軸とした川崎伝統のダーティーディフェンスです。これは川崎の余裕を完全に剥ぎとった証拠です。

ただ、今日輝きをみせた建英もディエゴも田川もサンホも、スコアを残さないと評価は確定しません。今年のエース争いははじまったばかり。ジャエルも含めてハイレベルな競争をしてほしいと思います。

来月にはACLもはじまる川崎が先にターンオーバーです。鬼木さんが動きます。ダミアンに代えてまなを左WGに投入します。アキが右、悠がトップにそれぞれ回ります。ダミアンは東京にシュートチャンスを封じられましたけど、得意だと想像する空中戦は風は阻んだので割引いてみなければならないでしょう。パワーはやっぱり圧倒的ですし、なにより献身的に守備に走る姿に本物を感じました。

左右ともドリブラーが揃った川崎のごりごり迫る攻撃は、これもこれまでの川崎にはなかったものです。今年は桁違いの攻撃力を手にいれそうです。ちょっとだけ、はやめに当たっておいてよかったなと思いました。

健太さんも動きます。建英に代えて晃太郎を同じく右メイヤに投入します。あくまでも闘いかたを変えず、コンディションアップと競争を起こすことを狙った作戦でしょう。トップ同様、とくに右メイヤは競争がもっとも激しいポジションになりそうです。だれが結果を残して出てくるのか、楽しみです。

鬼木さんが最後のカードを切ります。憲剛に代えて知念を投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。鬼木さんにしてみれば、強風という不可抗力のなかでも、コンディションの浪費を抑えつつ試合をコントロールする難しい運用をしっかり実行できたのですから、負けさえしなければ及第点だったでしょう。最終盤を迎えて、ちょっとだけ勝ち点3への意欲をみせて、フィニッシャーを増やしてみようという作戦だと思います。

健太さんも最後のカードです。ディエゴに代えてサンホを同じくトップに投入します。今日の交代はすべて同じ意図。

互いにオープンファイトを望んだ結果は、局面の攻防でヒートアップする、開幕戦にして肉弾戦のエンターテイメントでした。どちらも最終局面での守備力が優ったため、アタッカーは消化不良だったかもしれませんね。このまま試合終了。川崎0-0東京。初ゴールは次節へおあずけ。

心身ともに素晴らしいコンディションでシーズンインしてくれました。既存戦力はよいリフレッシュができて、モチベーションが十分なことが伺えます。新戦力も、アルトゥールが入らなかったことが心配だけど、最低限のフィットをしてくれているようです。優勝をリアルな目標に、長いシーズンを闘う準備は万全だと思います。

同じスコアレスでも、ゴールが入っていればさらに満足なのですけど、それは次節におあずけ。今年はどんなパターンでだれがスコアを重ねるのか、昨年より充実した編成のなか、ポジティブでハイレベルな競争をみせてほしいと思います。

まだ冬の気配が残る二月の寒いデーゲームも、はじまってみるとそこはかとなく春を感じました。来週から弥生。今年は桜の開花がはやいそうですから、毎週Jリーグを追っているうちにきっとあっという間に春でしょう。次節は自分にとって未踏の平塚です。


2018J1リーグ第34節浦和レッズvsFC東京@埼スタ20181201

2018-12-02 18:07:56 | FC東京

今年も師走を迎えました。

今年の冬入りは暖冬で、12月というのに20度近いあったか陽気です。

今年の最終戦はアウェイ。二戦続けて最終戦が豪華です。本日は浦和。You'll Never Walk Alone♪

浦和も大きなわかれのときを迎えます。浦和ひと筋のウインガー平川選手が引退です。平川選手長い間お疲れ様でした。

ノーエクスキューズな試合で1カ月ぶりの複数ゴールでしたけど、最後を勝利でしめくくることはできませんでした。

東京はヨネが怪我のため回避。シフトはひさしぶりにダイヤモンド型の4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と宏介。アンカーは拳人。メイヤは右に晃太郎左に慶悟。トップ下は洋次郎。2トップはディエゴと永井です。

浦和はターンオーバーです。シフトは3-3-2-2。GKは周作。3CBは右から岩波、勇樹、槙野。アンカーはカピ。WBは右に橋岡左に萩原。シャドウは右に柴戸左に陽介。2トップはアンドリュー・ナバウトと忠成です。

両チームの今年を総括できる試合になるかなと思っていたのですけど、それぞれの事情は異なるにしろ、来年を見据えたテストマッチのような闘いかたを選択します。

東京は、ACL圏外になってしまったゆえというか、前節からちょっと納会的な風情があります。守備を最優先したカウンタースタイルをちょっと脇に置いて、主導権を取りにいくスタイルを試します。浦和も同じくACL圏外ですけど、ミッドウィークに天皇杯を控えているので、ターンオーバーを選択します。

なので、オリヴェイラ浦和のモデルを確認できたわけではありません。そういう前置きをしたくなるほど、今日の浦和はかつての浦和らしさをみせませんでした。ポリシーは180度異なるにしても、システムはミシャ時代に回帰しています。編成を考えると自然な落ち着きところなのでしょう。言い換えるとオリヴェイラさんは、システムオリジンな監督ではなく、選手の特質を踏まえたサッカーをすることを表していると思います。いうまでもなく、その意味で浦和は1年あまりのインターミッションを経て、新しい時代に入ろうとしているのかもしれません。

試合を通じた浦和の基本プランは、守備を優先したカウンタースタイルです。そういうチームの常套として、浦和もまずは試合のイニシアチブを握ろうとします。浦和がつちかってきた独自性のコアはCMの役割にあります。オリヴェイラさんはオーソドックスな味付けで、ソフトランディングを目指しているようです。布陣をアンカーシステムにすることで、最終ラインを安定させます。CMの役割も変化しています。攻撃のコンダクターというよりかは、攻守両面のバランサーのカラーが強くなりました。

サイドの使いかたも変化です。基点ではなく仕掛けの役割になりました。WBはもっとも浦和を象徴するポジションです。運動量豊富でアグレッシブなドリブラーを偏愛したことにより、資産として形成されたためです。オリヴェイラさんが志向するサッカーの本質は、その柔軟性ゆえ鹿島時代を含めわからないのですけど、今ミシャサッカーのアジャストで対応している理由の最大は、サイドプレイヤーにあるでしょう。アジャストという意味は、ミシャよりも高純度に浦和らしいWBを活かそうとしていることです。アタッキングサードに入ったWBは、クロスを選択しません。かならずといって良いほどカットインを仕掛けます。守備網のバランスを崩す意図です。

もうひとつ浦和テイストの高純度化をみせているのはトップ下です。2シャドウシステムを採用していますけど、ミシャ時代のようなシンメトリーではなく、陽介と柴戸は役割がまったく異なります。陽介は、攻撃時は中央にスライドして、さながらトップ下のような役割に変形します。サイドが高く位置取ることで、守備網全体がリトリートます。さらに2トップ+柴戸で、CBとCMも下がります。これにより空いたバイタルエリアを陽介が使います。なので浦和の攻撃の選択肢は、伝統のサイドアタックに中央も加わりました。

中央の狙いかたはスルーです。アタッカーが最大五人並ぶ浦和独特の攻撃態勢により、五本の矢のいずれかを陽介が選択します。これもミシャ時代にはなかったオーソドックスなトップ下のプレーです。総じてみると、オリヴェイラさんのアジャストは、ミシャのロマンチックな部分を消したというよりかは、素直にスタンダードを採用した結果といったほうがいいかもしれません。

攻撃面は最後にもうひとつ。組み立てもシンプルになってます。岩波と槙野から長めのサイドチェンジがサイドに直接送られます。これもまた、WBの特質を最大限シンプルに活かす手段なのだと思います。

守備は、本来はフォアチェックを基調としているようですけど、今日はまったく機能せず、守備網をかためる時間が長かったです。守備網を作ることを優先するあまり、バイタルエリアを空けてしまう傾向にあります。これが相手に攻撃権を渡してしまう原因のひとつになっていて、今日はデフレスパイラルに入っていきました。オリヴェイラさんがシンプルな味付けをする理由は守備の安定感を身につけるためだと思います。現状では、ボールを持たれたときのゾーンのケアの仕方に課題がありそうな気がします。

とはいえ、守備面の不安を補ってあまりあるほど、試合巧者ぶりは高まってます。攻撃のバリエーションが増えていることが理由でしょう。目下のところは、攻撃によってチームを引っ張っているイメージです。東京はそのひとつ、セットプレーで先制を許します。

9分。陽介の左CK。浦和はオーソドックスに中央に集合します。岩波、忠成、橋岡、勇樹、槙野。東京はハイブリッド。ストーンはニアにディエゴと永井。中央に洋次郎。マーカーはヒョンス、拳人、慶悟、宏介、モリゲ。陽介のキックモーションと同時に岩波がニア、槙野がファアに入ります。これでマーカーを分散させ、中央にホールを作ります。そこに忠成が入り、拳人と1on1。陽介はニアの壁を越えるロブを上げ、中央に落とします。拳人はボールウォッチャーになっていて、忠成のジャンプに反応できませんでした。浦和1-0東京。

今日の試合のキーマンは拳人です。前節に引き続き、ミスで失点に直接的に絡みます。浦和の攻撃が良かったですし、ミスを見逃さないのも試合感という技術のひとつですけど、たられば上等でいうと、拳人のミスがなかったならば、試合は見た目の印象通りの結果になったと思います。

さて東京。今日は2018健太東京にはないスタイルで臨みました。攻撃権を取りにいくスタイル。川崎戦でも狙っていたと思いますので、二戦続けてといっていいと思います。ひとつには、すべての目標がなくなったフリーな状況ですので、選手への一年のねぎらいを込めて、楽しくサッカーをやっていいよという意図だと思います。この編成でプレーするのはおそらく今日が最後ですから、慰労の意味もあり、かつショーケースの場を提供する配慮でもあったでしょう。楽しかったかどうかはともかく、選手たちは鎖をとかれたようにのびのびプレーしていました。

もうひとつは、シーズン途中で威力を失ったファストブレイク一辺倒ではなく、ファストブレイクを活かすための新しい攻撃スタイルを試す意図もあったと思います。その意味で、来シーズンへの試金石かもしれません。もっとも顕著なのは、ペナルティエリアの仕掛けです。これまでは、どちらかというとコンビネーションを重視していましたけど、今日は、ワンプッシュすることで局面を変える自発的なプレーが加わってました。

再確認は、ポストと中盤の支配力の重要性です。浦和をしてリトリートせざるを得ない選択になったことで攻撃権を持ち続けられたのは、ポストと中盤の支配力の安定性の成果です。ポストは、中盤を省略して直接ディエゴと永井につける作戦が奏功しました。

拳人はアンカーのほうが合っているのかもしれません。今日はネガティブなほうでキーマンになってしまったけど、浦和が攻撃権を取り戻すべく作ろうとした基点、あるいはカウンターを次々とスウィープしていました。シーズン前半のクオリティにはまだ足りないけど、復調の予感を感じさせるパフォーマンスだったと思います。これも来年への試金石。

前半はビハインドながらも、東京がオーガナイズして終了。

攻撃権を持ち続け、チャンスを作っても決めきれなかったジリジリした前半の締めくくりは、後半開始早々に訪れます。

46分。浦和のキックオフを受けたモリゲがフィード。浦和の最終ラインにあたって戻ったボールを浦和陣で慶悟が拾います。慶悟はダイレクトにディエゴにつけます。カウンターの発動です。ディエゴは成に落とします。成は、パス&ゴーで一度上がり、そのまま右に流れてきた慶悟につけます。槙野を背負った慶悟は右足でコントロールしながらターン。一瞬槙野を振り切り、さらにフォローにきた陽介も抜いて前を向きます。ルックアップした慶悟の視野に入ったのは、中央でスウェーバックしてフリーのディエゴ。慶悟が丁寧に渡したパスを、ディエゴが右足ダイレクトで合わせました。浦和1-1東京。

試合を通じてのキーマンは拳人ですけど、ポジティブに目立ったのは慶悟です。攻守に非常にアグレッシブでした。メイヤがアグレッシブだと勢いが生まれますし、なにかが起こるんじゃないかという期待感もわきます。慶悟だけでなく、晃太郎もシーズン前半で見せたアグレッシブなチャレンジを取り戻してほしいと思います。

今日の東京の攻勢を支えたのは、タイトコンタクトです。厳しいディフェンスは、浦和の攻め気を知らずしらずのうちに削いでいきます。ファストブレイクにしろ新しい攻撃方法にしろ、その前提にあるのはハードコンタクト。東京テイストの象徴である守備のクオリティは、来年に向けてさらに高めていってほしいと思います。

課題は、パスの精度です。コンビネーションの領域ですけど、勝つチームはイージーなパスミスがとても少ない印象です。はやくて連続的なスペースメイクのなかでのパス精度はたしかに難しいのですけど、東京積年の課題であり、もしかすると優勝の鍵を握る部分かもしれませんから、これも来年に向けてチャレンジしてほしいと思います。

さて、同点でほっとしたのもつかぬまま。直後に失点します。

48分。ヒョンスが萩原を倒したことによる浦和のFK。拳人がうっかりボールをフリーにしてしまうボーンヘッド。このミスを見逃さなかったのは陽介と柴戸。陽介はゴール前に飛び込んだ柴戸にクロス。宏介が対応しますけど遅きに失しました。浦和2-1東京。

これで浦和は割り切ります。攻撃権を取り戻すことをやめて、カウンターに特化します。なので見た目の状況は変わらず、東京がイニシアチブを持ち続けます。ただ浦和が割り切ったことで、オーガナイズは揺らぎはじめました。そして、東京がふたたび同点を目指すなか、浦和に追加点が生まれます。

68分。周作のGKをモリゲがバックパス。こぼれたボールを宏介が処理しようとするより先にナバウトがインターセプト。すでにアタッキングサードですので、局面が一気に変わります。4on2の状態でしたけど、東京は迎撃態勢が整ってませんでした。ナバウトは中央でフリーの忠成に落とします。忠成は左足ダイレクトで合わせました。浦和3-1東京。

結果的に三つの失点はすべてミスが絡みました。仕組みとしての守備の安定感は変わらないのですけど、ワンミスが大禍を招くわけですから、総合的には安定していたとは言い難いです。しかもすべてケアしていれば回避できたかもしれないミスですか、なおさら悔いが残ります。これも来年への課題です。

直後に健太さんが動きます。永井に代えて遼一を同じくトップに投入します。試合中の雰囲気も鬼気迫るものがありましたから、プレー機会への意欲をかったのだと思います。

オリヴェイラさんも動きます。萩原に代えて宇賀神を同じく左WBに投入します。サイドを優先的にフレッシュにすることは変わらぬ選択です。

状況が変わらないことを受けて、健太さんが動きます。二枚同時代えです。宏介に代えて諒也を同じく左SBに投入します。フリーキッカーを変える意図です。

晃太郎に代えてリンスを同じく右メイヤに投入します。縦への推進力を作る意図です。浦和が割り切り、さらに東京が総攻撃モードになったことで、試合の流れが変わります。オープンファイトの様相をていするようになります。ノーエクスキューズの試合らしく、深く考えずにサッカーそのものを楽しめるシチュエーションになりました。短かったけど、この試合で一番おもしろい時間でした。

これを受け、オリヴェイラさんが動きます。カピに代えて長澤を同じくアンカーに投入します。攻められるようになったので、中盤に攻撃特性を増やす意図だと思います。

そして、オープンファイトのガチ勝負のなか、あの男が帰ってきました。

87分。カピがクリアしたボールをセンターサークル付近で洋次郎が拾います。洋次郎はすぐに最前線中央のリンスにつけます。局面が一気に変わり、攻撃スイッチが押されました。リンスはダイレクトでそばにいたディエゴに渡します。ディエゴは、右サイドを上がってくる成を見て、そのまま成を走らせるスルーを送ります。ニアからリンス、拳人、遼一。浦和の3CBが揃っていますけど、4on3の数的優位が成立します。この状況を見逃さず、成はダイレクトでクロスを送ります。浦和は受け基調でマークの確認ができません。成の狙いはファア。そこに遼一がフリーでした。遼一は丁寧に合わせました。浦和3-2東京。

勢いのまま東京が攻め立てる状況になりましたので、オリヴェイラさんはギリギリまで待ったと思います。アディショナルタイムに入る直前で動きます。陽介に代えて平忠を右WBに投入します。CBが右から宇賀神、槙野、岩波の並びにチェンジ。勇樹がアンカー、橋岡が左WB、長澤が左シャドウにそれぞれ回ります。現役ラストマッチを演出します。いきなりコンセントレーションが必要な緊迫した流れでしたから、平忠らしさが出るシチュエーションでよかったと思います。

最後はヒョンスを上げるパワープレーを挑みますけど、実らず。このまま試合終了。浦和3-2東京。

今年の課題と来年への可能性という、示唆に富んだ試合だったと思います。負けはしたけど、冷静に考えると浦和を終始圧倒し続けた試合はまったく記憶がないので、画期的だった思います。いつか振り返ったときにエポックメイキングな試合になるといいなと思います。

平川選手のセレモニーに立ち会うことができました。素敵なスピーチとセレモニーでした。

今シーズンもこれにて終了です。今年も東京ブログをご覧いただき、ありがとうございました。いつも紹介していただいている皆さんには、本当に毎年お世話になっています。今年は前半で息切れしちゃったけど、来年の最終戦はいっぱいの笑顔で迎えられるといいなと願います。来年もよろしくお願いします。


2018J1リーグ第33節FC東京vs川崎フロンターレ@味スタ20181124

2018-11-25 16:37:54 | FC東京

もうすぐ冬を迎える東京。

はやいもので、今シーズンもホーム最終戦を迎えることになりました。

東京20年。クラブの歴史は、在籍した選手の人生ともシンクロします。そして、東京は今年、育成出身の初めてのスター選手の引退を迎えることになりました。

リーグ戦は、前節はやくも優勝が決まりました。前後半で主役が逆転したシーズンを締めくくったのは、今日対戦の川崎です。フロンターレの関係者の皆様、おめでとうございます。

というわけで、クラシコ。最終戦にもってくるのは、なんとも贅沢過ぎますので、できれば二度とやらないでください(^_^;)。イベント盛りだくさんで、正直クラシコ感がまったくありませんでしたので。You'll Never Walk Alone♪

東京はベストメンバーです。シフトはスクウェア型の4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは室屋と宏介。CMは拳人とヨネ。メイヤは右に慶悟左に晃太郎。2トップはディエゴと洋次郎です。

川崎は怪我で悠と大島を欠きます。シフトは4-2-3-1。GKはソンリョン。CBは谷口と奈良。SBは右にエウソン左に車屋。CMは守田と碧。WGは右にアキ左に竜也。トップ下は憲剛。1トップは知念です。

数多あるホーム最終戦の注目点のうち一番はやはり、2018東京の最終形態が、2018チャンピオンに通用するか否か、です。

個人的には、リーグチャンピオンをリーグ戦で生観戦するのは初めてです。そもそもまだ東京の優勝を経験してませんから。天皇杯ではある気がしますけど、リーグ戦とカップ戦は闘いかたが違いますし、優勝を決めた川崎は、本来の川崎らしいサッカーをノンプレッシャーでやってくるでしょう。

まずは、2018チャンピオンの印象から。今年は川崎が6年半かけて取り組んできたサッカーの、ひとつの集大成の年だったと思います。攻守のバランスが高度に均衡している、完成度の高いチームです。チャンピオンチームは、連携が行き届き、プレーに迷いがなく淀みないサッカーを展開する独特の雰囲気があります。川崎はそのすべてにおいて、最高純度のクオリティをみせてくれます。

いまさら川崎のポゼッションプレーを振り返る必要もないので、昨年までとは違う、今年の積み上げの部分をみてみたいと思います。まず、川崎が連覇した最大の原動力は、カウンターの威力が増したことだと思います。ポゼッションのイメージが高い川崎にカウンターが加わると、対戦相手にとってはとてもやっかいです。事実、今日の後半がまさにそのような展開でした。東京もしかりなのですけど、川崎のカウンターはハイスピードのなかでのワンタッチプレーとスペースメイクの連鎖ですから、見た目以上に高い技術が求められると思います。言い換えるとポゼッションができるからこそのカウンターです。

守備面では、昨年の優勝の原動力となった、鬼木川崎の代名詞であるハイプレッシングに加え、最終ラインの安定感があげられると思います。奈良の完全復帰と成長で、エドゥ、車屋、舞行龍との併用だった昨年とは違い、ほぼコンビを固定できました。もともと川崎は、石崎さんや関塚さんのころから川崎山脈を基盤とするチームで、どちらかというとガテン系のダーティーなイメージがありました。奈良は、その伝統をひとりで背負い、受け継いでいるようです。是非はともかく、チャンピオンになるための必要悪としての注目すべき要素だと思います。CBを固定したことで、川崎は理想とする2バックシステムを手に入れました。

中盤では、ルーキーにしていきなり川崎のレギュラーでかつA代表にのぼりつめた守田がはまったことは、川崎のクオリティアップに大きく寄与しています。守田の特長は、流動性の判断のはやさだと思います。見ていて小気味良い印象を受けるのは、プレーに淀みがないことと、常に動き続けているからです。それはミッドサードのみならず、アタッキングサードでも同じで、シュート判断も非常にはやい。もともと守田がもっていた質が、川崎のサッカーに漬け込むことで開花したのだろうと思います。まさに川崎の申し子のような選手です。その意味では、怪我の多い大島以上に川崎の未来を担う逸材でしょう。

というわけで、ようするに2018川崎のレベルアップは、つきつめると陣容の変化にあります。選手に注目すべきはもうひとり、加入2年目のアキです。アキと川崎は幸せな出会いになりましたね。アキはガンバでもセレッソでも、個人の質は高いのだけど、チームのなかではどこか浮いた存在でした。アキ自身が変わったのか、川崎が特別なのか、今年のアキにはまったく違和感を感じません。むしろ、憲剛の存在感を希薄にするほど、川崎はアキのチームになっています。中断期間中に嘉人がいなくなってから川崎は急上昇するわけですけど、もはや川崎はエクスプローラーではなくスキッパーをリーダーとして求めるチームになったということでしょう。

そしてやはり、川崎らしさはポゼッション。川崎の代名詞は、アタッキングサードでのショートパスによる崩しです。今年の川崎はこれがほとんどみられません。チャンスメークはほぼサイドアタックです。アタッキングサードでサイドに良いかたちで入ると、躊躇なくドリブルかクロスで仕掛けてきます。ゴール前には常に三人以上がつめていて、仕掛人の潔さとフィニッシャーの枚数の多さが脅威の源泉です。

これらの2018鬼木川崎のチャンピオン要素のなかで、東京にとってやっかいなのはカウンターです。ポゼッションの質が変わっただけでも大変なのですけど、カウンターが加わったことで、注意すべきポイントが多重になってしまいました。

結論をいうと、少なくとも今年の健太東京では、川崎には対応することができませんでした。内容以上の完敗です。東京はまず、攻撃権を持つことで川崎を封じようとします。川崎がややコンサバティブな入りかたをしたこともあり、この作戦は当たります。サイドにはやめにボールを入れることで、高い位置で基点を作ることができました。もしこの時間帯に先制していたらと思う向きもあると思いますけど、川崎は試合の状況でブレるほどもろくはありません。

東京の攻勢はあっさり5分ほどで終わります。川崎が鷹揚に受け、よっこいしょとゆるりとしたポゼッションをはじめることで、攻撃権は完全に川崎に移ります。東京はこれも計算のうちだった思います。次なるポイントは、東京が川崎のポゼッションを受けきれるかです。東京はこの点で選択を誤ります。受けるにしても、川崎を受ける場所が低すぎました。川崎のポゼッションは、前述したようにアタッキングサードに入ってしまえば一気にシフトアップしますから、ゴール前の防衛に持ち込まざるを得ません。これではリスクが高まります。なので、防衛ラインはミッドサードにもっていくべきです。つまり、川崎の原動力である中盤のプレスに対し、ガチで勝負することこそ、目下のところ川崎を封じる最良だと思います。もっともこれは、川崎と同等のクオリティを潜在したチームにしかできません。東京がチャレンジするなら、ここだったと思います。

東京が川崎をリトリートして受けてしまったため、試合は完全に川崎のオーガナイズになります。なのでミスが起こることは必然でした。

19分。慶悟からのパスを受けた拳人は、碧のプレスをかわすべく、モリゲに戻そうとします。これが致命的なミスになり、ショートします。なんなく拾った知念は、ペナルティエリア外でしたけど、躊躇なくシュート。これがゴール左隅に決まりました。東京0-1川崎。

先制されたことで、闘いかたの選択ミスに気づき、アジャストするかなと思っていたのですけど、この後も状況は変わりません。中盤でミスがあったことで、ますます川崎の中盤の圧を感じてしまったのかもしれません。さらに追い討ちをかけるように、ヨネがコンタクトから足を痛めます。

東京が伝家の宝刀カウンターを繰り出せたのは、前半はたぶん一回だけ。それほど川崎のポゼッションの圧力が高かったということを表していると思います。ちょっと、この川崎が負けることがあるというのが信じられないくらい、川崎は強かったです。今日はエース悠と大島が不在という状況にもかかわらずのクオリティですから、チーム全体の練度の高さを示す試合だったと思います。

前半はビハインドで終了。

後半頭から健太さんが動きます。足を痛めたヨネが下がり、代わりに永井がトップに入ります。洋次郎がCMに下がります。

同時に健太さんは、闘いかたもアジャストします。下がっていては試合にならないと判断したのでしょう。ハイプレスを仕掛けます。

ここで、2018川崎のホントの脅威が牙を剥きます。前述したカウンターです。東京は、リトリートすると重曹に攻めたてられ、前に出るとカウンターをくらう。底なし沼にはまったようなデフレスパイラルに落ち込んでいきます。正直にいうと、もはやなす術がないと思いました。むしろ実力の違いがはっきりして、すっきりした気分になったくらいです。そして、絵に描いたようなカウンターが炸裂します。

50分。奈良のバックパスを受けたソンリョンのビルドアップから。東京は当然フォアチェック態勢に入っています。ソンリョンのパスを受けた守田は、前掛かりの東京守備網を見て、一気に攻める選択をします。ダイレクトで前方のアキに送ります。カウンターの発動です。ターンしたアキは、右サイドを上がるエウソンに落とします。エウソンもダイレクトで中央の憲剛へ。アタッキングサードやや外側で、フリーでターンした憲剛は、まさに憲剛ゾーン。この時点で、前掛かりの影響で、東京陣内に4on4の状態になります。憲剛はそのまま上がるエウソンを走らせるスルーを送ります。ペナルティエリアで追いついたエウソンは、ダイレクトでゴール前フリーの知念に折り返します。知念のシュートは彰洋がはじきますけど、イーブンボールがフォアに上がります。これを竜也が押し込みました。東京0-2川崎。

ボールに絡んだ守田、アキ、エウソン、憲剛、知念、竜也のすべてがフリーでつないだことがカウンター成功につながりました。東京はすべてが後手に回りましたけど、その状況を作った守田とアキの慧眼の成果です。

2018シーズンはいずれ別の場で振り返りますけど、現時点の印象を概略すると、ターニングポイントは中断期間中のキャンプにあったと思います。リーグ優勝した川崎にしろ、ACLチャンピオンの鹿島にしろ、いずれもこの期間の質の高いトレーニングを要素にあげています。ひるがえって東京をみると、もちろん内容はわかりませんけど、客観的に考えると拳人と永井の離脱がとてつもなく大きな影響になりました。

とくに拳人は中盤で帝王のような存在になっていましたから、その欠落はそのまま中盤の支配力の喪失につながります。守田と比較すると、もちろんプレースタイルの違いはありますけど、状況判断、スペースメイクの動き、パスの質、シュートチャレンジなど、まなぶべき部分はいっぱいあると思います。歳下だけど、同世代のなかで日本代表の基準を示してくれる、良きライバルになってくれると思います。

さて、点差が二点になって、健太さんが動きます。晃太郎に代えてリンスをトップに投入します。永井が左メイヤに回ります。ホーム最終戦ですし、いまさらびびっていても仕方ないので、攻撃姿勢を鮮明にする意図です。これで前線にスピードマンが三人揃いました。シンプルに縦に送る高速サッカーに移行します。これが奏功して、東京にようやくリズムが生まれます。

鬼木さんが動きます。竜也に代えて登里を同じく左WGに投入します。守備の質を高める意図だと思います。

さらに鬼木さんが続けます。憲剛に代えて浩之を右WGに投入します。アキがトップ下に回ります。左右の翼をフレッシュにする意図です。

健太さんが最後のカードを切ります。洋次郎に代えて輝一をトップに投入します。慶悟がCMに下がり、リンスが右メイヤに回ります。攻撃の作戦をやりきって総攻撃を挑む意図です。

同時に鬼木さんが動きます。知念に代えて雄斗を右WGに投入します。浩之がトップに回ります。これも前線をリフレッシュする意図です。

リスク覚悟の総攻撃で、今年最後の味スタを沸かせました。でもゴールを破るまでには至らず。このまま試合終了。東京0-2川崎。

ただただチャンピオンチームの質の高さを見せつけられた90分間でした。でも、ホーム最終戦でこのクオリティ差を見られたことは、案外良かったのではないかと思います。もっとやれたんじゃないかとか、エクスキューズとか、そんな雑念がぜんぶ取っ払われて、すっきり完敗を認められますから。それに来年に向けた良い目標になったと思います。健太さんのスピーチヒョンスのスピーチ

梶山選手お疲れ様でした。今度は違うかたちで東京でまた会える日を楽しみにしています。翼とリッピは、新しいチャレンジに向けてがんばってほしいと思います。梶山の引退セレモニー胴上げ

来年のACL出場権を失い、それ以外にもいろんな示唆があったホーム最終戦でしたけど、シーズン最終戦はまだ残っています。次節はこれまた最終戦にしては濃厚な、浦和です。