ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

デューラー ‐ アルテ・マイスター(3)

2016年02月19日 |  ∟ドイツの美術館

 ※ ドイツ/ドレスデン国立美術館編 ‐ 中欧美術館絵画名作選(4)

 ドイツ・ルネッサンスからスタートした名作選の旅。
 「また彼なの!」という声が聞こえてきそうだが仕方がない、ドイツ美術史上最大の画家を避けては通れない、しばしお付き合いを。

 と、ここまで書けばもうお分かり頂けたと思う。
 アルブレヒト・デューラー(1471-1528 )、その彼の 「聖母の七つの悲しみ」(上段/左)が今回の作品。

     

 エルベ川沿いの町ヴィッテンベルクの城内聖堂のためにフリードリヒ賢明公の委嘱によって描かれたとされる本作、「聖母の七つの喜び」が描かれた右半分は失われたという。

 ところで本作、中央部の 「聖母」(上段/中)、切り離されたときに18センチ短くされたらしい。は、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークが収蔵している。

 その中央部の聖母は、彼の直筆とされているが、他の七つの場面は、構図、色彩、タッチなどの違いから、彼の工房で描かれたという説もあるようだ。

     

 ちなみに、聖母七つの悲しみとは、レンブラント(1606-1669/オランダ絵画黄金期)の 「<キリストの神殿奉献>」(デン・ハーグ/マウリッツハイス美術館蔵)でも書いたが、本作に沿って再度書けば、向かって左側上部から反時計回りに 「受難の予言」(中段/左)、「エジプト逃避」(中段/中左)、「神殿での見失い」(中段/中右)と続き、下部に 「十字架の道行」(中段/右)が。

 さらに、右側の下部から 「十字架へのはりつけ(下段/左)」、「磔刑(たっけい)」(下段/中左)、そして 「哀悼」(下段/中右)へと続く。

 聖母の磔刑後の悲しみを、胸を貫こうとする金の剣で表した中央部がぽっかりと欠けた本作、しかも、助手たちの手になるかも知れないのに、悪びれることもなく展示するのが聊か可笑しい。

       

 もとの作品(上段/右)をどうしても見たいとなれば、面倒でも二つの美術館を訪ねなくてはならない。
 16世紀半ばにヴィッテンベルクで宮廷画家を勤めていたクラナハ(父)の手に渡ったとされる本作、そんな面倒なことをしでかしたのは、多分、息子のクラナハ(子)というから迷惑この上ない。

 元の姿に戻せばいいのだろうが、苦労して手に入れた傑作、「こちらが譲るって? とんでもない!」ということなのだろう、同じ国の国立美術館にしてこれ、困ったものである。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1096

 ※ 「クラナハ(父) ‐ アルテ・マイスター(2)」へは、<コチラ>からも入れます。

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