ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ローカルな国際列車(2)

2009年10月09日 | コンポステーラ巡礼

 「ローカルな国際列車」(2009/08/10)の続き。

 ポルトの街はまだ目覚めていないよう、フロントには男性がひとり。
 ロビーもレストランもカフェテラスも、仄かな常夜灯(写真上)の中でひっそりとしている。

 朝食は7時30分からと聞いていた。
 チェックアウト後、ままホテルを出ようとしたのだが、駄目元で聞いてやれと、「ブレイクファーストボックス プリーズ」と声をかけた。

 Photo彼は驚いたような表情で、「お前さんたちはこれから何処へ行くの?」と尋ねる。

 カタリナが「サンティアゴへ」と伝えると、彼は凡その事情が飲み込めたのか、「トレイン?」と重ね、「カンパニャン駅、7時55分の列車」と続けると、昨日の切符売場のお嬢さんが「いい旅を!」と言ってくれたように、巡礼と聞いて何もしないではカトリックたる者の沽券?にかかわると思ったのか、「ついて来い」と言う。

 まだ閉まっているレストランへ招き入れテーブルに案内してくれたのだ。
 そして、熱いコーヒ、冷えたオレンジ・ジュース、パンを出してくれた。

 Photo_2レストランの薄暗い明かりの中で私たちは、彼の暖かい気持ちとともに美味しくご馳走になり、感謝の気持ちでこの名門ホテルと別れた。

 夜明け前には、ひときわ暗くなるという。
 まだ明け切らぬ敷石の道を駅に向かった。
 ヘッドライトをつけた車が時折走り抜けるが人影は殆ど見かけない。

 リベルターデ広場の街路樹も闇の中に黒く沈み、遠くライトアップされた市役所(写真中)が美しく光を放っていた。

 Photo_3サン・ベント駅は、昨日の喧騒が嘘のようだ。
 折から到着した電車から、仕事に向かう人が足早に駅舎を後にする。

 ホームの電車は私たちが乗ると直ぐにドアが閉まり、計ったように車掌が検札に来る。
 男性客ばかり4、5人が乗っていたが、東洋人の同行二人「朝早く、一体何処へ行くのだ?」とばかりの視線を感じる。

 電車は程なくカンパニャン駅に着いた。
 ところが、何を勘違いしたのか座ったままぼうっとしている私たちのところに車掌が来て、「お前さんらここで降りるんだろ!」と声をかける。

 「あっ!」「オブリガード」の声と一緒に慌てて降りた。
 彼は私たちの切符に、“ VIGO ” とあるのを見て国際列車に乗ると思ったのだろう。

 一日たった二便しかない国際列車(写真下)、そのまま乗り過ごせばと汗が出る。
 いかつい顔に似合わず親切な車掌、ホテルのフロントマンの気持、大いに感謝したのは言うまでもない。

コメント
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