辺野古沿岸部で埋め立て工事に着手 (抜粋記事)
NHK NEWSWEB 10月29日 11時51分
普天間基地の移設計画を巡り、沖縄防衛局は29日午前8時、名護市辺野古沿岸部の埋め立て予定地に隣接するアメリカ軍基地の中で工事に着手しました。
埋め立て工事は当面、陸上部分で行われる見通しで、29日午前中は、資材置き場を整備するため、建設用機械を使って砂利を敷き詰めるなどの作業が行われました。また、29日は、中断されていた海底のボーリング調査の再開に向けた作業も同時に始まり、海上に立ち入り制限の区域を示すフロートの設置が行われています。
海上では、計画に反対する人たちが10隻以上のカヌーに乗って現場海域に近づき、抗議の声を上げています。
沖縄県の翁長知事は工事に強く反発していて、国と地方の争いを調停する総務省の「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る方針で、国土交通省が改めて埋め立てを承認するよう求めた勧告については応じない姿勢を示しています。
移設計画が持ち上がって19年がたち、計画の中核となる埋め立て工事が開始されましたが、沖縄県内の反発は根強く、国と沖縄県の対立が深まるなかで工事が続くことになります。
ゲート前では抗議活動続く
名護市辺野古の埋め立て予定地に隣接するアメリカ軍基地のゲート前では、29日朝、大型トラックや作業員を乗せた車両が基地の中に入る際に、埋め立て工事に抗議する住民や市民グループが道路に座り込むなどして警察官ともみ合いになり、一時、騒然となりました。
名護市辺野古沿岸のアメリカ軍基地のゲート前では、29日午前7時前から、工事用の大型トラックや作業員を乗せた車両10台余りが次々に到着しました。
現場では、移設計画に反対する人たちおよそ100人が、車両が入るのを阻止しようと、道路に座り込んだりプラカードを掲げて車両の前に立ちふさがったりして、激しく抗議しました。これに対して、警備にあたる警察官およそ200人が道路上から移動させようとしてもみ合いになり、一時、騒然となりました。
車両はおよそ30分後にすべて基地の中に入りましたが、ゲート前では、その後も移設計画の中止を求めて抗議活動が続いています。
名護市の隣の本部町に住む64歳の女性は「こんなに反対しているのに工事を進めるのを見ると、悲しさや苦しさがないまぜになり、無力感すら覚えます。
国は、私たち住民の思いにしっかりと耳を傾けて、工事を中止してほしいです」と話していました。初めて沖縄を訪れたという静岡県の34歳の女性は「地元の住民が反対しているのに工事を断行するのは民意に反していると思うし、埋め立てで美しい自然が汚されるのはおかしいと思います。本土と沖縄では基地問題に対して温度差があると感じましたが、県外の住民もしっかり向き合うべきだと思います」と話していました。
翁長知事「強権 極まれりの感じ」
29日朝、沖縄防衛局が名護市辺野古の沿岸部で埋め立て工事に着手したことについて、沖縄県の翁長知事は県庁で記者団に対し、午前8時に県の担当部局から報告を受けたとしたうえで、「『強権極まれり』という感じで、大変残念に思う。国も余裕がなく浮き足だっているように感じるが、これからしっかりと対じしていきたい」と述べました。
名護市長「着工は問答無用のやり方」
移設計画に反対する名護市の稲嶺進市長は、29日午前、工事への抗議活動が行われている名護市辺野古のアメリカ軍基地のゲート前を訪れました。そして、「私たちは『これ以上、基地の負担に我慢できない』『これ以上苦しめてくれるな』と言っているだけだ。苦しんでいる沖縄の人たちが声を上げて行動している思いを全国で共有してほしい。そのためにも諦めずに力を合わせて声を上げ続けよう」と訴えました。
このあと、稲嶺市長は記者団に対し、埋め立て工事の着手について、「アメリカに対しても国民に対しても計画が進んでいると強調したいのだろう。これまで国は沖縄県民に寄り添うと繰り返してきたが、着工は問答無用のやり方で、こんなことが許されていいのか、多くの人に考えてもらいたい」と述べ、政府の対応を批判しました。
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