フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

雪舟 山水図 絶筆 LE DERNIER TABLEAU DE SESSHU

2006-11-13 00:09:56 | 日本の画家

雪舟の絶筆であると思われる 「山水図」 (国宝:今日の写真) がある。これも顔を近づけて見たい絵である。曲がりくねった道を登る二人の姿も見える。何を思うのか。そのうちの一人は雪舟自身なのか。

当時の禅僧の間で行われていた 「詩画軸」 という形態がある。それは軸の下に描かれた水墨画に触発された思いを漢詩に詠い、その余白に書くという詩と画が一体になった軸。この山水画についても以参 (牧松) 周省 (いさん ぼくしょう しゅうしょう) と了庵桂悟 (りょうあん けいご) の詩が上に書かれている。

以参 (牧松) 周省
「険しい崖の小径は、羊腸のように曲がりくねり、白髪の高士と蒼頭の侍童は、さまよい歩いているようだ。かつて住んだ韋村には、枯れた竹が短く生え、前代からの蕭寺には老松が長くそびえている。東へただよい西にとどまる、千里の船旅のような人生は、北の郊外や南の果てをめぐる、夢のようであった。私もまた、彼に従って帰りたい。青山がそびえるあのふるさとへ。」

了庵桂悟
「日ごろから詩や画で胸の内を晴らそうとしている。人の生き場所とは、いったいどこなのだろうか。重なり連なる山々は、剣の先のようにそびえ、はるか遠くの入江へつづく堤は、屏風のように横たわる。小径は岩の隅をまつわりめぐり、楼閣は木の陰で高くそびえている。牧松は韻 (詩) を遺して亡くなり、雪舟もまた逝った。私はこの空の果てで残りの命を長らえて、春の夢から覚めた思いでいる。」


会場を出ると、激しい雨。雨宿りをかねて、美術館入り口に設けられた茶屋で雪舟膳をいただく。赤飯、野菜の煮物、お澄まし、それに栗の甘露煮という簡素なお膳を、テントに当たる雨音を聞きながら味わう。これから向かう中也記念館のことなどを思いながら。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする