パパと呼ばないで

再婚した時、パパと呼ばないでくれと懇願した夫(←おとうさんと呼んで欲しい)を、娘(27)「おやじ」と呼ぶ。良かったのか?

生まれた時からアルデンテ

2015年01月22日 | 本・マンガ・テレビ・映画
1月22日(木)雨

ワタクシは、基本、人の言うことを聞かない。
年下の言うことはさらに聞かない。
音楽にしても、 ライブで浜省が「戦争反対」的なことを言った時は大きく頷いた。
が、たった一つ年下の尾崎豊が「戦争反対」的なこと言った時は「そうそう!君みたいなカリスマ性のある子がこういうことを言ってくれるとアホな奴らもなびくから助かるよ。」と
一体おまえは何様だ?ってな感じの感想を持ちながら冷めて聞いていた記憶。
本にしても、佐藤愛子先生の叱咤激励的なエッセイには、一にも二にも、首をぶんぶん縦に振りながら読むが
小川糸さんにも角田光代さんにものめりこまない。
どんどん年をとって、どんどん世に出てくる人達が年下になってきているというのに、こんな頑なではいけないと思ってはいる。

我が家のパソコンは、どういう設定にしておるのかしらんが、スクリーンセーバーは一年前に撮った写真が映し出されることになっておる。
ある時、ふとパソコン画面を見た娘が「あっ!」と小さく叫び、バタバタと自分の部屋へ行き、バタバタと戻ってきて母にとある本を見せた。
平野紗季子著「生まれたときからアルデンテ」
この中に、フルーツサンドについて書かれているページがあり、このトップの写真と同じものが!(いや、この写真は手前のフルーツサンドがピンぼけという痛恨の極みではありますが ・・・)
平野嬢曰く
「今までフルーツサンドは見た目のことばかりで・・・(中略)
フルーツサンドは喧嘩をしない。フルーツサンドには平和がある。
ところが・・・」
と、赤坂のホットケーキパーラー「FruFull」のフルーツサンドの描写に続き
「圧倒的。
圧倒的な存在の出現で崩れる甘い秩序。
フルーツサンドが戦争を始める。」

ひゃ~~~っ!
なんだかすごく興奮した。
舌に全く自信のないワタクシが、初めて肯定されたような嬉しさに震え、
それよりも激しく、彼女の圧倒的な文章力に震えた。
・・・と、震えた割には読了するのにずいぶんと時間がかかったが・・・
つい先日読了。
著者平野紗季子さんは、ほとんど我が娘と同じくらいの歳でいらっしゃる。
が、この、食に対する姿勢の違いは親の違いだなと反省させられる。
彼女が書いている文で、心が痛かった部分。
「『小さい頃からそんないいもん食ってんの?絶対ろくな大人にならない。』そうある大人に言われたことを私は激しく根に持っている。」
いえ、ワタクシ決してそんなこと本人に直接言ったりはしませんけどね、心の中で美食家の子供を憎んでしまう傾向は持ってます、確かに。
友人A夫人が、お金持ち金田さん(仮名)ちと家族で食事に行った話。
回転寿しに行ったらしい(・・・なぜ金持ちをそんなとこへ連れて行った?)
そこのおぼっちゃま(当時小学生)のしんぺークン、一口食べてチッと舌打ちして「このまぐろ、ちょっと炙って!」とのたまったそうな。
話を聞きながら爆笑しつつも、こんなクソ生意気なガキは大嫌いだっ!と思ったことを思い出した。
もしかしたら今頃しんぺークンも、平野嬢のような、食を大事にする素敵な高校生になっているかもしれぬ。(いや、ないな。やっぱりこういうクソ生意気なガキはろくな高校生になってないはずだ。)

平野嬢のいう食事は、ワタクシが最初に抱いたような、「いいもん食ってる」その「いいもの」が高価というか贅沢というかそういう食事ではなく、
きちんとした食事(文章力の違いを感じるなあ~彼女はもっと魂に訴える書き方をしている)っていうか、
「食べること」を大事にしていることなのだ。
現に、彼女の、小学生時代の食べ歩きダイアリーのお店には、特別敷居が高い料亭やレストランだけでなくファミレスや居酒屋もあるのだ。
(字といい、文章といい、我が娘が書きそうな感じだわと娘に言うと「あたしらプロフ世代だからね。」と言った。)
美味しいもの(時にはまずいものもあっただろう)を食べながら、親御さんが、その味、食材などを味わう喜びを教えたのだろうなあ。
我が家の外食は、めったにいかないから、浮かれて、期待し過ぎて、でも、いざ食べはじめると、食よりもおしゃべり(味とかの感想ではなく)に夢中になったりというパターンだったな。
ま、それはそれで楽しかったからいいか(と、すぐ自己弁護)
先にこの本を読み終わっていた娘が「あたしは、これから食べることにもっと向き合うよ」と宣言。
母も、どうでもいいような食事、記憶に残らないような食事をすることはやめようと思った次第。
さらには、若い人の言うことにも耳を傾けてみようかしらという気持ちにさせてくれた一冊でありました。
コメント
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