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現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS 夏再び―本土決戦201X年―【一応完結】

2014-06-16 21:15:11 | おススメSS


夏再び―本土決戦201X年―【一応完結】

途中で打ち切る形での完結SSを紹介します。
あらすじは201X年にM8.9の三連動大地震が発生。
大混乱の最中中国が九州へ電撃上陸、国内の某国人の一斉武装蜂起と日本本土に戦争の夏がやってきた――――。

数字の裏づけと緻密な描写に定評があるひゅうが氏の架空戦記は商業物としても十分通用できるものです。
また、よくある日中戦争ものは沖縄での海上戦が中心ですがここでは20万もの人民解放軍が虐殺しつつ九州へ進行。
ひゅうが氏の細かな設定と緻密な描写は、ありえるかもしれない未来を映し出しているような気がします。

ぜひ、読んでみてください。



そして11月20日、霧のたちこめる北京天安門において大規模デモが発生。
これに対して警備部隊が発砲したことを理由に暴徒と離反した警備部隊は「革命」を呼号し政府中枢へと襲いかかった。
最終的には8日後に瀋陽軍区部隊が北京に入城することで事態は収拾されたものの、それでおさまらないのが南京軍区だった。
何しろ彼らは多くの戦力を日本本土へ置き去りにしている。
しかも、情勢は明らかに「悪いのは戦争をそそのかした軍部の一部である」という流れになっていた。
主戦派であった北京系官僚や政治家たちも北京を脱出し、彼らは「正当な戦争の継続」を主張していた。
中華は、南北とそれ以外に大きく分裂したのである。


1月現在、日本本土においては「売国奴」どもに対する度が過ぎた報復の嵐が吹き荒れており誰もがそれを見て見ぬふりをしている。
ことに、日本本土侵攻に積極的に協力した人々や、日米連合の出動を妨害した集団や一部地域への目は厳しく、自治体や県の分割すら視野に入れられる憎悪が充ち満ちていた。
中華は、どさくさに紛れた抜け目ないロシアを後立てに独立を宣言した東トルキスタンや独立独歩路線を歩む四川・チベット系、そして南北に分裂していた。
それ以外の諸国は、どさくさにまぎれてうまい汁を吸ったロシアと、最悪の時に最悪の選択をした結果明確に敵対したと認識され国際的な非難を浴びる某国、そしてともかく強国としての威信を示すことができたアメリカとそれぞれ対照的である。

鋭い視線と殺気に満たされた会場で、三人の首脳が文書にサインをする。
握手は――当然苦虫をかみつぶしたようである。

日本本土や中国本土において繰り広げられた悲劇の清算には、おそらく数十年が費やされることだろう。
とにもかくにも、このようにして「夏」は再び過ぎ去ったのだった。


「どうしてこんなことに?」

そう問われれば、誰もが多かれ少なかれ首をかしげることだろう。
ただし顔をしかめながら。
つまりは、戦争とはそういうものだろう。


【完】





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